82 / 425
二章 美空ミカエル
ぐちゃぐちゃだ
しおりを挟む
周囲からの称賛と、多くの人たちからの歓声がそれを証明していた。
今じゃ学園の生徒会長だ。
まだ10歳なのに。
歴代最年少だって言われた。
「美空くんのような優秀な生徒がこの学園の生徒会長になってくれて嬉しいよ」
そう言った学園長。
手渡されたのは生徒会長専用のセーラー服。
丁度、歌を歌う時に着る服と似ていたから、乾いた笑みが溢れた。
(俺は、本当は優秀でも何でもないよ。少し他人より出来るだけ)
それだって、努力しなきゃ置いていかれるかもしれない。
きっと誰も気が付かないだろうけど。
死に物狂いで訓練しているから。
多分、本当の俺なんてものは凪先輩の前でしか存在しないだろうけど。
凪先輩の姿が見れたあの日、凄く嬉しかったよ。
凪先輩へ会えたのが凄く嬉しくて。
何度声をかけようと思ったか。
でも、声をかけて俺が凪先輩の事が好きなのがバレてしまったら、母さんに何をされるかわからない。
そう考えると、無言を貫く事しか出来なかった。
でも、見ている時間凄く楽しくて。
一生懸命目で追っていた。
一つ残らず記憶に残したいなんて思いながら。
凪先輩があの兄弟達に負ける訳が無いのはわかってたから。
そこは安心してみれた。
そもそも、凪先輩は凄く強い。
「一応武術に関しては奏多に特訓して貰ったし、理久にも魔術は見て貰ったから」
昔そんな事を語っていた。
そんな凪先輩が王宮のなかでぬくぬく育ってきたこいつらに負けるはずがないから。
ただ、凪先輩の事を玩具にしようとするこいつらの態度にはイラついていたから。
俺が王になったら纏めて排除してしまおうと思った。
凪先輩が本気をだして一掃した時。
兄たちは颯太を引きずり出した。
颯太は俺と同じ呪い持ちだから普通の人間に比べて遥かに優秀だ。
でも、そんな事に兄達が気づくはずもない。
精々肉壁として使うだけだろう。
だけど、颯太に声をかけて、颯太が嬉しそうにした時、嫌な予感がしたんだ。
どこかで、この光景をみたことあるような。
既視感を覚えてしまったんだ。
なんだか、俺の時みたいに、颯太が恋に落ちる。
そんな気がして。
当たらなければ良い。
そんな予感は。
そんのな嫌だよ。
俺だけで良いの。
けど、予感は的中した。
「最近、颯太は呪い子の塔に閉じ籠っているみたいなんだ。そう言えばお前も昔あの森によくいっていたなぁ」
なんて父さんが言った。
今じゃ学園の生徒会長だ。
まだ10歳なのに。
歴代最年少だって言われた。
「美空くんのような優秀な生徒がこの学園の生徒会長になってくれて嬉しいよ」
そう言った学園長。
手渡されたのは生徒会長専用のセーラー服。
丁度、歌を歌う時に着る服と似ていたから、乾いた笑みが溢れた。
(俺は、本当は優秀でも何でもないよ。少し他人より出来るだけ)
それだって、努力しなきゃ置いていかれるかもしれない。
きっと誰も気が付かないだろうけど。
死に物狂いで訓練しているから。
多分、本当の俺なんてものは凪先輩の前でしか存在しないだろうけど。
凪先輩の姿が見れたあの日、凄く嬉しかったよ。
凪先輩へ会えたのが凄く嬉しくて。
何度声をかけようと思ったか。
でも、声をかけて俺が凪先輩の事が好きなのがバレてしまったら、母さんに何をされるかわからない。
そう考えると、無言を貫く事しか出来なかった。
でも、見ている時間凄く楽しくて。
一生懸命目で追っていた。
一つ残らず記憶に残したいなんて思いながら。
凪先輩があの兄弟達に負ける訳が無いのはわかってたから。
そこは安心してみれた。
そもそも、凪先輩は凄く強い。
「一応武術に関しては奏多に特訓して貰ったし、理久にも魔術は見て貰ったから」
昔そんな事を語っていた。
そんな凪先輩が王宮のなかでぬくぬく育ってきたこいつらに負けるはずがないから。
ただ、凪先輩の事を玩具にしようとするこいつらの態度にはイラついていたから。
俺が王になったら纏めて排除してしまおうと思った。
凪先輩が本気をだして一掃した時。
兄たちは颯太を引きずり出した。
颯太は俺と同じ呪い持ちだから普通の人間に比べて遥かに優秀だ。
でも、そんな事に兄達が気づくはずもない。
精々肉壁として使うだけだろう。
だけど、颯太に声をかけて、颯太が嬉しそうにした時、嫌な予感がしたんだ。
どこかで、この光景をみたことあるような。
既視感を覚えてしまったんだ。
なんだか、俺の時みたいに、颯太が恋に落ちる。
そんな気がして。
当たらなければ良い。
そんな予感は。
そんのな嫌だよ。
俺だけで良いの。
けど、予感は的中した。
「最近、颯太は呪い子の塔に閉じ籠っているみたいなんだ。そう言えばお前も昔あの森によくいっていたなぁ」
なんて父さんが言った。
0
あなたにおすすめの小説
《一時完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ
MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
続編執筆中
王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む
木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。
その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。
燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。
眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。
それが妹の名だと知っても、離れられなかった。
「殿下が幸せなら、それでいい」
そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。
赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎月影 / 木風 雪乃
【完結済】どんな姿でも、あなたを愛している。
キノア9g
BL
かつて世界を救った英雄は、なぜその輝きを失ったのか。そして、ただ一人、彼を探し続けた王子の、ひたむきな愛が、その閉ざされた心に光を灯す。
声は届かず、触れることもできない。意識だけが深い闇に囚われ、絶望に沈む英雄の前に現れたのは、かつて彼が命を救った幼い王子だった。成長した王子は、すべてを捨て、十五年もの歳月をかけて英雄を探し続けていたのだ。
「あなたを死なせないことしか、できなかった……非力な私を……許してください……」
ひたすらに寄り添い続ける王子の深い愛情が、英雄の心を少しずつ、しかし確かに温めていく。それは、常識では測れない、静かで確かな繋がりだった。
失われた時間、そして失われた光。これは、英雄が再びこの世界で、愛する人と共に未来を紡ぐ物語。
全8話
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる