空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

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新世代ヒーロー編

ep253 新人三人組を追っ払え!

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 いちゃもんをつけられる形で始まった、アタシVS新人三人組というヒーロー同士のバトル。
 中学校の校庭を借りて、世の中を守るヒーロー同士がぶつかり合ってしまう。

「うおおぉ! 空色の魔女と政府の犬パーティーのバトルだぁぁあ!」
「頑張って! 空色の魔女ぉぉおお!」
「ほう……! わしも若い頃、合気道で地下格闘場のリングに上がったのを思い出すわい……!」

 教室から生徒達もその様子を眺め、授業そっちのけで観戦している。てか、おじいちゃん教師まで観戦してる。
 まさにオーディエンスは大盛り上がりだ。アタシとしては学校なんだから、本分の学業に力を入れて欲しいもんだ。
 将来何になるか分からないんだから、多くを学んで知っておくことは重要なんだよ? アタシもエンジニアから清掃業になってそう感じるよ。



「おい、空色の魔女! 真面目に僕達の相手をしろ!」
「敵を眼前に集中しないなど、無礼にもほどがあんだろ!?」
「私達のことを舐めすぎでしてよ!」
「あー、ごめん。ぶっちゃけ、片手間でどうにかなる感じだったから、意識が逸れてたや」



 そんでもって肝心の新人三人組なんだけど、まあ決して動き自体は悪くない。
 どんな肉体改造をしたのかは不明だけど、身体能力自体は確かに高い。平常時のアタシぐらいのスペックはある。
 勇者仮面は素早く剣を振るい、戦士仮面は鎧で身を守りながら殴り掛かり、僧侶仮面がバリアで防御に回る。こっちと違って連携だってとれる。

 ――だけど、本当に『ただそれだけ』って話だ。
 身体能力に関しては牙島よりはるかに劣り、連携についてもラルカさんとその部下達ほど恐ろしくはない。
 それに何より、まだ能力の使い方がなっていないとでも言うべきか、アタシにはどこか『強大な能力に振り回されている』感じがするのよね。

 これなら正直、デザイアガルダあたりを一人で相手する方が厳しいぐらいだ。

「パワーもチームワークもテクニックも、もうちっと磨いてから出直してくるこったね! オーディエンスには悪いけど、さっさとゲームセットさせてもらうよ!」

 アタシもヒーロー同士のバトルなんて無益なことを、そう長々と続けたくはない。
 もう一気に勝負に出るためにも、空中で電撃魔術玉の構えをとり、一ヶ所に集まった新人三人組へと狙いを定める。
 この距離での一掃が狙いなら、チャージの必要があっても広範囲を攻撃できるこっちの方がビームライフルより好都合だ。

「くっ!? 降りてこい! 空色の魔女! 空を飛ぶなんて卑怯だぞ!?」
「これはアタシの固有能力なもんでね。卑怯だ何だはお門違いってもんよ」
「私が防御するわ! あんな電気玉の一つぐらい、私の手で……!」

 チャージタイムに関しても、向こうは空を飛べないからこっちが範囲外でやれば問題ない。
 それでも僧侶仮面が前方に躍り出て、電撃魔術玉をバリアで食い止めようと構えてくる。
 あのバリアって、どれぐらいの強度なんだろうね? 電撃魔術玉を防がれると面倒だ。

 ――だったら、もう一手先も講じておきますか。

「まずは……電撃魔術玉! 発射ぁぁああ!!」

 とりあえず、初手は変わらない。チャージしておいた電撃魔術玉を三人目がけて、宙を舞ったまま発射する。
 僧侶仮面のバリアがあるけど、はてさてどこまで耐えられるものか。


 ギュゴォォォオン!!


「くうぅ……!? す、凄まじい衝撃……!」
「だが、よく耐えた! この技は空色の魔女の必殺技! これに耐えきれた以上、僕達の勝利は目前だ!」

 衝撃でかなり後逸はしてるけど、僧侶仮面のバリアはアタシの電撃魔術玉を耐えきった。
 やっぱ、能力自体は大したもんなんだよね。アタシも威力を加減はしたけど、あの電撃魔術玉を耐えるのは見事なもんだ。
 実際、これがアタシ一番の必殺技ではあるけれど、次の一手はもう用意してある。威力を抑えたのもそれが理由だ。

「勝ち星が見えそうなところ悪いんだけど、そいつはちょいと油断しちゃったもんだねぇ!」
「なっ!? もう突進してきた!?」
「お、俺が仁王立ちで――」
「残念! もう手遅れってもんよ!」

 電撃魔術玉を発射するとほぼ同時に、アタシ自身もデバイスロッドに腰かけながら三人のもとへ突っ込んでいく。
 完全に電撃魔術玉に意識を向けてたから、アタシに気付いたころにはもう遅い。こっちは戦いの年季が違うってもんだ。年単位で戦ってないけど。
 ともあれ、突進で三人の懐まで潜り込めばこっちのもんだ。デバイスロッドを両手で握ってスタンロッドへと機能変更し、ここからは近接勝負となる。
 僧侶仮面のバリアも電撃魔術玉で解除されたし、戦士仮面の鎧もここまで懐ならば突き破れる。
 勇者仮面が剣を構えなおす余裕もなく――


 バコォン! バコォン! バコォン!


「ガハッ……!? ぼ、僕達が……負けた!?」
「お、俺の鎧の上からでも電撃が……!?」
「な、なんでモグリのヒーローがこんなに強いのよ……!?」

 ――アタシがロッドをそれぞれに振り抜いていき、あえなく撃沈。普段のヒーロー活動よりは骨が折れたけど、それでも強豪ヴィランを相手にするほどでもない。
 今はそういうヴィランもいないからいいけど、これはちょいと実力不足ではなかろうか? もしもまた本当に本物のヴィランが出てきたら、この三人組だけじゃ対処しきれないよ?
 将軍艦隊ジェネラルフリートだってまた何をするか分からないし、正直言うとこの新人三人組に街の平和は託せないね。

「あんた達さ、本当にもうちょっと鍛え直した方がいいと思うよ? アタシ一人に軽くいなされるようじゃ、この先のヒーロー活動も苦しくなっちゃうよ?」
「ほ、本当に腹の立つ魔女だ……! どこまで偉そうに先輩面すればいいんだ……!?」
「お、俺らは政府公認のヒーローなんだぞ……!?」
「ど、どうして私達の方が、あなたみたいなみたいなモグリなんかに……!?」

 校庭のど真ん中で政府公認のヒーローがうずくまり、モグリと呼ばれるアタシが上からご高説を垂れるというのもおかしな光景だ。
 アタシだって、本当はこんな風にしたくはないのよ? だけど、そうせずにはいられないのよね。

 これまでそれなりにアタシもヒーローをやってきたけど、その力にも行動にも責任が伴う。アタシだって、まだまだ未熟だと感じてる。
 それをどうしても理解してほしくもなるし、ヒーローをするんだったら覚悟が必要だ。

 ――正直、ヒーローをやることって憧れとかよりも、背負うものの重さが上回るのよ。
 星皇社長との戦いを通じてアタシもそれを学んだ。独善的かもしれないけど、そこの理解を求めずにはいられない。



「ほぉう? 流石は空色の魔女。ヒーロー制定法が施行されるよりも以前から、ヒーローとして戦っていただけのことはある。そこの三人が相手でも、後れを取る様子もなしか」
「ん? どちら様? ……って!? あ、あんたはまさか……!?」



 そうこう新人三人組にお説教をしていると、校庭にまた別の人物がやって来た。
 こんなヒーロー同士のくだらない喧嘩に割り込むなんて物好きだとも思ったけど、この人は新人三人組とも大いに関係がある人だ。
 てか、なんでここにいるのよ? こんな場所に姿を見せるのは、似つかわしくない人だよね?
 まさに元相撲取りのようなガタイをして、高そうなスーツに身を包んだこの人は――



「ウチのヒーローがお世話になったみたいだな。流石はヒーロー制定法が定められるよりも前から、ヒーローをしているだけのことはあるか」
「こ、固厳こげん首相……!?」
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