空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

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将軍艦隊編・序

ep302 爆空の最強機人:バーニングボーグⅡ

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「う、受け取れって何を――え? これって、お酒のボトル?」
「それがあれば、あのとんでもサイボーグにもまだ対抗できるだろ! こっちもできる限り援護する! もう少しの間、踏ん張ってくれぇえ!!」

 オフィス街を飛行するガンシップ目がけて、近くにあるビルの屋上からタケゾーがお酒のボトルを投げ渡してくれる。
 フクロウさんも合わせてくれたらしく、一時的に速度を落としてくれたので、アタシも無事にキャッチできた。
 すぐに通り過ぎちゃったけど、タケゾーや玉杉さんはアタシのために援護してくれているのだけは分かる。

「アカッチャンやタマッチャンだけじゃないさ! このオフィス街のビルの屋上には、街の住人が控えてくれてる! おそらく、同じようにソラッチャンの燃料を投げ渡してくれんだろうよ!」
「……どうにも、アタシはまた街のみんなに助けられてるってことか。こいつはありがたい話だし、ご期待に添えないと罰が当たるってもんさねぇ! ニシシ~!」

 タケゾーや玉杉さんだけじゃない。さっきもアタシのために口論してくれた街の人々が、ズラリと並んだビルの屋上で待機してくれている。
 遠目だけどこっちに手を振ってくれてるし、人数もかなりのものだ。奥の方とかコンタクトレンズの遠視機能を使っても確認しきれない。

 ――狙われてるのはアタシなのに、ここまでしてくれるなんて泣ける話だ。
 だけど、泣いてる場合じゃない。むしろ、アタシも自然と嬉しさで笑い声が溢れてしまう。

「フオオオオォ!!」
「おっ? 追ってきたねぇ? でも、今度はさっきみたいにはいかないよ! ンク! ンク!」

 軌道修正したフレイムが追い付いてきたけど、ここはアタシのホームだ。
 援護してくれるみんながいる。フクロウさんだって、アタシのためにガンシップを飛ばしてくれる。



 ――相手が宇宙戦争でもしそうなサイボーグだろうと、もう遅れはとらない。



「――プハァ! 燃料補給があるならば、余計なコストを考える必要もないね! こっちも今度は全力で行かせてもらうよぉぉおお!!」
「フオオォ!?」

 お酒と一緒に想いも飲み込み、アタシは再びデバイスロッドを構える。
 生体コイルの稼働率も上がった。何より、ここから先にも補給ポイントがある。
 フレイムみたいな人智を超えた相手に、手加減も何も必要ない。


 ビビュンッ!! ビビュンッ!! ビビュンッ!!


「フオオ!? オオォ!?」
「流石のあんたも、ここまで徹底的に加減なしのビームライフルを連射されれば、怯まざるを得ないってことかい!」

 今度のアサルト版ビームライフルはさっきよりも強力だ。生体コイルをフル稼働させ、後のことを考えずに高出力での連射を続ける。
 オフィス街に入ったことで、フレイムにも飛行制限が入っている。さっきのように自由自在には飛べない。
 むしろ小回りに関しては、フクロウさんの操縦するガンシップの方が上だ。
 そんなところに電撃魔術玉に近い出力まで上げたビームを何発も食らえば、フレイムの装甲があっても後手に回るしかないようだ。

「ヒィ! ヒィ! と、とはいえ、この連射は消耗も激しいもんだ……!」
「空色の魔女姉ちゃん! お届け物だ!」
「こいつで粘って、街の連中にいい夢見させておくんなよ!」
「おっし! サンキュー! ナンパチャラ男ーズ!」

 無論、ここまで極端な連射を続ければ、アタシの燃料アルコールなんてすぐに枯渇する。
 だけど、そのタイミングで近くのビルの屋上から投げ渡されるお酒のボトル燃料
 街の人々が率先してマラソンランナーへの水分補給のように、アタシのサポートへ回ってくれている。

「ほらほら! こっちはお酒がある限り、いくらでも相手してやんよ!」
「フオオォ……オオオォ!!」
「こんな状況でもガトリングガンを撃ってくるかい!? だけど、こっちも手を休めはしないよ!」

 フレイムも左腕のガトリングガンで反撃してくるけど、常時フルパワーを維持できる今ならば問題ない。
 デバイスロッドは右手だけに持ち替えて連射を続け、左手で電磁フィールドの盾を作り出す。
 燃料の心配がなければ、これぐらいの無茶だって可能だ。守りに入りながらも、攻撃の手を緩めることはしない。

「ほれ、おじいさんや! 足腰はわしが支えてやるから、空色の魔女ちゃんにそのボトルを投げ渡すんじゃ!」
「任せるんじゃ! かつて高校球児として150km/hのストレートを投げたわしの強肩、まだまだ衰えてはおらぬわ!」

 オフィス街を飛びぬけるガンシップ目がけて、街の人々がお酒のボトルを託してくれる。

「今です! 僕の計算によると、このタイミングです!」
「任せろ! 俺のムキムキとタンクトップを舐めんじゃねぇええ!!」

 これまで出会った人々が、アタシへお酒と一緒に想いを託してくれる。

「赤原先生のお母さん! お願いします!」
「私だって、やる時はやるわよ~!」

 次々に渡されるお酒と想いを力に変えて、アタシは追走してくるフレイムに攻撃を加え続ける。

「フオオォ……オオォ……!!」
「こんだけやってもまだ動くのかい!? 本当に人間とは思えないほど頑丈だねぇ!」

 アタシとしてはこれまでにないほどの猛攻を続けるも、フレイムはまだ止まる様子を見せない。
 背中のジェットパックも出力こそ低下してきているが、まだまだ健在といった様子だ。
 こっちは街の住人も含めて何人がかりか分からないのに、本当に同じ人間なのか不安になってくる。

 ――まあ、最初にその姿を見た時から思ってたけど。

「フオオオォ!!」

 しかもガトリングガンでは限界とでも感じたのか、一度速度を落として再度両肩の大砲を展開してくる。
 こんな街中でガトリングガンを防ぐだけでも必死だったのに、爆風のおまけつきの大砲なんてたまったもんじゃない。

 ――でも、そうやってスピードを落としたのはマズったね。


 ズバァァアアンッ!!


「そんな危ないもの! 隼さんに向けさせない!」
「フオオッ!? オオォッ!?」
「ナイス! ショーちゃん!」

 アタシの視界の隅にも映っていたショーちゃんが隙を突き、ビルからビルへ飛び移りながらフレイムに居合一閃。
 おかげで両肩の大砲は真っ二つ。不意を突かれたフレイムは空中でバランスを崩し、あたふたとしている。

「よーし! ここいらで決着といきましょうか! みんなが託してくれたお酒と想いによるこの技で、この戦闘からリタイアしてもらうよぉお!!」

 みんなが繋いでくれた力がここまでフレイムを追い詰めてくれた。
 ここでアタシが決めなきゃ、カッコ悪いとかそんな話じゃない。全てが台無しになってしまう。
 コクピットの上で立ち上がり、両手を合わせながらトドメの一撃の構えに入る。

 もうアタシは迷わない。世間から何と言われようと、信じてくれる人たちがいる。
 一緒に暮らす街の人達が味方してくれるだけでも、この街のヒーローとしては十分だ。



 ――その想いを、この一撃に込める。



「食らえぇえ! 極限出力の……電撃魔術玉だぁぁああ!!」
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