記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第22章 改革の歌

第309話 改革の狂騒曲

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「お、おい! なんで王都が火事になってるんだ!?」
「それも一ヶ所じゃありません! 王都全体から黒い煙が……!」

 イトーさん達の加勢も入り、完全に優勢となっていた俺達改革派。
 そんな最中に俺とラルフルは王都から上がる火の手を確認していた。

「た、大変よ! あそこには王都の人達もいっぱいいるのに……!」
「王国騎士団の相手は後なのです! すぐに王都の状況を確認しに行くのです!」
「待ってくれ! あれはもしかすると……ジャコウの罠かもしれない!」

 マカロンとガルペラは王国騎士団の相手をやめてすぐにでも王都へ向かうことを提案するが、ロギウスがそれを押し止めた。

「罠? どういうことだ?」
「今この状況で王都から火の手が上がるなんてのは明らかにおかしい。もしかするとジャコウは、僕達改革派が"王都に入って来る理由"を作ろうとしているのかもしれない……!」

 俺はロギウスに話を聞いてみたが、確かに"俺達を誘き出す罠"だと考えれば筋も通る。
 だが、俺達改革派の目的はこの国のためにある。
 王国騎士団を倒すことは手段でしかない。



 このまま王都を放っておくわけにもいかないな――

「ロギウス。俺とラルフルだけで王都の様子を見てくる」
「……成程ね。ジャコウの狙いは僕達が"大勢で"王都に押し寄せてくることだろう。二人だけでの様子見なら問題なさそうだね」
「じ、自分も一緒に行くのですか……?」

 ロギウスは俺の考えを理解してくれた。
 王都まではまだ王国騎士団が残っているから俺一人での突破は難しい。
 だが、ラルフルも一緒にいれば突破できるはずだ。

 今のラルフルはそれぐらい頼もしい。

「分かった。ゼロラ殿、ラルフル。二人だけでの戦いになるが、なんとかして王都の状況を確認してきてくれ」
「あ、危なくなったらすぐに戻ってきてほしいのです!」
「ゼロラさん、ラルフル……。どうか無事に戻ってきて……!」


 ロギウスからの了承も得られた。
 ガルペラとマカロンは心配しているが、王都の状況を放っておくわけにもいかない。
 全員に心配されながらも、俺とラルフルは王都の方へと目を向けた。

「行くぞ、ラルフル!」
「はい! ゼロラさん!」

 俺とラルフルは二人だけで王都へ向かって走って行った――





「くそ……! まだこれだけ数がいやがったか……!」
「さ、流石にきつくなってきました……」

 王都へ向かう道中には多数の王国騎士団がまだ残っていた。
 王都を守るためにジャコウが手を回したのか? それとも王国騎士団もこの事態に動揺して駆け付けたのか?
 いずれにせよ、ジャコウの指揮が行き渡っていない様子がうかがえる。
 王国騎士団は戸惑いながらも、俺とラルフルへと襲い掛かってくる。

「ハァ、ハァ……」
「ラルフル! しっかりしろ!」

 さらにこの連戦続きで、流石にラルフルにも疲れが見え始めていた。
 ここまでの数が残っていることは想定外だった……。
 俺がラルフルを連れてきてしまったばかりに危険な目に――





「キェエアァアア!!」
「シャラァアアア!!」

 そんな俺達の元に、掛け声を上げながら二人の加勢が入る。

「ゼロラはん! ラルフル! 無事か!?」
「ロギウス殿下から伝令を受けたッス! こっちの戦局は落ち着いたッスからね!」

 シシバにサイバラ!
 ロギウスからの伝令で助けに来てくれたのか!

「事情は織り込み済みや! ここは俺らに任せて、ゼロラはんは先に行けや!」
「ラルフルもここでオレやカシラと一緒に、足止めに徹したほうがいいッスね」
「はい……! 大分疲れてきましたが、まだまだ頑張れます!」

 シシバとサイバラはラルフルを援護しながら足止めを買って出てくれた。
 この二人がいれば安心だ。ラルフルもこれ以上は俺の足手まといになると思い、素直に足止めへと回ってくれる。

「分かった! 三人とも、頼んだぞ!」
「任せろや! ギャングレオ盗賊団頭領! 【隻眼の凶鬼】シシバ! もうひと暴れさしてもらうでぇえ!!」
「同じく、ギャングレオ盗賊団特攻隊長! 【虎殺しの暴虎】サイバラ! ウジ虫ジャコウの手下どもがぁ……全員体の半分を土に埋めてやるよぉお!!」
「このラルフル……。自分だって、まだまだ戦えます!!」

 シシバ、サイバラ、ラルフルの三人は王国騎士団目がけて突っ込んでいった。

 ――本当に頼もしい奴らだ。
 これなら俺は安心して先へと進める!





「ようやく王都の正面まで来れたか……」

 後方でラルフル達が足止めに徹してくれたおかげで、俺はなんとか王都の正面にある門までたどり着くことができた。

 そして、そこで待っていたのは――

「ミスター・ゼロラ。お一人でカモンしましたね」
「押忍。本当に一人で来たということでいいので、押忍?」

 ――ジフウ率いる黒蛇部隊の部下四人。
 隊長のジフウはいないが、こいつらの配備もロギウスの予想通りだったか。
 まずはアーサーとトムが俺一人かを尋ねてきた。

「ああ、俺一人だ」
「……分かっタ。ならば先に行ケ」
「いいのか? お前らは王都の守りに入ってるんだろ?」
「そげんこと、もう関係なかばい。さっきさジフウ隊長も確認とりんに、王都さ中入ったばい」

 俺が一人であることを確認すると、ボブと副隊長のポールも道を開けて俺を先へ進めるようにしてくれた。

 どうやらこの事態は黒蛇部隊にとっても想定外の事だったらしい。
 ジフウもジャコウを問い詰めに向かったか。

 ――ならば俺も急ぐとしよう。
 俺もジフウと同じく、王都の危機を見過ごせない。

 俺達が今日この日まで戦い続けてきたのは、このルクガイア王国を変えるためなのだから――
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