空色のサイエンスウィッチ

コーヒー微糖派

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ウォリアール新婚旅行編

ep371 旅行先に到着したぞ!

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 フクロウさんのガンシップも高度を下げ、メガフロートの上に乗ったウォリアールの景色も見えてくる。
 森林のある公園なども見えるけど、全体的に人工的な印象が強いのは変わらない。
 建造物に関してはフクロウさんも言ってた通り『ゲームのファンタジー世界風』といったものがいくつも目に映る。だけど、同時に目を引くのは軍事用の滑走路や軍港といったいかにもな設備の数々。
 なんだか、某有名星間戦争映画の舞台のようにも見える。ファンタジーって言うより、一種のスペースオペラに見えなくもない。

「大きなタワーが二つ見えるけど、あれがウォリアールの中枢ってこと?」
「まあ、そんなところさ。片方は今からオレッチ達が向かう、フェリッチャンといったウォリアール王家の本家が管理する議事堂みたいなもんさ。もう片方はウォリアール王家の分家が管理してて、そこの代表はソラッチャンも知ってるクジャク様だよ」
「クジャクさん、あんなに凄いところの代表なんかしてるんだ……」

 島全体で何よりも目に付くのは、他の建造物よりもはるかに高く建造された二つのタワーだ。島のそれぞれ対極的な位置に建てられ、いかにもウォリアールの重要拠点にしか見えない。
 片方をアタシもお世話になったクジャクさんが管理してることも驚きだけど、あれほどの建造物がメガフロートの上に設立されているというのも驚きだ。浮力とかどういう計算で建てられてるのだろう?
 改めて将軍艦隊ジェネラルフリートを始めとしたウォリアールの技術水準の高さに度肝を抜かれてしまう。

「俺達が降りる方のタワーの頂上で、誰かが待ってますね」
「お出迎えだね。……しかも、先陣に立ってるのは二人にも馴染み深い人っしょ」
「四人の部下を引き連れた、紺コートを着た赤髪の女性……。ある意味、あの人の出迎えは妥当なのかもね」

 アタシやタケゾーは旅客スペースで驚くばかりであれど、乗っているガンシップは目的地である塔のヘリポートへの着陸態勢に入る。
 そのヘリポートで待っているのは、話を聞いていたとしか考えられない出迎えの五人組。
 こちらが着陸して外に出ると、先頭の女性が礼儀正しく声をかけてくれる。



「お待ちしておりました。ミス空鳥にミスター赤原。新婚旅行ついでではありますが、こちらの要望通りにお越しいただけたことには感謝します。ここから先は将軍艦隊ジェネラルフリート右舷将を務める、このラルカ・ゼノアークがご案内いたします」
「なんだかんだで、今回もこの人とは関わっちゃうのね……」



 アタシ達の案内役として出迎えてくれたのは、最早毎度おなじみになりつつある将軍艦隊ジェネラルフリート五艦将の一人、ルナアサシンと呼ばれる右舷将のラルカさんだ。
 最初は正体を知らずに星皇カンパニー社長秘書としての出会いだったのに、今ではこうして切っても切れない腐れ縁の間柄だ。
 おまけに今回はこっちからやって来た身だ。アウェイ感も強い。

「でもまあ、ラルカさんが案内してくれるならアタシも案内できるかねぇ。こんな初めての国で知らない人間に案内されるより信用できるや」
「ミス空鳥の自分に対する信頼は何でしょうかね? 基本的に敵対関係が続いていたはずですが?」
「でも、今回はそういうのじゃないんでしょ? それだったら星皇社長とも縁があって、礼儀正しいラルカさんが一番相手にしやすいし」
「……そうですか。自分もそういうことで納得しておきましょう。とりあえず、お二方はこちらについてきてください。ミスターフクロウはここでガンシップの整備でもお願いします」

 とはいえ、知り合いに案内してもらえる方が安心はできる。今回は別に戦うためでも交渉するわけでもないんだし、下手に警戒する必要もないよね。
 フクロウさんはガンシップの整備でヘリポートに残り、アタシとタケゾーの二人は塔の内部へと案内される。
 外観は近代的な感じだったけど、内装はどこか中世風な装いだ。なんだか『異国に来た』って感じが強くなるね。

「ところでラルカさん。アタシ達は今、どこに向かってるのかな? もしかして、この国の王様に謁見とか?」
「確かにあなたをウォリアールにお呼びしたのはこの国の上層部ですが、国王陛下との謁見はお控え願います。それよりもまず、あなた方に会いたがっているお方もいますので、まずはそちらに向かいます」
「てことは……洗居さんとフェリアさんか。あの二人に会うのも久々だし、どうなったのかも気になるところだよねぇ」

 ラルカさんがまず案内してくれるのは、アタシ達を招待してくれた洗居さんとフェリアさんというこれまた婚約ホヤホヤカップルのようだ。
 まあ、まずはあの二人に会うのが礼儀だよね。アタシだって色々と近況を聞きたいし。

 ――洗居さんのクレイジー騒動とか、一応の真相も確かめたい。



「あれが――の妹君の――」
「つまり、ウォリアール――の可能性も――」

「……あれ? なんだか周囲の視線が奇妙というか……?」



 ラルカさんと部下四人に連れられながら廊下を歩いていると、中にいる人ともすれ違うことが出てくる。
 ただ、どういうわけかアタシを見てヒソヒソと何かを話している。海外からの来客が珍しいからかな?

「……傍観者へ配慮するよう伝えてください。詳細はあのお方から直接語っていただきます」
「かしこまりました、ラルカ右舷将」

 先頭を行くラルカさんも部下に何やら指令を出し、どことなく張りつめた空気を感じる。
 一応はアタシもウォリアールに招待された人間なわけだし、それとも関係があるのかな?
 尋ねてみたいんだけど、とてもそんな空気ではない。ラルカさんや周囲に走る妙な緊張感がアタシの口を強張らせてしまう。

「……タケゾー。この空気、ちょっときつくない?」
「ここはウォリアールの中枢でもあるからな。むしろ緊張感があって当然だろう」
「アタシ、こういう空気は勘弁なんだけどねぇ……」
「首相官邸にアポなし訪問した人間のセリフか? ……いや、苦手だからアポなしでこっそり行ったのか」

 思わず隣のタケゾーに軽く尋ねながらも、アタシ達はどんどん建物の奥へと入っていく。
 途中にエレベーターもあったけど、乗らずに通り過ぎていく。フェリアさんも王族だし、きっと最上階のスイートルームみたいな場所に部屋があるんだろうね。
 そこにはきっと洗居さんもいるはずだし、今は二人との再会を楽しみにしよう。緊張しっぱなしは体に悪いからね。



「……むっ!? あれはまさか……またですか!? ミス空鳥とミスター赤原はここで少々お待ちください!」
「え? あー……はい?」



 なんだか一番奥に差し掛かろうとすると、ラルカさんと部下達が急に慌てて前の方へ走っていく。
 この様子、周囲の視線とは別の問題って感じだよね。何かあったのかな?
 アタシも前方に目を凝らしてみると、わずかに見えるのは掃除をするメイドさんの姿。これもまた、ウォリアールならではの光景だろうか。



 ――って、掃除をするメイドさん? 何やら妙な既視感があるんだけど?



「ミス洗居! 掃除は他の人間に任せてくださいと、あれほど言ったではありませんか!? あなたはフェリア様の婚約者です! そこをご自覚願います!」
「し、しかし……私は超一流の清掃用務員です……! もうじき空鳥さんとタケゾーさんも来るのに、お掃除が不完全な状態でお迎えするわけには……!」

「うわぁ……なんて洗居さんらしい再会なんだか……」
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