記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第28章 勇者が誘う、最後の舞台

第413話 追憶の世界

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「う、う~ん……。あれ? ここはどこですか?」
「んんぅ……。え? ラルフルだけ? ミリアちゃんは!? ミライちゃんは!?」

 自分が目を覚ますと、不思議な空間が一面に広がっていました。

 まるで夜空のように、星が瞬く幻想的な光景――
 足元にあるのは、ガラスのように透き通った足場――
 足場は宙に浮き、それ以外のものは何もありません。



 ――そして何より、今ここにいるのは自分とお姉ちゃんだけです。
 さっきまで一緒にいたミリアさんもミライちゃんも、どこにもいません。

「これって……自分とお姉ちゃんだけが、別の世界に飛ばされたってことですか?」
「そ、そうだと思うけど……。なんで私とラルフルだけが……?」

 あの時部屋で自分とお姉ちゃんを包み込んだ強大な光――
 ミライちゃんが清白蓮華に触れたことで、何かしらの反応が起こったのでしょうが――

「ここは本当に……どこなのでしょうか?」
「このガラスの足場……。道になってるみたいだけど、この先に何かあるのかしら……?」

 お姉ちゃんが足場の先を指さします。
 確かにこのガラスの足場は道になっています。

 道は一本道です。
 他に行先もありません。

「お姉ちゃん。とりあえず、先に進んでみませんか?」
「そうね……。ここで待ってても、何も解決しないだろうし……」

 お姉ちゃんは少し怯えていますが、やっぱり先へ進むしかないでしょう。
 どうしてこの世界に迷い込んだのかは分かりませんが、とにかくここから出る方法を考えないといけません。

 自分とお姉ちゃんは、恐る恐る先へと進みます。



「それにしても、不思議な光景ですが……なんだか神秘的ですね」
「そうね……。まるで、夢の中にでも迷い込んだみたい」

 少し歩いてみましたが、この世界の居心地は悪くありません。
 邪悪な気配など一切なく、まるで空気が澄み渡っているようです。

 こんな神秘的な世界――
 一体何の目的で存在するのでしょうか……?



「ラ、ラルフル!? ちょっと待って! あそこに誰かいるわ!」
「……確かにいますね。人……でしょうか?」

 さらに道なりに進んで行くと、少し広いスペースに誰かが立っていました。

 ――ただ、それが本当に"人"なのかは分かりません。

 姿かたちは人のものですが、全身が黄色く光っています。
 顔も誰か分かりませんし、ただこちらをじっと見ています――



「あ、あの……すみませんが、ここはどこでしょうか……?」

 自分は恐る恐る声をかけてみました――





 ――ダッ!





「っ!?」
「ラルフル!?」

 すると突然、その人影は自分へと襲い掛かってきました!

「くうぅ!?」


 ボガンッ!!


 そして拳を振り下ろし、自分へと殴り掛かってきます!
 重い一撃です……!
 まるで、虎にでも襲われたかのような――

「ハアァ!」

 ――ですが、自分とて負けてはいません!
 相手の拳をガードした後、今度はこちらから殴り掛かります!

 相手の一撃に負けないぐらい、全力でのパンチを顔面に放ちました――



 ボガァアン!!

 シュゥウウ――



「き、消えました……?」
「い、今の人影は一体……?」

 黄色い人影は自分の拳を一撃浴びせただけで、霧散してしまいました。
 本当に一体何だったのでしょうか?

 ただ、自分はあの人影の戦い方には、何か覚えがあるような――



 ――ブワァ!



「えっ!?」

 自分が考えていると、霧散していた黄色い人影が、まるで自分の中へ取り込まれるように体の中へと入ってきました。
 苦痛などはありません。ただ、自分の中で曖昧だった"何か"が明確になっていく――
 そんな感覚があります。

「ラルフル!? 大丈夫!?」
「は、はい……。なんとか……」

 お姉ちゃんも心配してくれていますが、体に異常をきたしたわけではありません。



 ――ただ、異常とは違った変化はありました。
 自分はあの黄色い人影と"戦ったこと"があります。
 自分はその人に負けましたが、あの時の戦いの経験が、自分の中でハッキリとした力に変わっているのを感じます。



 先程の黄色い人影――
 あれはきっと、自分がサイバラさんとの戦いで得た経験――

 それが形となった物ではないかと思います。
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