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紅い闇編
ep416 空より闇に堕ちた紅魔鳥:クリムゾンウィッチ
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フクロウさんが用意してくれたガンシップの翼に俺とフェリアは張り付き、空中歩行しながら迫ってくる隼の頭上を目指す。
今でもフレイムとベレゴマが何度も磁場の力で追い払われながらも突撃を繰り返しており、そのおかげでこちらの動きはバレていない。
フロスト博士が俺達に合わせて指示を出してくれたおかげか。
「光学迷彩の機能をオンにした。ソラッチャンの頭上までなら、これで視認はできないはずっしょ。もっとも、完全に至近距離まで入った後は流石にバレそうだがね」
「フロストが作ったフィールドタイプのステルスか。俺達ごと隠してくれるなら助かる」
「今の隼相手に使える手段は何でも使いたい。それぐらいでないと危険な相手だからな……!」
フクロウさんの方でさらなる対策を施し、ガンシップは大きく旋回しながら距離を縮めていく。
隼は触れ言うとベレゴマに意識が向いているが、その能力はやはり強大すぎる。傍から見ていると、まるであの二人が赤子扱いだ。
「ニヒヒヒ~! あんた達もそこそこやるみたいだけド、いい加減に諦めた方がいいんじゃなイ? アタシの目的はフェリア・スクリードだけなんだかラ、邪魔しなけりゃ痛い思いもしなくて済むヨ?」
「フオォ、オオオォ……!」
「オイどもでは足止めも苦しいけんね……!」
隼の方もフェリア以外は眼中にないらしく、フレイムとベレゴマを適当にあしらいながら、前方に浮遊する足場を作っていく。
ただ幸い、フェリア本人がこっちにいることには気付いていない。十分にチャンスがあることの証明にもなる。
「アカッチャン、フェリッチャン! もうじきソラッチャンの頭上まで回り込める! その後はオレッチも機体を一気に下げるが、どこまで通用するかは保証できない! 最悪の場合、二人はソラッチャンが作った足場に飛び降りて、目的を優先してくれ!」
【今はフクロウの言ー通りで構わねーぞ。もしうまくクリムゾンウィッチに接近できたら、外部デバイスを見つけてまず俺様に報告しろ。正確な解除方法はその時でねーと判断に困る】
フクロウさんが作戦領域までガンシップを進め、フロスト博士も通信でサポートに入ってくれている。
ここまでしてもらって、失敗など許されない。どれだけ難しい話であろうが、必ず隼を救い出してみせる。
ガンシップも隼が形成した磁場による砂鉄の霧へと差し掛かり、いよいよ本番といった場面に――
「ン? 誰かが上から接近してル? 目の前の二人は囮だったってことネ。……それは小癪な真似って言うもんサ!」
「ッ!? き、気付かれた!?」
――だが、霧に入ったところで隼は視線を頭上へと向けてきた。
隼の目線は完全にフレイムとベレゴマに向いていたはずだ。それなのに、どうして気付くことができたんだ?
「ここはアタシのフィールドってもんでネ! 誰かが侵入して来れバ、手に取るように分かっちゃうのヨ! たとえ姿を隠していようと無駄ってもんサ!」
「く、くそ!? 光学迷彩が破られた!? それどころか、操縦も利かないっしょ!?」
どうやらこの砂鉄で覆われた領域は、隼の一部といっても過言ではないらしい。隼が軽く頭上へ手を払うと、ガンシップも制御を失ったかのように動きが乱れ始める。
光学迷彩も破れて、完全にこちらの姿も丸見えだ。
「隼! 俺だ! タケゾーだ! 目を覚ましてくれ! 頼む!」
「タケ……ゾー……? ……誰のことだイ? それに今のアタシはクリムゾンウィッチっていってネ。『隼』なんて気やすく呼ばないでほしいもんだネェエ!」
「そ、そんな……!?」
バレてしまった以上、俺は思わず声をかけずにはいられない。だが必死にお互いの呼び名を告げても、隼はあっけなく一蹴してくる。
俺に関することまで忘れてしまったようで、その事実に直面して心苦しくなってくる。
――ずっと一緒にいた想い人に忘れられるなんて辛すぎる。
「アカッチャン! 嘆いてる暇もないっしょ! ガンシップの制御を奪われた以上、予定通りに飛び降りてソラッチャンの元へ向かってくれ!」
【この程度で怯んでたら、オメーらの立てた作戦なんて成立しねーぞ。想定できた事態なんだし、さっさと向かわねーか】
「くぅ……!? 分かってますよぉ!」
ただ、今の俺には悲しむ時間すらない。ガンシップ自体は隼の頭上まで来てくれたし、ここから飛び降りれば隼のいる足場に飛び移れる。
そこから脊椎に突き刺さっていると思われる外部デバイスを抜き取らないことには、ここまでやって来た意味がない。
「なんだイ? そこからアタシに飛び掛かるつもりかイ? なんともケダモノな男達だネェ。……残念だけド、そんなことを簡単に許しはしないヨォ!」
バギィィイン!
「し、しまった!? 鉄板が!?」
そうやって少し迷っていたのがマズかった。隼は頭上にも鉄板を浮遊させて盾にしてくる。
ジェットアーマーによる衝撃波でも簡単に貫けないほど分厚そうな鉄板だ。これでは隼まで辿り着くことができない。
――こんなところで後手に回ってしまうなど、やはり俺は戦いの面では素人か。
「……赤原。お前はそのまま空鳥のことだけ考えてろ。道は俺が作る」
「フェリア!? み、道を作るって言ったって……おい!?」
迷う俺とは対称的に、フェリアはガンシップを蹴り飛ばしながら急降下を始める。
その際に高周波ブレードの切っ先をガンシップと擦り合わせ、刀身に炎を纏わせながら隼が盾とする鉄板へ突っ込んでいく。
こんな高度を生身のままで躊躇なく舞うなんて、流石はウォリアールの王子なだけのことはある。
そのままだと鉄板に正面衝突して終わりに見えるが――
「どらぁぁああ!!」
バシュゥゥウンッ!!
「へエェ! あの鉄板を真っ二つにしちゃうのかイ!」
――フェリアが振るった高周波ブレードによる一閃は、前方の鉄板を切り裂いてしまった。
炎と振動の相乗効果により、斬撃を強化したということか。分厚い鉄板でさえも、まるで豆腐のように両断してくれた。
「てかサ、あんたってフェリアじゃんカ? 自分からアタシのもとに飛び込んでくるなんテ、とうとう諦めちゃったのかイ?」
「そんなわけねえだろ! こっちもお前を救うために命懸けだ! 赤原! 今だぁぁああ!!」
フェリアはそのまま隼と同じ鉄板の上に着地し、正体がバレながらも隼と向かい合っている。
それさえも作戦のための布石として利用し、自らが囮となることで俺にチャンスを与えてくれる。
――ここまでしてもらったら、俺も動かないと男が廃る。
「隼んん!!」
「おっト! もう一人いたんだったネ! とはいっても鉄板は足りないシ……仕方ないかラ、こいつで顔面ドッヂボールさせてもらうヨ!」
「えっ!? まさか、電撃魔術玉!?」
俺もフェリアと同じようにガンシップの機体を蹴り、作ってくれた道を使って隼へと飛び掛かる。
だが、相手は俺と違って歴戦のヒーローだ。おまけにそのスペックだけは平常時より跳ね上がっている。
普段は両手で放つ電撃魔術玉を片手で作り出し、俺の顔面目掛けて放ってくる。
バシンッ!
「し、しまった!? ヘルメットが!?」
ジェットアーマーの防御力のおかげで、幸い大したダメージにはならなかった。だが、その一撃でヘルメットを吹き飛ばされてしまう。
フロスト博士との通信手段が絶たれてしまっては、適切なアドバイスを受けることもできない。どうにかチャンスを掴み取ったと思ったが、またしても窮地に立たされてしまう。
なんとか俺も隼の眼前へと着地するも、隼は俺を睨みつけてくる。
フェリアの方にも電撃魔術玉の発射準備で牽制し、宙に浮く鉄板の上で身動きすら取れない。
「これがGT細胞で限界を超えた空鳥の力だってのか……!?」
「考慮したつもりでも、まだ甘く見過ぎてたのかもな……!」
蛇に睨まれた蛙とはこのことか。どこか毒々しい赤い髪も含め、今の隼の姿は大蛇のようにも見えてしまう。
眼光も俺のよく知るものではなく、どこか嘲笑と狂気を感じる。
こうなってしまった隼を救うためにやって来たのに、ここで終わりだというのか?
「オ? なんだイ? フルフェイスのメットで隠すにはもったいない男前じゃんカ? なんで顔を隠し――え? あ、あれ……?」
「……え? じゅ、隼?」
だがその時、隼の様子が突如乱れ始める。
ヘルメットの下にあった俺の素顔を見た途端、言葉に詰まりながら頭を押さえているが――
「も、もしかして……タケゾー……?」
今でもフレイムとベレゴマが何度も磁場の力で追い払われながらも突撃を繰り返しており、そのおかげでこちらの動きはバレていない。
フロスト博士が俺達に合わせて指示を出してくれたおかげか。
「光学迷彩の機能をオンにした。ソラッチャンの頭上までなら、これで視認はできないはずっしょ。もっとも、完全に至近距離まで入った後は流石にバレそうだがね」
「フロストが作ったフィールドタイプのステルスか。俺達ごと隠してくれるなら助かる」
「今の隼相手に使える手段は何でも使いたい。それぐらいでないと危険な相手だからな……!」
フクロウさんの方でさらなる対策を施し、ガンシップは大きく旋回しながら距離を縮めていく。
隼は触れ言うとベレゴマに意識が向いているが、その能力はやはり強大すぎる。傍から見ていると、まるであの二人が赤子扱いだ。
「ニヒヒヒ~! あんた達もそこそこやるみたいだけド、いい加減に諦めた方がいいんじゃなイ? アタシの目的はフェリア・スクリードだけなんだかラ、邪魔しなけりゃ痛い思いもしなくて済むヨ?」
「フオォ、オオオォ……!」
「オイどもでは足止めも苦しいけんね……!」
隼の方もフェリア以外は眼中にないらしく、フレイムとベレゴマを適当にあしらいながら、前方に浮遊する足場を作っていく。
ただ幸い、フェリア本人がこっちにいることには気付いていない。十分にチャンスがあることの証明にもなる。
「アカッチャン、フェリッチャン! もうじきソラッチャンの頭上まで回り込める! その後はオレッチも機体を一気に下げるが、どこまで通用するかは保証できない! 最悪の場合、二人はソラッチャンが作った足場に飛び降りて、目的を優先してくれ!」
【今はフクロウの言ー通りで構わねーぞ。もしうまくクリムゾンウィッチに接近できたら、外部デバイスを見つけてまず俺様に報告しろ。正確な解除方法はその時でねーと判断に困る】
フクロウさんが作戦領域までガンシップを進め、フロスト博士も通信でサポートに入ってくれている。
ここまでしてもらって、失敗など許されない。どれだけ難しい話であろうが、必ず隼を救い出してみせる。
ガンシップも隼が形成した磁場による砂鉄の霧へと差し掛かり、いよいよ本番といった場面に――
「ン? 誰かが上から接近してル? 目の前の二人は囮だったってことネ。……それは小癪な真似って言うもんサ!」
「ッ!? き、気付かれた!?」
――だが、霧に入ったところで隼は視線を頭上へと向けてきた。
隼の目線は完全にフレイムとベレゴマに向いていたはずだ。それなのに、どうして気付くことができたんだ?
「ここはアタシのフィールドってもんでネ! 誰かが侵入して来れバ、手に取るように分かっちゃうのヨ! たとえ姿を隠していようと無駄ってもんサ!」
「く、くそ!? 光学迷彩が破られた!? それどころか、操縦も利かないっしょ!?」
どうやらこの砂鉄で覆われた領域は、隼の一部といっても過言ではないらしい。隼が軽く頭上へ手を払うと、ガンシップも制御を失ったかのように動きが乱れ始める。
光学迷彩も破れて、完全にこちらの姿も丸見えだ。
「隼! 俺だ! タケゾーだ! 目を覚ましてくれ! 頼む!」
「タケ……ゾー……? ……誰のことだイ? それに今のアタシはクリムゾンウィッチっていってネ。『隼』なんて気やすく呼ばないでほしいもんだネェエ!」
「そ、そんな……!?」
バレてしまった以上、俺は思わず声をかけずにはいられない。だが必死にお互いの呼び名を告げても、隼はあっけなく一蹴してくる。
俺に関することまで忘れてしまったようで、その事実に直面して心苦しくなってくる。
――ずっと一緒にいた想い人に忘れられるなんて辛すぎる。
「アカッチャン! 嘆いてる暇もないっしょ! ガンシップの制御を奪われた以上、予定通りに飛び降りてソラッチャンの元へ向かってくれ!」
【この程度で怯んでたら、オメーらの立てた作戦なんて成立しねーぞ。想定できた事態なんだし、さっさと向かわねーか】
「くぅ……!? 分かってますよぉ!」
ただ、今の俺には悲しむ時間すらない。ガンシップ自体は隼の頭上まで来てくれたし、ここから飛び降りれば隼のいる足場に飛び移れる。
そこから脊椎に突き刺さっていると思われる外部デバイスを抜き取らないことには、ここまでやって来た意味がない。
「なんだイ? そこからアタシに飛び掛かるつもりかイ? なんともケダモノな男達だネェ。……残念だけド、そんなことを簡単に許しはしないヨォ!」
バギィィイン!
「し、しまった!? 鉄板が!?」
そうやって少し迷っていたのがマズかった。隼は頭上にも鉄板を浮遊させて盾にしてくる。
ジェットアーマーによる衝撃波でも簡単に貫けないほど分厚そうな鉄板だ。これでは隼まで辿り着くことができない。
――こんなところで後手に回ってしまうなど、やはり俺は戦いの面では素人か。
「……赤原。お前はそのまま空鳥のことだけ考えてろ。道は俺が作る」
「フェリア!? み、道を作るって言ったって……おい!?」
迷う俺とは対称的に、フェリアはガンシップを蹴り飛ばしながら急降下を始める。
その際に高周波ブレードの切っ先をガンシップと擦り合わせ、刀身に炎を纏わせながら隼が盾とする鉄板へ突っ込んでいく。
こんな高度を生身のままで躊躇なく舞うなんて、流石はウォリアールの王子なだけのことはある。
そのままだと鉄板に正面衝突して終わりに見えるが――
「どらぁぁああ!!」
バシュゥゥウンッ!!
「へエェ! あの鉄板を真っ二つにしちゃうのかイ!」
――フェリアが振るった高周波ブレードによる一閃は、前方の鉄板を切り裂いてしまった。
炎と振動の相乗効果により、斬撃を強化したということか。分厚い鉄板でさえも、まるで豆腐のように両断してくれた。
「てかサ、あんたってフェリアじゃんカ? 自分からアタシのもとに飛び込んでくるなんテ、とうとう諦めちゃったのかイ?」
「そんなわけねえだろ! こっちもお前を救うために命懸けだ! 赤原! 今だぁぁああ!!」
フェリアはそのまま隼と同じ鉄板の上に着地し、正体がバレながらも隼と向かい合っている。
それさえも作戦のための布石として利用し、自らが囮となることで俺にチャンスを与えてくれる。
――ここまでしてもらったら、俺も動かないと男が廃る。
「隼んん!!」
「おっト! もう一人いたんだったネ! とはいっても鉄板は足りないシ……仕方ないかラ、こいつで顔面ドッヂボールさせてもらうヨ!」
「えっ!? まさか、電撃魔術玉!?」
俺もフェリアと同じようにガンシップの機体を蹴り、作ってくれた道を使って隼へと飛び掛かる。
だが、相手は俺と違って歴戦のヒーローだ。おまけにそのスペックだけは平常時より跳ね上がっている。
普段は両手で放つ電撃魔術玉を片手で作り出し、俺の顔面目掛けて放ってくる。
バシンッ!
「し、しまった!? ヘルメットが!?」
ジェットアーマーの防御力のおかげで、幸い大したダメージにはならなかった。だが、その一撃でヘルメットを吹き飛ばされてしまう。
フロスト博士との通信手段が絶たれてしまっては、適切なアドバイスを受けることもできない。どうにかチャンスを掴み取ったと思ったが、またしても窮地に立たされてしまう。
なんとか俺も隼の眼前へと着地するも、隼は俺を睨みつけてくる。
フェリアの方にも電撃魔術玉の発射準備で牽制し、宙に浮く鉄板の上で身動きすら取れない。
「これがGT細胞で限界を超えた空鳥の力だってのか……!?」
「考慮したつもりでも、まだ甘く見過ぎてたのかもな……!」
蛇に睨まれた蛙とはこのことか。どこか毒々しい赤い髪も含め、今の隼の姿は大蛇のようにも見えてしまう。
眼光も俺のよく知るものではなく、どこか嘲笑と狂気を感じる。
こうなってしまった隼を救うためにやって来たのに、ここで終わりだというのか?
「オ? なんだイ? フルフェイスのメットで隠すにはもったいない男前じゃんカ? なんで顔を隠し――え? あ、あれ……?」
「……え? じゅ、隼?」
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