空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

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将軍艦隊編・序

ep303 最強のサイボーグをやっつけた!

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「フオオオオオォ!?」


 ギュゴォォォオオンッッ!!


 けたたましい炸裂音を鳴り響かせ、これまでで最大出力の電撃魔術玉がフレイムに直撃する。
 いくら分厚い装甲を身に纏っていても、この一撃には耐えられまい。
 巻き起こった煙が晴れていくと、再びその姿が見えてくる。

「フオォ……オオォ……!?」
「驚いたもんだ……。これだけのダメージを食らっておいて、まだ完全に機能停止といかないとはねぇ……!」

 フレイムは体中から火花を散らし、煙を溢れさせている。アタシから見ても内部のサイボーグパーツがかなり損傷しているはずだ。
 それでも、まだ背中のジェットパックで飛行は続けている。本当にとんでもないバケモノを相手にしたもんだ。

「完全に機能停止とはいかなかったが、フレイム艦尾将がここまでボロボロになる姿なんて初めて見るな……。どっちみちあの様子じゃ、戦闘続行自体は不可能っしょ」
「フクロウさんがそう言うなら、ひとまずは安心していいのかな? パイロットの方もお疲れだったね」

 フクロウさんは操縦していたガンシップを空中で制止させ、同じようにフレイムの様子を伺っている。
 同じ将軍艦隊ジェネラルフリートのフクロウさんが言うのだから、信用して大丈夫だろう。
 本当に苦しい戦いだったし、みんなの援護がなければ勝てなかった。

 ――アタシ一人の力でなく、みんなで掴んだ勝利だと思うと感慨深い。



【クーカカカ! まさか、フレイムがここまで叩きのめされるとは、俺様も思ってなかったってーもんだ! ……揃いも揃って、やってくれるぜ】
「え!? この声って、フロスト博士!? フレイムの方から聞こえるけど!?」
「……どうやら、フレイム艦尾将に搭載されたスピーカーから話してるらしいな。さっきまでの様子も、カメラで遠距離から確認してたってことか」



 そんな勝利の余韻に水を差すように、フレイムからフロスト博士の声が聞こえてくる。
 フクロウさんが解説してくれるけど、まさかずっと様子を伺ってたってこと? 相変わらずの食わせ者だ。

【まー、こっちもデザイアガルダ・リターンズの回収はできたし、そろそろ撤収ってーところだな。フレイム、オメーもこっちに戻って来い。修理の必要だってあるからな】
「フ……フオオォ……」
「……結局のところ、時間稼ぎは成立しちゃったってわけね。アタシも必死だったけど、痛み分けって感じか」

 スピーカー越しにフロスト博士はフレイムに命令を下しながら、今回の一件を振り返ってくる。
 デザイアガルダを差し向けたのも、元を辿ればアタシへの嫌がらせだ。
 その目論見を打破できただけでも、こっちとしては大きな戦果か。

【あー、それとだ、フクロウ。テメーはしばらくの間、将軍艦隊ジェネラルフリート内で謹慎処分ってーことで】
「ほぉう? フロストの旦那ともあろうお人が、オレッチを謹慎だけで済ませちゃうのかい? クビにしてもよくない?」
【できることならそーしてるっての。テメーの立場はウォリアール本国からしてみても、厄介極まりねーんだよ】

 ただ、今回の一件にフクロウさんが味方してくれたせいで、将軍艦隊ジェネラルフリートからは処分を受けてしまった。
 それにしても、処分内容が謹慎だけってのは緩くないかな? フクロウさんも少し疑問に思ってるし。

 ――でも、そこにも何か理由がありそうな口ぶりなんだよね。

「ねえ、フクロウさん。あんたって本当に一体、何者なのさ?」
「……まあ、そいつは後で落ち着いてから話してやるさ。アカッチャンにもバレちまったし、そろそろ潮時だろうよ」
【そっちで話をするってーなら、勝手にやってくれ。……だが、空色の魔女。テメーのことは今後も明確に将軍艦隊ジェネラルフリートの敵として、つけ狙わせてもらうぜー。さー、退却しろ、フレイム】
「フオオオォ……」

 その話を今この場でフクロウさんからもフロスト博士からも聞くことはできなかった。
 スピーカー越しに命令が下されると、フレイムはその言葉通りに空を飛んで退却していった。
 あれだけダメージを与えたのに、まだ自力で飛んで帰るだけの力は残ってたのか。つくづく、勝てたのが不思議なレベルのとんでもサイボーグだ。

「ハァ~……。なんだかんだで、アタシも疲れたもんだ。みんなに助けてもらってこれなんだから、タイマンだと勝ち目も何もなかったろうねぇ」
「ソラッチャンだからこそ、みんなは味方してくれたんだろうよ。それもまた、ソラッチャンの力だと思っときな」
「うーん……まあ、アタシ本人にはよく分かんないかな? やりたいようにやった結果、周りの人が支えてくれたって感じで――あっ。スマホにメッセージが届いてる」

 一難去ると、アタシもドッと疲れが出てくる。今回の相手はそれこそ数人がかりでないと倒せなかったからね。
 色々と気になってることもフクロウさんに聞きたいんだけど、そんな時にアタシのスマホへメッセージが入ってくる。
 宛先人はタケゾーのようだ。

「えーっと……『空色の魔女の勝利を祝して、玉杉さんの店で祝勝会をやろう』ってか。まあ、アタシも気持ちが完全復活したことだし、まずは祝いの一杯と洒落込みたいねぇ。フクロウさんも一緒に来ない?」
「そいつは光栄な話だ。でも、オレッチはちょいとこのガンシップを収納したりで時間がかかる。ソラッチャン達で先に始めて頂戴な」
「そう? だったら、アタシは先に向かわせてもらうね。……あっ。飲んだボトルはこっちで処分しとくね」
「意外とそういうところは律儀なもんだね……」
「まあ、アタシも表じゃ清掃の仕事をしてる身だし、そこは偉大なる先輩を見習ってしっかりとね」

 コクピットに散乱したお酒のボトルも回収し、アタシはデバイスロッドに腰かけて一人で宙を舞う。
 かなりの数のボトルだけど、その本数がそのまま助けてもらった量だと思うと、どこか感慨深さも湧いてくる。

 ――まあ、処分は多少面倒だけどね。ゴミ袋とか持ち歩いてればよかった。





「……ふい~。ようやく玉杉さんのお店に到着だ。もう陽も暮れちゃったけど、飲み明かすにはいい時間かもね」

 ゴミの処分を終えて玉杉さんの店の前まで来ると、アタシも変身を解除して普段着の作業服に戻る。
 祝いの席なんだからもうちょっとおめかしした方がいいかもしれないけど、どうせ知人しか集まっていない席だ。
 中にいるのだって、玉杉さんにタケゾーにショーちゃんやお義母さんぐらいなものだろう。気にする相手でもないね。

「みんなー! おっ疲れ様ー! 今日は色々とありがとねー!」

 そんなわけで、まずは元気よく店のドアを開けて中へ入る。
 アタシとしても元気になった姿を見せたかったからね。中の様子を見るより先に飛び込んじゃった。

「おっ? 主賓の登場だな! 本当にお疲れ様だよ、空鳥さん」
「むしろ、この場では空色の魔女って呼んだ方が適当かしら?」
「あ……あれ? インフルエンサーカップル? な、なんで二人がここに?」

 アタシも正体を知ってる人間しか中にいないと思ってたんだけど、どうにも様子がおかしい。
 店に入ったアタシにまず声をかけてくれたのは、一時は空色の魔女を批判していた中学時代の同級生ことインフルエンサーカップルだ。
 なんでこの二人がここにいるわけ? 身内で祝勝会じゃなかったの?

 ――てか、よく見るともっとたくさんの人が店内にいるんだけど?



「流石は空色の魔女だったな! 俺のムキムキとタンクトップでも敵いそうにないあの巨人サイボーグも倒したか!」
「僕の計算によると、彼女には計算以上のパワーが宿っています」
「わしも若い頃、甲子園のマウンドで強敵と戦ったことを思い出すわい」

「ま、街のみんな……? 揃いも揃って、どうしてここに……?」
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