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第23章 追憶の番人『ドク』
第323話 最恐最悪の復讐者
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「フロストのことですか?」
「そうだ。貴殿もあの者がレーコ公爵に強い恨みを抱く、"復讐者"であることは知っているな?」
俺もその話については知っている。
フロストは初めて会った時からずっと、レーコ公爵への復讐ばかりを考えていた。
しかもそれは度を越えた程の復讐心……。
これまでは俺達のため――陰で見守るマカロンとラルフルのために協力してくれていたが、改革が成立した今、再び復讐のために動く可能性がある。
「国王陛下はフロストがあそこまでレーコ公爵を恨む理由をご存じなのですか?」
「知ってはいる……。だが、それは余の口からよりも、ドクター・フロスト本人から……あるいは、バクト公爵から聞くのが一番であろうな」
国王も口にしているが、やはりバクトの方もフロストの秘密を知っているようだ。
レーコ公爵への復讐心。マカロンとラルフルを守ろうとする理由。
その全ては、バクトから確認するとしよう。
そして、国王が俺にこの話をした理由は――
「俺にフロストを止めてほしい……ということですね?」
「ああ、その通りだ。余とてあの者がこれ以上狂って行く姿を見ていたくない。改革の戦いが終わったばかりですまないが……頼まれてくれるか?」
そう言って国王は俺に頭を下げてきた。
一国の王に頭を下げられずとも、俺とて同じ気持ちだ。
一時的な傭兵としてだが、俺達に協力してくれたフロスト――
あいつにこれ以上、"復讐の道"を歩ませるわけにはいかない。
「分かりました。俺の方でも動きます」
「そう言ってもらえて誠に感謝する。余の方でもジフウ達黒蛇部隊を動かして、対策は練っている。このことについてはバクト公爵にも話を通してあるが故、詳しい現状はそちらに聞いてくれ」
フロストを止めるために、バクトにも話を通したのか……。
今はいがみ合っているが、フロストとバクトは旧知の間柄だ。
バクトとしてもフロストに復讐をさせたくはないのだろうな……。
そして、元王国騎士団二番隊隊長であるフロストのかつての部下、ジフウを始めとする国王直轄黒蛇部隊。
これほどの人員を動かしてでも、フロストを止められるかは分からない。
弟のフレイムを始めとした、フロストの常軌を逸した科学力。
その矛先がレーコ公爵に向けられれば、俺達でも止められる保証はない。
それでもやるしかない。
フロストはどう思っているのか知らないが、俺達と共に戦ってくれた以上、フロストも仲間の一人だ。
レーコ公爵を殺すような真似をさせるわけにはいかない……!
俺は決意を固め、王宮を後にした――
■
「あ! ゼロラさん! お疲れ様です!」
「どこに行ってたんですか? リョウさんも探してましたよ?」
王宮を出て、王都の外に出た俺が最初に出会ったのはラルフルとマカロンだった。
マカロンは俺にリョウと会うことを勧めてくる。
俺もリョウには会いたいが、今はそれより優先すべきことができた。
それは、この二人の姉弟にも関わってくることだろう。
「今はまだリョウに会えない。そのことは後で謝っておく。ところでお前達、バクトを見なかったか――」
俺は二人にバクトの居場所を尋ねようとした。
その時だった――
「クーカカカ~! 元気そうだな~、ゼロラ。それに……マカロンとラルフルも」
俺達三人の前に、これから俺が動こうとする理由の張本人、フロストが現れた。
「フロスト……!? お前、なんで急に――」
「まーまー、今回は細かい話は抜きだぜ~、ゼロラ。改革が一段落したからよ~、俺もお前らにお別れを言いに来たんだぜ~」
驚愕する俺の言葉を遮り、フロストは自らの話を押し進める。
『お別れを言いに来た』……。
確かに元々フロストは一時的な傭兵として俺達に協力してくれただけだ。
だが、あからさまにおかしい――
――フロスト自らが、あれほど避けていたマカロンとラルフルの前に姿を現すなど……!
「……マカロン、ラルフル。お前達二人は両親のことを覚えているか?」
すると突然、フロストは普段のおどけた表情から一変して、真剣な表情でマカロンとラルフルに語り始めた。
「え、ええ……覚えてるわ。お父さんのことは正直思い出したくもないけど……」
「じ、自分もお姉ちゃんと同じ気持ちです……」
急なフロストの質問に、マカロンとラルフルはたじろぎながらも答え始めた。
「……そうか。なら、母親のことはどうだ?」
「お母さんのことは……今だって覚えてる。お母さんのことは忘れたりなんかしない」
「自分も……お母さんのことだけは、何があっても忘れません!」
フロストの更なる質問に、マカロンとラルフルは真剣な表情で答える。
この姉弟にとって、亡き母の姿は今も忘れられないのは当然だろう。
父親に虐げられた中で見た、たった一つの希望だったのだから――
「……さすがはルナーナの子だな。これからもみんなと仲良く、元気にやるんだぞ。……じゃあな!」
ガシャン! ガシャン! ガシャン! ガシャン!
フロストが最後に別れの言葉を言うと、俺も以前に見た四本のアームを背中から生やし、そのまま素早くこの場を去ろうとした――
「待て! フロスト! お前、何か企んでるだろ!? その四本のアーム……俺と戦った時は未完成だったはず――」
「クーカカカ~! ついこの間、完全に完成したのさ~! これから俺がやることは~! もー誰にも邪魔できねーぞ~! クーカカカ~!!」
俺の呼び止めも聞かず、フロストは立ち去ってしまった――
あの四本のアーム……さっきの動きからでも分かる!
フロストは……"レーコ公爵への復讐"のために、あれを完成させたのだ!
「くそ! マズいことになった……! 早くバクトにも話を聞かないと――」
俺はすぐにでもバクトの元へと行こうとした。
今のフロストを俺一人で止めることはできない。
まずは事情を知っているバクトから話を聞きに――
「な、なんでなのよ……。あのフロストって人、今――」
「お母さんの名前を……口にした……?」
――そんなこの場を離れようとした俺の目に映ったのは、フロストの言葉に驚愕するマカロンとラルフルの姿だった――
「そうだ。貴殿もあの者がレーコ公爵に強い恨みを抱く、"復讐者"であることは知っているな?」
俺もその話については知っている。
フロストは初めて会った時からずっと、レーコ公爵への復讐ばかりを考えていた。
しかもそれは度を越えた程の復讐心……。
これまでは俺達のため――陰で見守るマカロンとラルフルのために協力してくれていたが、改革が成立した今、再び復讐のために動く可能性がある。
「国王陛下はフロストがあそこまでレーコ公爵を恨む理由をご存じなのですか?」
「知ってはいる……。だが、それは余の口からよりも、ドクター・フロスト本人から……あるいは、バクト公爵から聞くのが一番であろうな」
国王も口にしているが、やはりバクトの方もフロストの秘密を知っているようだ。
レーコ公爵への復讐心。マカロンとラルフルを守ろうとする理由。
その全ては、バクトから確認するとしよう。
そして、国王が俺にこの話をした理由は――
「俺にフロストを止めてほしい……ということですね?」
「ああ、その通りだ。余とてあの者がこれ以上狂って行く姿を見ていたくない。改革の戦いが終わったばかりですまないが……頼まれてくれるか?」
そう言って国王は俺に頭を下げてきた。
一国の王に頭を下げられずとも、俺とて同じ気持ちだ。
一時的な傭兵としてだが、俺達に協力してくれたフロスト――
あいつにこれ以上、"復讐の道"を歩ませるわけにはいかない。
「分かりました。俺の方でも動きます」
「そう言ってもらえて誠に感謝する。余の方でもジフウ達黒蛇部隊を動かして、対策は練っている。このことについてはバクト公爵にも話を通してあるが故、詳しい現状はそちらに聞いてくれ」
フロストを止めるために、バクトにも話を通したのか……。
今はいがみ合っているが、フロストとバクトは旧知の間柄だ。
バクトとしてもフロストに復讐をさせたくはないのだろうな……。
そして、元王国騎士団二番隊隊長であるフロストのかつての部下、ジフウを始めとする国王直轄黒蛇部隊。
これほどの人員を動かしてでも、フロストを止められるかは分からない。
弟のフレイムを始めとした、フロストの常軌を逸した科学力。
その矛先がレーコ公爵に向けられれば、俺達でも止められる保証はない。
それでもやるしかない。
フロストはどう思っているのか知らないが、俺達と共に戦ってくれた以上、フロストも仲間の一人だ。
レーコ公爵を殺すような真似をさせるわけにはいかない……!
俺は決意を固め、王宮を後にした――
■
「あ! ゼロラさん! お疲れ様です!」
「どこに行ってたんですか? リョウさんも探してましたよ?」
王宮を出て、王都の外に出た俺が最初に出会ったのはラルフルとマカロンだった。
マカロンは俺にリョウと会うことを勧めてくる。
俺もリョウには会いたいが、今はそれより優先すべきことができた。
それは、この二人の姉弟にも関わってくることだろう。
「今はまだリョウに会えない。そのことは後で謝っておく。ところでお前達、バクトを見なかったか――」
俺は二人にバクトの居場所を尋ねようとした。
その時だった――
「クーカカカ~! 元気そうだな~、ゼロラ。それに……マカロンとラルフルも」
俺達三人の前に、これから俺が動こうとする理由の張本人、フロストが現れた。
「フロスト……!? お前、なんで急に――」
「まーまー、今回は細かい話は抜きだぜ~、ゼロラ。改革が一段落したからよ~、俺もお前らにお別れを言いに来たんだぜ~」
驚愕する俺の言葉を遮り、フロストは自らの話を押し進める。
『お別れを言いに来た』……。
確かに元々フロストは一時的な傭兵として俺達に協力してくれただけだ。
だが、あからさまにおかしい――
――フロスト自らが、あれほど避けていたマカロンとラルフルの前に姿を現すなど……!
「……マカロン、ラルフル。お前達二人は両親のことを覚えているか?」
すると突然、フロストは普段のおどけた表情から一変して、真剣な表情でマカロンとラルフルに語り始めた。
「え、ええ……覚えてるわ。お父さんのことは正直思い出したくもないけど……」
「じ、自分もお姉ちゃんと同じ気持ちです……」
急なフロストの質問に、マカロンとラルフルはたじろぎながらも答え始めた。
「……そうか。なら、母親のことはどうだ?」
「お母さんのことは……今だって覚えてる。お母さんのことは忘れたりなんかしない」
「自分も……お母さんのことだけは、何があっても忘れません!」
フロストの更なる質問に、マカロンとラルフルは真剣な表情で答える。
この姉弟にとって、亡き母の姿は今も忘れられないのは当然だろう。
父親に虐げられた中で見た、たった一つの希望だったのだから――
「……さすがはルナーナの子だな。これからもみんなと仲良く、元気にやるんだぞ。……じゃあな!」
ガシャン! ガシャン! ガシャン! ガシャン!
フロストが最後に別れの言葉を言うと、俺も以前に見た四本のアームを背中から生やし、そのまま素早くこの場を去ろうとした――
「待て! フロスト! お前、何か企んでるだろ!? その四本のアーム……俺と戦った時は未完成だったはず――」
「クーカカカ~! ついこの間、完全に完成したのさ~! これから俺がやることは~! もー誰にも邪魔できねーぞ~! クーカカカ~!!」
俺の呼び止めも聞かず、フロストは立ち去ってしまった――
あの四本のアーム……さっきの動きからでも分かる!
フロストは……"レーコ公爵への復讐"のために、あれを完成させたのだ!
「くそ! マズいことになった……! 早くバクトにも話を聞かないと――」
俺はすぐにでもバクトの元へと行こうとした。
今のフロストを俺一人で止めることはできない。
まずは事情を知っているバクトから話を聞きに――
「な、なんでなのよ……。あのフロストって人、今――」
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――そんなこの場を離れようとした俺の目に映ったのは、フロストの言葉に驚愕するマカロンとラルフルの姿だった――
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