黒い影(1)

うぐいす・マニー

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黒い影 7

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7.地球とミースト星の協力者たち

鮠都は、びっくりした。ガイストから、あんなこと、頼まれるなんてー!ガイストは、信用している者にしか、重要な仕事を頼まない。鮠都は、今まで頼まれたことがない。でも、今まで、ずっと従ってきた苦労が報われた気がした。もう、動き出すしかない。作業を終え、部屋に入ると、息子の伍樹が、透明の大き目なボールを覗いていた。「何を見ているんだい?伍樹。」「お父さん!さっき、お父さんが出て行ってから、電話がかかってきてね、てっきり、ベンベト博士かな~って思ったんだけど、違うかった!なんか、アマノカミ?とか言ってたよ!」鮠都は、少しだけ隠れて地球のことを勉強していた。そこには、天乃神という、とても美しい地球を守る女神がいて、不思議な力を持っている、と書いてあった。でも、もしかしたら…。隠れて搭載していた、地球と宇宙船ジュリエクター号の音を繋ぐ、「ハドイジ」が成功していたのかもしれない。「伍樹!なんて言っていたんだ?天乃神さんは!」「えっと、確か、「ミースト星の人たち、聞こえますか?私は天乃神です。影を奪うなどの愚かな考えは止めてください!」って!」「ありがとう。伍樹。もしかしたら、ガイストを倒すことができるかもしれない。」「すごい!お父さん!」
「キッ…キ…コ…マ?聞こえますか?」天乃神の部屋に鮠都の声が響く。
「えっと…誰ですか?」天乃神は、尋ねた。
「ミースト星の者です。でも、私はとある事件でミースト星に来てしまった、人間なんです。」
「そうですか…。それで?」天乃神は、ミースト星の者たちに怒りを覚えている。もしかしたら、これも何かの罠かもしれない。信用できない。
「実は、私は黒い影こと、ガイストを倒したいと思っている。あなた様たちもそうでしょ?」それを聞いて、天乃神は、びっくりした。なぜ、ガイストを倒したいと?おかしいでしょ?仲間じゃないの?
「えぇ、まぁ、倒したいと思っています。やってくるならこっちも。」
「私も協力しようと思う。というか、協力してほしい。私から提供できる情報は全て提供するつもりです。」
「なら、まずその情報を教えてもらってもいですか?協力とかはその後で。」
「分かりました。」
鮠都は正直に、できる限りのことを説明した。
影を奪う兵器、弱点、ガイストのこと、そしてミースト星。
「ミースト星はなぜ、影がそんなに欲しいのですか?」鮠都は返事に困ってしまった。分からない。影はそんなに必要なのか?よく分からない。
「天乃神。それは分からないんです。でも、ミースト星の者たちは、自分より強い星が許せない。自分より素晴らしい星を消してやろうと考えている。そして、ミースト星に存在していなくて、地球だけに存在している影を、とってもとっても素晴らしいものと思っている、んじゃないかと思います。」
「なるほど…。あなたのお話はとても面白い…。協力しようじゃありませんか…。でも、一つ質問があります…。」
「どんな質問ですか?」
「なぜ、あなたは私と通話出来ているのですか?」
鮠都は答えた。「おっと、危ない。言い忘れていた。一応私も学者なので、そういう機械を作ることは出来なくもない。多分無理だとは思っていたけど、私は、地球と宇宙船ジュリエクター号を繋ぐ機械、「ハドイジ」を作った。そうして、今あなたと話しているということです。」
天乃神が面白そうに言った。「では、動き始めましょうか。鮠都さん?」
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