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星皇カンパニー編・転
ep202 結局、アタシは無力だった。
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星皇社長の手でビルの屋上から投げ飛ばされ、アタシは身動きも取れずにどんどん下へと落ちていく。
もう抗うだけの気力も残っておらず、このまま地面に叩きつけられて終わりと思っていたが――
ザバァアアンッ!!
「ハァ、ハァ……。か、川……? 辛うじて生きてはいるってとこか……」
――アタシは近くの川に着水し、一命をとりとめることができた。
だが、これもまた一時しのぎに過ぎない。川の流れに身を任せ、アタシはボロボロのまま流されていく。
少し死期が伸びただけで、このままいずれは川底に沈むか、海の藻屑になって終わりだろう。
「タケゾーとショーちゃんのこと……考えてる余裕もなかったや……。ごめんね……こんな不出来な奥さんで……母親で……」
川の水がアタシの体温を奪い、ますます死を実感させてくる。
もう体どころか頭もまともに働かないし、このどうしようもない死を受け入れるしかないと思えてしまう。
家族に別れも告げられず、こんな身勝手な死に様なんて、本当にアタシはどこまで愚か者だったのだろうか?
正義のヒーローなんてやってても、アタシは結局ただ弱いだけの小娘に過ぎなかった。
どれだけ人一倍強力な力を身に着けても、アタシは誰も守れやしない。
――自分自身どころか、過去に囚われた星皇社長さえも。
「あー……そっか……。アタシは星皇社長のことも……守りたかったのかなぁ……」
死期が迫っているせいなのか、川に流されながらもアタシの思考はかえって穏やかに整理されていく。
星皇社長はこれまで、いつだってアタシのことを殺そうと思えば殺せた。ラルカさんを使えば、暗殺なんてお手の物だったはずだ。
それなのに、こうして今この時に至るまで、星皇社長はアタシを殺そうとはしなかった。
切り札でもあったラルカさんが出撃しても、あくまでアタシを無力化するだけに命令は留まっていた。
――その真意はもう分からない。だけど、アタシはある意味で星皇社長によって生かされていた。
別にそれで恩義を感じるわけじゃないけど、アタシはそこに星皇社長が『まだ一線を超えていない』ようなものを感じる。
失った我が子を取り戻したいという母親としての願いと、人々を巻き込みたくないという技術者としての葛藤。
そんな星皇社長の気持ちを、アタシは助けたかったのだろう。
アタシは『星皇社長を倒す』のではなく『星皇社長を救いたい』と思っていた。
激闘の中で忘れがちだったけど、アタシが胸に抱く空色の魔女というヒーロー像は『苦しむ人を助けること』にあったはずだ。
――今更そんなことを考えても、もう遅すぎた話だけどね。
「体……沈んできたや……。みんな……ごめんね……」
誰も守れず、助け出すこともできなかった無念。
それを頭に浮かべながらも、もうアタシの体に助かるだけの力は残っていない。
色んな人への懺悔を思い浮かべながら、その体も水底へと沈んでいく――
ザバァアアン!!
「プハァ! おい、隼! しっかりしろ! おい!!」
「タ……タケゾー……?」
――もうダメだと完全に諦めたその時、アタシの体が急に支えられて水面へ再び浮かび上がる。
もう意識も朦朧としているが、何が起こったのかはわずかながらに理解できる。タケゾーが川の中にいたアタシの体を引き揚げ、助け出そうと支えてくれている。
「ど……どうして……ここに……?」
「その話は後だ! 勝手に家を飛び出たことも含めて、話は全部後で聞く! ……くっそ! 体中ズタズタだし、かなり冷え切ってる……! ショーちゃん! バイクから毛布を! 早く!」
「分かった! 隼さん、しっかりして!」
まさかとは思うけど、タケゾーはアタシが星皇カンパニーへ向かったことに気付いて、こうやって駆けつけてくれたってこと?
川辺まで運ばれると、ショーちゃんの声も聞こえてくる。二人揃って、こんなアタシのことを助け出してくれたのか。
――申し訳なさを感じつつも、どこか安心してしまう。
「タケゾー……ショーちゃん……。こ、こんなアタシのために……ごめんね……」
「今は喋らなくていい! ショーちゃん! 隼に声をかけ続けてくれ! とにかく、まずは玉杉さんの――」
二人は川から引き揚げたアタシの体を毛布でくるみ、バイクのサイドカーに乗せてどこかへと走り始める。
――だけど、アタシが認識できたのはそこまでだ。
わずかに聞こえる家族の声を耳にしながら、アタシはとうとう意識を手離してしまった。
もう抗うだけの気力も残っておらず、このまま地面に叩きつけられて終わりと思っていたが――
ザバァアアンッ!!
「ハァ、ハァ……。か、川……? 辛うじて生きてはいるってとこか……」
――アタシは近くの川に着水し、一命をとりとめることができた。
だが、これもまた一時しのぎに過ぎない。川の流れに身を任せ、アタシはボロボロのまま流されていく。
少し死期が伸びただけで、このままいずれは川底に沈むか、海の藻屑になって終わりだろう。
「タケゾーとショーちゃんのこと……考えてる余裕もなかったや……。ごめんね……こんな不出来な奥さんで……母親で……」
川の水がアタシの体温を奪い、ますます死を実感させてくる。
もう体どころか頭もまともに働かないし、このどうしようもない死を受け入れるしかないと思えてしまう。
家族に別れも告げられず、こんな身勝手な死に様なんて、本当にアタシはどこまで愚か者だったのだろうか?
正義のヒーローなんてやってても、アタシは結局ただ弱いだけの小娘に過ぎなかった。
どれだけ人一倍強力な力を身に着けても、アタシは誰も守れやしない。
――自分自身どころか、過去に囚われた星皇社長さえも。
「あー……そっか……。アタシは星皇社長のことも……守りたかったのかなぁ……」
死期が迫っているせいなのか、川に流されながらもアタシの思考はかえって穏やかに整理されていく。
星皇社長はこれまで、いつだってアタシのことを殺そうと思えば殺せた。ラルカさんを使えば、暗殺なんてお手の物だったはずだ。
それなのに、こうして今この時に至るまで、星皇社長はアタシを殺そうとはしなかった。
切り札でもあったラルカさんが出撃しても、あくまでアタシを無力化するだけに命令は留まっていた。
――その真意はもう分からない。だけど、アタシはある意味で星皇社長によって生かされていた。
別にそれで恩義を感じるわけじゃないけど、アタシはそこに星皇社長が『まだ一線を超えていない』ようなものを感じる。
失った我が子を取り戻したいという母親としての願いと、人々を巻き込みたくないという技術者としての葛藤。
そんな星皇社長の気持ちを、アタシは助けたかったのだろう。
アタシは『星皇社長を倒す』のではなく『星皇社長を救いたい』と思っていた。
激闘の中で忘れがちだったけど、アタシが胸に抱く空色の魔女というヒーロー像は『苦しむ人を助けること』にあったはずだ。
――今更そんなことを考えても、もう遅すぎた話だけどね。
「体……沈んできたや……。みんな……ごめんね……」
誰も守れず、助け出すこともできなかった無念。
それを頭に浮かべながらも、もうアタシの体に助かるだけの力は残っていない。
色んな人への懺悔を思い浮かべながら、その体も水底へと沈んでいく――
ザバァアアン!!
「プハァ! おい、隼! しっかりしろ! おい!!」
「タ……タケゾー……?」
――もうダメだと完全に諦めたその時、アタシの体が急に支えられて水面へ再び浮かび上がる。
もう意識も朦朧としているが、何が起こったのかはわずかながらに理解できる。タケゾーが川の中にいたアタシの体を引き揚げ、助け出そうと支えてくれている。
「ど……どうして……ここに……?」
「その話は後だ! 勝手に家を飛び出たことも含めて、話は全部後で聞く! ……くっそ! 体中ズタズタだし、かなり冷え切ってる……! ショーちゃん! バイクから毛布を! 早く!」
「分かった! 隼さん、しっかりして!」
まさかとは思うけど、タケゾーはアタシが星皇カンパニーへ向かったことに気付いて、こうやって駆けつけてくれたってこと?
川辺まで運ばれると、ショーちゃんの声も聞こえてくる。二人揃って、こんなアタシのことを助け出してくれたのか。
――申し訳なさを感じつつも、どこか安心してしまう。
「タケゾー……ショーちゃん……。こ、こんなアタシのために……ごめんね……」
「今は喋らなくていい! ショーちゃん! 隼に声をかけ続けてくれ! とにかく、まずは玉杉さんの――」
二人は川から引き揚げたアタシの体を毛布でくるみ、バイクのサイドカーに乗せてどこかへと走り始める。
――だけど、アタシが認識できたのはそこまでだ。
わずかに聞こえる家族の声を耳にしながら、アタシはとうとう意識を手離してしまった。
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