113 / 425
二章 美空ミカエル
本心の吐露
しおりを挟む
どうせならこのまま吐き出してしまおうか。
どうせこの呪いにしか聞かれないのだから。
自分の思いを整理するついでに語ることにした。
「僕、もの凄く好きな人がいるんです。元々、僕は人の目にこの世で最も嫌悪感を感じる見た目に映る呪いにかかっていて」
本当に辛かった。
苦しかった。
人という生き物が嫌いになった。
毎日が生き地獄で、部屋に閉じこもっていた。
そうでもしないと壊れてしまう気がして。
自分という生物全てを否定される世界でどう息をすれば良いのか分からなかった。
いっその事死ねたら楽なのに生存本能が邪魔をした。
自己防衛本能が邪魔をした。
「最初から先輩の事が好きだったわけではないんです。どちらかと言えば嫉妬してました。僕と同じ呪い持ちなのに、呪いも能力も違って。皆に実力を認められているから」
閉じこもるのと閉じ込められるのは全然違う。
それに僕は美空程では無いけれど、そこそこ出来るのに。
見かけだけで判断されていたから。
先輩の噂を聞くたびに、良いなと思っていた。
そんなふうに評価されて。
僕なんて醜いと言うだけで悪く言われて。
それで自分から閉じこもって。
全く違う先輩に最初は嫉妬していた。
妬ましかった。
同じはずなのにどうしてこんなに違うのかと。
「でも、僕の事を助けてくれて。綺麗だって言ってくれて。凄く嬉しかったんです。そこから好きになったんです」
一生懸命先輩の傍にいる為に努力した。
先輩を殺す事はしたく無いから。
他の事とか、少しでも生きたくなるような話題を探して。
死にたがる先輩は、それでも死のうとしたけど。
先輩の傍にいる時間が増えるほど、先輩を好きになっていった。
どんどん恋に落ちていった。
幸せだと思えた。
ずっとこのまま続けば良いなんて夢想するほどに。
「ある日、先輩が僕の呪いを解呪してくれたんです。けれど、その呪いと先輩は恋仲になって。呪いと僕は姿が似ているからって。僕の事をアテネって呼んだんです」
凄く苦しかった。
アテネが消えたから、少し安心していた自分に対して、とどめを指すようだった。
それくらい残酷だったのだ。
僕はアテネじゃないのに。
忘れたはずなのに、アテネの名を呼ぶのが。
そんなに愛し気に呼ぶなんて。
そんなの、永遠に勝てないじゃないか。
どうしてそこまで差を見せつけられなきゃいけないんだよ。
どうせこの呪いにしか聞かれないのだから。
自分の思いを整理するついでに語ることにした。
「僕、もの凄く好きな人がいるんです。元々、僕は人の目にこの世で最も嫌悪感を感じる見た目に映る呪いにかかっていて」
本当に辛かった。
苦しかった。
人という生き物が嫌いになった。
毎日が生き地獄で、部屋に閉じこもっていた。
そうでもしないと壊れてしまう気がして。
自分という生物全てを否定される世界でどう息をすれば良いのか分からなかった。
いっその事死ねたら楽なのに生存本能が邪魔をした。
自己防衛本能が邪魔をした。
「最初から先輩の事が好きだったわけではないんです。どちらかと言えば嫉妬してました。僕と同じ呪い持ちなのに、呪いも能力も違って。皆に実力を認められているから」
閉じこもるのと閉じ込められるのは全然違う。
それに僕は美空程では無いけれど、そこそこ出来るのに。
見かけだけで判断されていたから。
先輩の噂を聞くたびに、良いなと思っていた。
そんなふうに評価されて。
僕なんて醜いと言うだけで悪く言われて。
それで自分から閉じこもって。
全く違う先輩に最初は嫉妬していた。
妬ましかった。
同じはずなのにどうしてこんなに違うのかと。
「でも、僕の事を助けてくれて。綺麗だって言ってくれて。凄く嬉しかったんです。そこから好きになったんです」
一生懸命先輩の傍にいる為に努力した。
先輩を殺す事はしたく無いから。
他の事とか、少しでも生きたくなるような話題を探して。
死にたがる先輩は、それでも死のうとしたけど。
先輩の傍にいる時間が増えるほど、先輩を好きになっていった。
どんどん恋に落ちていった。
幸せだと思えた。
ずっとこのまま続けば良いなんて夢想するほどに。
「ある日、先輩が僕の呪いを解呪してくれたんです。けれど、その呪いと先輩は恋仲になって。呪いと僕は姿が似ているからって。僕の事をアテネって呼んだんです」
凄く苦しかった。
アテネが消えたから、少し安心していた自分に対して、とどめを指すようだった。
それくらい残酷だったのだ。
僕はアテネじゃないのに。
忘れたはずなのに、アテネの名を呼ぶのが。
そんなに愛し気に呼ぶなんて。
そんなの、永遠に勝てないじゃないか。
どうしてそこまで差を見せつけられなきゃいけないんだよ。
0
あなたにおすすめの小説
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
《一時完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ
MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
続編執筆中
僕は今日、謳う
ゆい
BL
紅葉と海を観に行きたいと、僕は彼に我儘を言った。
彼はこのクリスマスに彼女と結婚する。
彼との最後の思い出が欲しかったから。
彼は少し困り顔をしながらも、付き合ってくれた。
本当にありがとう。親友として、男として、一人の人間として、本当に愛しているよ。
終始セリフばかりです。
話中の曲は、globe 『Wanderin' Destiny』です。
名前が出てこない短編part4です。
誤字脱字がないか確認はしておりますが、ありましたら報告をいただけたら嬉しいです。
途中手直しついでに加筆もするかもです。
感想もお待ちしています。
片付けしていたら、昔懐かしの3.5㌅FDが出てきまして。内容を確認したら、若かりし頃の黒歴史が!
あらすじ自体は悪くはないと思ったので、大幅に修正して投稿しました。
私の黒歴史供養のために、お付き合いくださいませ。
王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む
木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。
その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。
燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。
眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。
それが妹の名だと知っても、離れられなかった。
「殿下が幸せなら、それでいい」
そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。
赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎月影 / 木風 雪乃
【完結済】どんな姿でも、あなたを愛している。
キノア9g
BL
かつて世界を救った英雄は、なぜその輝きを失ったのか。そして、ただ一人、彼を探し続けた王子の、ひたむきな愛が、その閉ざされた心に光を灯す。
声は届かず、触れることもできない。意識だけが深い闇に囚われ、絶望に沈む英雄の前に現れたのは、かつて彼が命を救った幼い王子だった。成長した王子は、すべてを捨て、十五年もの歳月をかけて英雄を探し続けていたのだ。
「あなたを死なせないことしか、できなかった……非力な私を……許してください……」
ひたすらに寄り添い続ける王子の深い愛情が、英雄の心を少しずつ、しかし確かに温めていく。それは、常識では測れない、静かで確かな繋がりだった。
失われた時間、そして失われた光。これは、英雄が再びこの世界で、愛する人と共に未来を紡ぐ物語。
全8話
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる