どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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二章 美空ミカエル

壊れた心

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先輩にとって、アテネってそんなに大事だったんだ。
その事実が僕の胸の中に響く。
そうだよね。
大好きだもんね。
愛しているもんね。
結婚指輪を送るくらいに。
そう思ったら、もういいやと思ってしまって。
全部諦めてしまったのだ。
きっと僕がどれだけ努力したところでアテネに勝てるわけが無いね。
僕の存在なんてきっとどうでも良いんでしょ。
そんなわけないのを理解している癖に、どんどん悪い方向へと向かってしまう。
僕なんていなくてもアテネさえいればそれで良いんじゃない?
そこまで思考を進めたらあとは落ちていくだけで。
アテネになってしまおうと思った。
そうすれば全て解決する気がした。
そうすることでしか救われない気がした。
だって、アテネは今、存在していないから。
その存在を乗っ取る事ができるから。
力が溜まれば現れる事が出来るみたいだけど、残念ながらそれはまだまだ先みたいだし。
それなら、良いじゃないか。
アテネの立ち位置を僕の物にしたら、きっと僕の事を愛してくれるはずなんだ。
けれど、それって結局僕の事を愛してくれていないんじゃ、なんて嫌な考えが頭をよぎる。
そう思うと苦しくなる。
そうだけど。
それでも。
それでも良いから愛されたいと思ってしまうのだ。
それくらい愛しているのだ。
愛されない悲しみと比べたら、それくらい、苦しく無いから。
我慢できるから。
「…、颯太。本当にこれで良いんですか?凪は…」
「良い。仕方無いし…。そもそもお前が言うなよ」
あぁ、だめだ。
でも、ずっと一緒にいてくれると誓ってくれた。
それだけでも十分だと思うから。
その言葉だけでこの地獄のような道を進めるから。
どうしたら、先輩は僕のことを愛してくれるかな。
なんてありえない事をつい思ってしまう。
その時、こんなポスターが目についた。
子供の頃から見慣れたポスター。
色褪せていたそれは、未だに存在感があって。
勇者を称える姫の姿。
強者こそは皆に愛されるという文字。
初代勇者はたしかそのまま姫と結婚した。
国中が祝福した。
その後の姫と勇者がどうなったのかは知らないけど。
「...、先輩を守れるくらいに強くなったら、愛してもらえるかな」
そう呟いたって、答えが返ってこない事は何となく理解していた。
答えを知っている人物はこの場にはいないし。
ただただ虚しいだけの瞬間だった。
他の誰かではなくて、先輩にだけ愛されたいし、先輩を愛するのも僕だけが良い。
子供じみた僕の欲望。
もはやそれだけで良いとすら思える欲望。
そんな思考に埋まっていく。
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