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谷崎圭の場合
蛇足
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「……朝?」
目が覚めたのはいいが……頭が働かない。これはまだ眠りの途中のパターンだ。もう一度眠ろうとしたら、大事に抱えていた温もりが消えていたことに気づいた。
やっぱり……幻だったのかと思って起き上がろうとした途端、声が聞こえてきた。
「へぇ。意外といける」
いけるって何が?
ぼうっとしながらも起き上がり、声のする方に視線を向ける。
背中を向けているので顔は見えないが……つぐみだ。にしても、朝から仁王立ち?
「何がいけるんだ?」
疑問を口にしたら、つぐみは驚いたのか変な声を出し、体を縮こませた。
「ごめんなさい。起こしちゃった」
「それ……俺の」
つぐみは俺のTシャツを着ている。
……ああ。思わず遠い目になる。
この光景には覚えがある。
あの日──大路の披露宴の時もそうだったよな。
あの時、酔っていた君は干してあった俺のTシャツを強引に奪って、課長様のくせに量販店モノですか? と毒づいたり、ビックサイズでウケるだの……酔っていたとは言え、面倒だった。
そう言えばあの時も俺のTシャツを着た自分をいけてるって自画自賛してた。
そして……その後。
──私のこと好きなんでしょ?
──好きなら抱いて見なさいよ。
と俺を挑発してきた。普段だったら抑えきれた自信があるが俺も酔っていたし、それに何より……その無防備さににやられた。
胸が無いから自分には色気が無い。つぐみはそう思っているみたいだが、それは違う。Tシャツの裾から覗かせている太ももの付け根……そこにあるホクロ。それって結構、男をドキドキさせる武器だ。自分がそんな武器を持っていると知らずに出してくるから……思わずため息がこぼれる。
参った。
昨日無理をさせたから今日は自重しようと思っていたのに。ここまで無意識にさらけ出されたら……抑え切れそうにない。
不思議そうな表情で俺を見つめるつぐみを引き寄せ、再び腕の中に閉じ込めた。
目が覚めたのはいいが……頭が働かない。これはまだ眠りの途中のパターンだ。もう一度眠ろうとしたら、大事に抱えていた温もりが消えていたことに気づいた。
やっぱり……幻だったのかと思って起き上がろうとした途端、声が聞こえてきた。
「へぇ。意外といける」
いけるって何が?
ぼうっとしながらも起き上がり、声のする方に視線を向ける。
背中を向けているので顔は見えないが……つぐみだ。にしても、朝から仁王立ち?
「何がいけるんだ?」
疑問を口にしたら、つぐみは驚いたのか変な声を出し、体を縮こませた。
「ごめんなさい。起こしちゃった」
「それ……俺の」
つぐみは俺のTシャツを着ている。
……ああ。思わず遠い目になる。
この光景には覚えがある。
あの日──大路の披露宴の時もそうだったよな。
あの時、酔っていた君は干してあった俺のTシャツを強引に奪って、課長様のくせに量販店モノですか? と毒づいたり、ビックサイズでウケるだの……酔っていたとは言え、面倒だった。
そう言えばあの時も俺のTシャツを着た自分をいけてるって自画自賛してた。
そして……その後。
──私のこと好きなんでしょ?
──好きなら抱いて見なさいよ。
と俺を挑発してきた。普段だったら抑えきれた自信があるが俺も酔っていたし、それに何より……その無防備さににやられた。
胸が無いから自分には色気が無い。つぐみはそう思っているみたいだが、それは違う。Tシャツの裾から覗かせている太ももの付け根……そこにあるホクロ。それって結構、男をドキドキさせる武器だ。自分がそんな武器を持っていると知らずに出してくるから……思わずため息がこぼれる。
参った。
昨日無理をさせたから今日は自重しようと思っていたのに。ここまで無意識にさらけ出されたら……抑え切れそうにない。
不思議そうな表情で俺を見つめるつぐみを引き寄せ、再び腕の中に閉じ込めた。
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