空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

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将軍艦隊編・序

ep298 パワーアップした怪鳥が帰ってきた!?

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将軍艦隊ジェネラルフリートに改造されたってこと? そりゃまた、GT細胞以外の禁忌にも手を出しちゃった感じだねぇ……」
「確かにこのサイボーグ化により、ワシは人間に戻る能力を失っタ! だが貴様に復讐できると考えれば、十分すぎる代償ダ!」

 人が集まる駅前広場にある電柱の上で、とうとうそいつは姿を現した。
 アタシの叔父である以上に、最早宿敵としか映らなくなったヴィラン――デザイアガルダ。
 もう何度目の対峙か分かんないけど、その姿は以前とは大きく違っている。

 左目や翼や足の部分へツギハギしたように機械部品を埋め込み、その身をサイボーグ化している。
 その影響で人間に戻る能力を失ったらしく、もう完全に人間を辞めちゃった感じか。
 名前まで『デザイアガルダ・リターンズ』と改めて、さらに人外な力を手に入れたことを誇示したいっぽい。
 一応は肉親だけに、その姿を見ると心苦しくもなってくる。

「くそっ! 予定とは大幅に違ったが、デザイアガルダが出てきたのならこっちも動くぞ!」
「ライトブレイブもしっかりしなさいよね! まずはあの怪鳥を仕留めて――」
「貴様らごときがワシを仕留めるだト? 図に乗るナァァア! 若造ガァァア!!」

 アタシは知った間柄ということもあって、少し挨拶程度に言葉を交わしはした。
 だけど、新人ヒーロー達にそんなことは関係ない。向こうもデザイアガルダを待ち構えてたわけだから、いったん話を中断して戦闘態勢をとる。
 とはいえ、正直言って大丈夫なのかね? デザイアガルダって、パワーアップする前からかなりの強敵よ?
 アタシが予測する限り、とても敵いそうにはないというか――

「この新たな力で、焼き殺してくれるワァァアア!!」


 ボオォォォオオッ!!


「ぐおぉ!? ひ、火を吐いてきただと!?」
「ちょっと!? 事前情報と違うじゃない!? 最初の話はどこに行ったのよ!?」

 ――それ以上に、デザイアガルダのパワーアップの方が驚きだ。
 口から吐き出されたのは、向かっていった戦士仮面と僧侶仮面を一気に焼き払う炎。
 あまりの火力に戦士仮面の鎧も意味を成さず、僧侶仮面のバリアも間に合わない。

「ああ、もう! むやみやたらに突っ込んでくから、そうやって被害を受けるんだよ! ほれ! これで消火しときな!」

 色々と嫌な連中だけど、ここで見殺しなんてヒーローの名が廃る。
 近くにあった消火栓へグローブに仕込んだジェット機構で衝撃波を放ち、丸焦げになる前に即席シャワーで火を消しておく。
 なんとか無事みたいだけど、今のやりとりだけで戦力差が歴然なのは理解できた。これはアタシが本気を出さないと、太刀打ちできそうにない。

「てかさ、さっき変なことを言ってなかった? 『最初の話はどこに行った』とかなんとか?」
「その件についてだけど、僕達とデザイアガルダの一戦自体が所謂マッチポンプだったのさ。……正直、僕もいい気はしない作戦だ」
「おー、宇神君。解説ありがとね」

 そして今回の騒動の発端についても、一人突撃せずに無事だった宇神君が語ってくれた。
 もしかして、デザイアガルダの脱獄から仕組まれたことだったってこと? 空色の魔女アタシをヒーローの座から蹴り落とすのと同時に、自分達がヒーローの椅子を陣取りたかったから?
 だとしたら、とんでもない自作自演だ。国が率先してアオコギな真似をするもんじゃないよ。
 誰だ? アタシのことを『自作自演で人気を得ようとしたエセヒーロー』とか言った奴は? 逆じゃんか。
 まあ、今はそんな些細なことを気にしている場合じゃないか。

「政府の作戦など知るカ! この力を使い、ワシを落ちぶれさせた人間に復讐すル! それができるなら、政府も将軍艦隊ジェネラルフリートも関係なイ!」
「あー……この場にアタシがいたせいもあって、頭に火が着いちゃったのか。作戦も何も忘れて、完全に暴走しちゃったのね」

 デザイアガルダは羽ばたきながらアタシを睨んでくる。
 一応は作戦があったみたいなのに、こうなってくるともう関係ない。
 デザイアガルダからしてみれば、アタシの存在ほど鬱陶しものもないだろう。

 ――まあ、それはこっちも同じ話だ。

「あいつ、空を飛べるからアタシでなきゃ立ち向かえないよね。宇神君! そこの二人とアタシを批判してた連中を避難させて!」
「分かった! こっちは僕で何とかする!」
「タケゾー! ショーちゃん! そっちも応援してくれたみんなと避難してて! ここはアタシが受け持つよ!」
「それはいいんだが、隼一人で大丈夫なのか!?」
「ボクも一緒に戦った方がいい!?」

 どれだけパワーアップしていようと、空を飛べるデザイアガルダと戦える人間はアタシしかいない。
 人も集まってるし、避難に人員を割く必要もある。
 タケゾーとショーちゃんはアタシのことを気遣ってくれるけど、そいつは問題ナッシングってもんさ。



「街の人々の声援で復活した街のヒーロー……。ありきたりだけど、ここに完全復活を宣言させてもらうよ!」
「……分かった! その言葉を信じるぞ!」



 もうアタシの心を縛る鎖はない。守る意味だって取り戻した。
 どれだけ世間から非難されようと、アタシはアタシの正義を信じてヒーローであり続ける。

 ――アタシを守る声となってくれた人々のためにも、悩んで泣いてる時間はおしまいだ。

「クケェェエ! たった一人で、このデザイアガルダ・リターンズとなったワシに立ち向かうのカ!? 姪っ子の分際で、本当に勝てると思ってるのカ!?」
「叔父だとか姪だとか、そんなものは関係ないさ。それに、パワーアップしたのはあんただけじゃなくってね」

 アタシの言葉の通りにタケゾー達は人々を避難させるのを背に、眼前で宙を羽ばたくデザイアガルダと向かい合う。
 色々とこうなった事情も聴きたいけど、それは終わった後でも構わない。
 今やるべきことなんて一つしかない。

 サイボーグ化したデザイアガルダ・リターンズだか知らないけど、こっちだって気持ちの面では負けてない。
 これほどまでに人々の声や気持ちを背負うことが心地よいなど、これまでにもなかった話だ。思わず口元がニヤけてしまう。



 ――『想いを背負った強さ』というものを、この忌まわしき怪鳥に見せつけてやろう。



「アタシは空色の科学魔女サイエンスウィッチ……。この街のヒーローとして、悪しきヴィランたるデザイアガルダ・リターンズを討伐してやんよぉぉおお!!」
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