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ヒーローの在り方編
ep350 内閣総理大臣:固厳 豪Ⅱ
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寸前のところで気配を感知し、アタシ達が空中へ回避したところで甲板の下から伸びてきたのは、核融合によって生み出された電力で作られた光の柱。
あれはもうレーザー砲と言ってもいいレベルだ。回避していなければ、一瞬でローストになっていたことだろう。
「ダーハハハ! 流石は電気の能力を司るだけのことはあり、察しはいいようだなァ! だが、これを見てもなおオレに挑めるかァ!?」
「冗談じゃないって言いたくなるよ……! あそこまで来ると、太陽の力をそのまま使いこなせるようなもんじゃんか……!?」
これまでは機銃を投げつける遠距離攻撃しかできなかった固厳首相なのに、あんな電気の柱を障壁にされると近づくことさえ難しくなる。
かといって、こちらに遠距離から攻撃する手立てはなし。アタシに使える電気系の飛び道具はすべからく吸収されてしまう。
「どうする、隼……!? このまま空中に逃げてるだけじゃ、こっちも攻撃できないぞ……!?」
「やっぱり、近づくしかない。でも、どうやって近づけばいいのか分からない」
「そんなにオレに近づく方法に悩むんだったら……こっちから近づいてやろうかァア!?」
こちらの苦難はまだ終わらないのに、固厳首相の攻め手は緩まない。その強化された超絶身体能力を活かし、なんとこちらに飛び掛かってくる。
狙ったのはアタシではなく、ショーちゃんを担いでジェットアーマーで空を飛ぶタケゾーの方だ。
いくらタケゾーがジェットアーマーを使いこなして戦えるようになったとはいえ、ショーちゃんを守りながらの空中戦は荷が重い。
「させるかぁぁあ!!」
「ダハハハ! 空色の魔女も家族が大事かァ! だったら、テメェが代わりになりやがれェェエ!!」
アタシも慌てて固厳首相に飛び掛かるが、その動きも計算されていたようだ。
空中で体を回転させ、拳を振り下ろしながらアタシの方へ狙いを切り替えてくる。
タケゾーとショーちゃんが狙われたせいで焦ってしまったか。振り下ろされた拳は無情にもアタシのどてっ腹へと突き刺さってくる。
ドゴォォンッ!!
「ガッ……ハァ……!?」
「せっかく家族が助けに来て回復薬まで用意してくれたのに、無様なもんだなァ! 空色の魔女ォ!」
まともに食らってしまったため、アタシは空中から一気に甲板の上へと体を叩きつけられてしまう。
修復されつつあった内臓にも再度ダメージが入り、またしても口から鮮血が溢れ出してしまう。思わず口元を押さえた手の平が真っ赤に染まる。
ここまで吐血した戦いなんて、今までにだってなかった。一発一発が重すぎる。
「寝ながら苦しんでる暇もねェぞォ! 白陽炉による電撃を、もう一度味わいやがれェェエ!!」
「ゲホッ! く、くそ……!」
さらには休む暇もなく、苛烈に攻め立ててくる固厳首相。向こうも空中から着地すると同時に、再度拳で甲板を殴りつけて電撃を操ってくる。
アタシも痛みに耐えながら、再び迫りくる電撃の柱を回避するために甲板を転がりながら回避するしかない。
ズギャァァアアンッ!!
「ハァ、ハァ……! 殴り合っても強いのに、こんなバトル漫画みたいな攻撃までできるなんて反則でしょ……!?」
「それをテメェが言うかァ? そもそもこれらは全部、テメェの能力をベースとしたものなんだぜェ?」
タケゾーとショーちゃんの救援で形勢逆転と思ったのに、またしてもさっきと同じように追い詰められ始めてしまう。
転がりながらなんとか電撃の柱を回避したアタシに、固厳首相がゆっくり歩きながら近づいてくる。
その際に語る言葉の通り、確かに固厳首相の能力はアタシの能力をベースとしたものだ。だけど、ここまで規格外な破壊力など持っていない。
あらゆる攻撃が当たれば致命傷だし、こっちは外部から電気を直接吸収することもできない。
その圧倒的な破壊力の前では、アタシにだけ使えるトラクタービームやデバイスロッドでも意味を成さない。
せめて、固厳首相のナノマシンを動かす電力を弱めることができれば――
「……そ、そうだ! この手ならうまく行くかも! タケゾーにショーちゃん! 少しの間だけ時間を稼いで! お願い!」
――こういう危機的な状況に限って、アタシの頭はいつも回ってくれるのよね。ちょっといいことを思いついちゃった。
普段からこれぐらい器用に頭が回って欲しいとも思いつつ、今やるべきことのためにもアタシは空を飛んだままの二人に声をかける。
あの大技ならば、固厳首相が身に宿した『核融合のエネルギー』をも相殺できるかもしれない。ただ、時間がかかってしまう。
――そのためにも今この場で、タケゾーとショーちゃんに時間を稼いでもらわないといけない。
「じゅ、隼! また何か思いついたのか!?」
「ボクは隼さんを信じる。武蔵さん。下に降りて、二人で戦おう」
「ああ、そうだな! 俺も信じてる! 二人で固厳首相に挑むぞ!」
アタシの声を聞き、タケゾーもショーちゃんを抱えて飛行しながら固厳首相へ挑みかかる。
決定打なんて与えなくていい。今はアタシの準備が整うまでの間、注意を逸らしてくれればいい。
「さあ、あの力を再びこの手で作り出すよ……! ちょうど血も出てるところだしさ……!」
二人の期待に応えるためにも、アタシは一人デバイスロッドに腰かけて上空へ上がり、両手を頭上へと掲げる。
手の平にはさっき吐血した時の血が染みついている。この血液にもまた、空色の魔女としての能力が宿っている。
――これこそ、固厳首相が見に宿す白陽炉という核融合エネルギーに対抗できる、もう一つの核融合エネルギーだ。
あれはもうレーザー砲と言ってもいいレベルだ。回避していなければ、一瞬でローストになっていたことだろう。
「ダーハハハ! 流石は電気の能力を司るだけのことはあり、察しはいいようだなァ! だが、これを見てもなおオレに挑めるかァ!?」
「冗談じゃないって言いたくなるよ……! あそこまで来ると、太陽の力をそのまま使いこなせるようなもんじゃんか……!?」
これまでは機銃を投げつける遠距離攻撃しかできなかった固厳首相なのに、あんな電気の柱を障壁にされると近づくことさえ難しくなる。
かといって、こちらに遠距離から攻撃する手立てはなし。アタシに使える電気系の飛び道具はすべからく吸収されてしまう。
「どうする、隼……!? このまま空中に逃げてるだけじゃ、こっちも攻撃できないぞ……!?」
「やっぱり、近づくしかない。でも、どうやって近づけばいいのか分からない」
「そんなにオレに近づく方法に悩むんだったら……こっちから近づいてやろうかァア!?」
こちらの苦難はまだ終わらないのに、固厳首相の攻め手は緩まない。その強化された超絶身体能力を活かし、なんとこちらに飛び掛かってくる。
狙ったのはアタシではなく、ショーちゃんを担いでジェットアーマーで空を飛ぶタケゾーの方だ。
いくらタケゾーがジェットアーマーを使いこなして戦えるようになったとはいえ、ショーちゃんを守りながらの空中戦は荷が重い。
「させるかぁぁあ!!」
「ダハハハ! 空色の魔女も家族が大事かァ! だったら、テメェが代わりになりやがれェェエ!!」
アタシも慌てて固厳首相に飛び掛かるが、その動きも計算されていたようだ。
空中で体を回転させ、拳を振り下ろしながらアタシの方へ狙いを切り替えてくる。
タケゾーとショーちゃんが狙われたせいで焦ってしまったか。振り下ろされた拳は無情にもアタシのどてっ腹へと突き刺さってくる。
ドゴォォンッ!!
「ガッ……ハァ……!?」
「せっかく家族が助けに来て回復薬まで用意してくれたのに、無様なもんだなァ! 空色の魔女ォ!」
まともに食らってしまったため、アタシは空中から一気に甲板の上へと体を叩きつけられてしまう。
修復されつつあった内臓にも再度ダメージが入り、またしても口から鮮血が溢れ出してしまう。思わず口元を押さえた手の平が真っ赤に染まる。
ここまで吐血した戦いなんて、今までにだってなかった。一発一発が重すぎる。
「寝ながら苦しんでる暇もねェぞォ! 白陽炉による電撃を、もう一度味わいやがれェェエ!!」
「ゲホッ! く、くそ……!」
さらには休む暇もなく、苛烈に攻め立ててくる固厳首相。向こうも空中から着地すると同時に、再度拳で甲板を殴りつけて電撃を操ってくる。
アタシも痛みに耐えながら、再び迫りくる電撃の柱を回避するために甲板を転がりながら回避するしかない。
ズギャァァアアンッ!!
「ハァ、ハァ……! 殴り合っても強いのに、こんなバトル漫画みたいな攻撃までできるなんて反則でしょ……!?」
「それをテメェが言うかァ? そもそもこれらは全部、テメェの能力をベースとしたものなんだぜェ?」
タケゾーとショーちゃんの救援で形勢逆転と思ったのに、またしてもさっきと同じように追い詰められ始めてしまう。
転がりながらなんとか電撃の柱を回避したアタシに、固厳首相がゆっくり歩きながら近づいてくる。
その際に語る言葉の通り、確かに固厳首相の能力はアタシの能力をベースとしたものだ。だけど、ここまで規格外な破壊力など持っていない。
あらゆる攻撃が当たれば致命傷だし、こっちは外部から電気を直接吸収することもできない。
その圧倒的な破壊力の前では、アタシにだけ使えるトラクタービームやデバイスロッドでも意味を成さない。
せめて、固厳首相のナノマシンを動かす電力を弱めることができれば――
「……そ、そうだ! この手ならうまく行くかも! タケゾーにショーちゃん! 少しの間だけ時間を稼いで! お願い!」
――こういう危機的な状況に限って、アタシの頭はいつも回ってくれるのよね。ちょっといいことを思いついちゃった。
普段からこれぐらい器用に頭が回って欲しいとも思いつつ、今やるべきことのためにもアタシは空を飛んだままの二人に声をかける。
あの大技ならば、固厳首相が身に宿した『核融合のエネルギー』をも相殺できるかもしれない。ただ、時間がかかってしまう。
――そのためにも今この場で、タケゾーとショーちゃんに時間を稼いでもらわないといけない。
「じゅ、隼! また何か思いついたのか!?」
「ボクは隼さんを信じる。武蔵さん。下に降りて、二人で戦おう」
「ああ、そうだな! 俺も信じてる! 二人で固厳首相に挑むぞ!」
アタシの声を聞き、タケゾーもショーちゃんを抱えて飛行しながら固厳首相へ挑みかかる。
決定打なんて与えなくていい。今はアタシの準備が整うまでの間、注意を逸らしてくれればいい。
「さあ、あの力を再びこの手で作り出すよ……! ちょうど血も出てるところだしさ……!」
二人の期待に応えるためにも、アタシは一人デバイスロッドに腰かけて上空へ上がり、両手を頭上へと掲げる。
手の平にはさっき吐血した時の血が染みついている。この血液にもまた、空色の魔女としての能力が宿っている。
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