空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

文字の大きさ
108 / 465
魔女と旦那の日常編

ep108 初体験を尋ねられちゃった!

しおりを挟む
「はへ? エッチなこと?」
「そうよ~。夫婦になったんだから、当然してるわよね~?」

 お義母さんがアタシとタケゾーの関係で気になっていたこと――『エッチなことをしたかどうか』
 息子のお嫁さんにいきなり聞く話題としてはどうかと思うが、そこも気になるのが親心というものか。
 ただ、それでもアタシには分からないことがある。



 ――エッチなことって、どこからがエッチなことなんだろ?



「お、おふくろ!? おかしなことを聞くなっての!? 隼も真面目に答えなくていいからな!?」
「うーん……。まあでも、聞かれちゃったらねー……」

 タケゾーも慌てて話に割り込んでくるが、別にそこまで慌てることでもないよね。
 アタシとタケゾーは清く健全なお付き合いをしてたわけだし、何もいやらしいことなんて一つも――



「……あっ。そういえばあった」
「え~!? ホントの本当に~!?」



 ――と思ったが、よく考えれば一つだけあった。
 アタシがそれを匂わせる言葉を口にすると、お義母さんも嬉々とした様子で食いついてくる。
 よく考えてみれば、あれはかなりエッチだった。よって、アタシとタケゾーはもうすでにエッチなことをした経験がある。

 ――タケゾーも勢いでやってしまった情熱キッス。
 あれは今思い出しても、かなりエッチでいやらしかった。

「初体験はどんな感じだったの~!? 武蔵に優しくしてもらえたの~!?」

 成程。お義母さんはあの時のキスのことを尋ねてきたわけだ。
 あの時のことを語るのは恥ずかしくもあるけど、お義母さんに聞かれたら答えないわけにもいかない。
 アタシもこの人の義理の娘になるわけだ。義理とはいえ、親に隠し事はよくないよね。



「優しくはなかったねぇ。いきなりだった上に、結構乱暴に求められちゃった感じ。かなり下手だったし」
「えっ……?」



 そんなわけで、アタシはお義母さんについさっきの熱いタケゾーキッスのことを説明する。
 そのままアタシがどう感じたかを、嘘偽りなくありのまま説明してみる。

 ――ご希望通りにお義母さんに話したのだが、何故か唖然とした吐息を漏らして固まってしまった。本当になんで?

「じゅ、隼……? お、お前、何かズレてないか……?」

 さらにはアタシの旦那であり、ついさっき激しくアタシを求めたタケゾーまで唖然と固まってしまった。
 なんでタケゾーまでそうなるのよ? アタシ、間違ったことは言ってないよね?

「……ねえ、武蔵。ちょっとこっちに来なさい」
「お、おふくろ……?」

 アタシから見ると謎ムーブを起こしているタケゾー親子だが、突如お義母さんの態度が一変した。
 なんだかとっても怖い。いつものほがらかエナジーがまるで感じられない。漫画とかで『ゴゴゴゴ……!』って表現が似合いそうなぐらい威圧感がある。

 そして、そのままタケゾーの前で仁王立ちしていたかと思うと――


 パシィンッ!


 ――何故か我が子の頬をビンタで引っ叩いた。
 いや、本当になんで? 何でそうなっちゃうの?
 タケゾーも思わぬ出来事に、叩かれた頬を抑えながら怯える小動物のような眼で実の母親を見つめている。

「ま、まさか、武蔵が強姦魔になるだなんて……! お母さんはあなたをそんな子に育てた覚えはありません!」
「ま、待ってくれって! おふくろ、絶対に勘違いしてるからさ! まずは頼むから落ち着いて――」
「勘違いなはずがありません! 隼ちゃん自身が『下手くそに乱暴に犯された』と証言してるのよ!? これが強姦でなくて、なんだって言うの!? う、ううぅ……!」

 さらにそこから始まるのは、お義母さんによる実子タケゾーへの怒りと悲しみのこもったお説教。
 お説教の空気なのはアタシにも分かる。でも、色々とおかしな話になっているような気がする。

 ――そもそも、なんでお義母さんの中でタケゾーが強姦魔になってるわけ?
 無理矢理キスするのって、強姦に入るのかな?

 とりあえず、これはアタシも止めに入った方が良さそうだ。
 愛しい旦那様が理不尽に怒られるのは、流石にアタシも見るに堪えない。

「え、えーっと……お義母さん? アタシ、別にタケゾーに野性的に求められたことについては、むしろ満足してるというか、なんというか……」
「隼ちゃん! 無理はしないで! きっと武蔵の方から、乱暴にゴムも付けずに襲われたんでしょ!? そんなの完全に強姦よ!」
「へ? ゴム? 何の話? アタシとタケゾーはただ、熱い大人のキスをしただけだよ?」
「……はへ~?」

 涙を流しながらタケゾーに説教していたお義母さんだが、アタシの言葉を聞くと急に落ち着き始めた。
 口調にもいつものほがらかエナジーが戻り、涙を拭いながらアタシに確認をとるように語り掛けてくる。

「ほ、本当にキスだけなの~?」
「うん。まあ、あのキスも成り行きだったけど、タケゾーの告白みたいなもので嬉しかった。確かに下手くそで乱暴ではあったけど、アタシは満足してる」
「そ、そこから先は~?」
「そこから先って……何?」
「つ、つまり……初夜ってことよ~。夫婦の営みよ~」
「……あー」

 そんな確認の中で、アタシもようやくお義母さんとの認識のズレを理解できた。
 成程。お義母さんが知りたかったのはそっちだったか。確かにそっちをタケゾーがアタシに無理矢理やってたら、強姦魔だ何だとも言われてしまうか。
 でもまあ、タケゾーがそこまで思い切ったことをするはずがないよね。あのキスだけにしたって、相当無理をしてやってた感じだし。

 ――てか、そういえばアタシとタケゾーって夫婦にもなったのに、そっちの行為は全くやってなかったや。

「わ、分かっただろ……おふくろ。隼とおふくろの思ってることがズレてただけなんだよ……」
「ご、ごめんね~。武蔵にも隼ちゃんにも、悪いことをしちゃったわね~。……それで、実際にはしたのかしら~?」
「まだそこは気になるのかよ……」
「当然よ~? もしかすると、孫の顔が見れるかもしれないのよ~?」

 タケゾーも涙目になりながら会話に加わってきて、同時にお義母さんの気持ちも見えてくる。
 そりゃあ、息子が結婚したらその子供ができるかも気になっては来るよね。孫の顔も見たくなるのが親心か。
 アタシとしても、お義母さんの気持ちには応えてあげたい。
 まだそういう経験はタケゾーどころか誰ともしたことないけど、いずれはそういう関係にもなるはずだ。
 ちょっと怖さはあるけれど、そこのところも今後は考えて――



「……ごめん、タケゾーにお義母さん。アタシ、やっぱりそういう行為をするのはちょっと嫌かも……」



 ――と頭の中で思い浮かべていたが、ここであることがアタシを思いとどまらせてしまう。

 アタシは普通の人間ではない。空色の魔女だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

竜皇女と呼ばれた娘

Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ 国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……

美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness

碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞> 住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。 看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。 最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。 どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……? 神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――? 定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。 過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

処理中です...