どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

魔力のこもった宝石

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「え~っと。あれ、多分今人気のブランドの奴やろ?確か百五十万円くらいやなかったっけ。というかここに並んどるスケート靴自体が一足十万はくだらない代物やろ?」
そう闇奈が言う。
百五十万円。
そう言われたバッグを見る。
普通のバッグにしか見えないけど。
少し赤い皮に金の装飾。
そして無色に輝く石が散りばめられている。
「あれが百五十万円する理由は魔力を込めた石がつけられているのとドラゴンの皮が使われているからだよ」
そう雫が解説してくれた。
「まず、魔力ってのは本来貴重なものなんだよ」
確か、魔力量が多い人間なんて少ないなんて話を。
昔美空から聞いた気がする。
そんな事をぼんやりと思いながら続きを促す。
「だから魔力を別の物質にして保存する事でみんなで使える資源にしようと考えられたんだ」
それを元に城下町などの比較的王政と近いところに位置する地域は魔力の普及が始まった。
資源にするにはまず魔力を石にする必要があった。
生成された魔力をエネルギー源として供給し。
そこから生活水準はかなり上がった。
まず最初に車に乗る必要がなくなった。
ワープ装置や携帯式の装置が作られるようになったから。
魔力が少なくても行きたい場所へすぐ行けるようになった。
水が無限に生み出せるようになった。
今まで魔力の少ないせいで。
綺麗な真水を作るのに工業技術を使用していたのが使用する必要が無くなった。
食料だってすぐ供給出来るようになった。
万能なエネルギーなのだ。
そんなものが安値であるはずがなく。
かなり高額で取引されるようになった。
だから貧困層も自身の魔力を売る事で金を手に入れられるようになった。
練れば回復するのだから問題無いし。
その結果次から次へと魔力が売り出されていったが。
消費量もそれに負けず増加したため。
市場はそのまま回っていた。
ちなみに城の魔力は全て僕の魔力を使用していたらしい。
僕の場合無尽蔵に湧き出てくるわけだからなぁ。
そりゃあ良い供給源になっただろう。
「作られていくにつれて結晶化した魔力が美しいと言う話になって。装飾品にする人も増えたんだ」
だから鞄に付けられているのか。
「自分の魔力を増やすのにも使えるからね。ほら、もしもの時あの結晶を砕けばさらに使えるわけだから」
そう雫が語る。
だからとても高値で取引されてるってわけか。
「ちなみにこの結晶。特別な魔力を持つ人は色がつくみたいでね。普通は透明なんだけど。昔それで僕のを作ったらさ。水色になったんだ」
そう言って石を見せる。
綺麗にカットされた宝石。
まるでアクアマリンのようだ。
雫にピッタリな色。
「ではでは、次はスケート靴について掘り下げていこうか」
脱線した話を戻すように雫が話し始める。
「うんうん、このブランドの製品俺達良く買うからさ。スケート靴はする予定なかったから買わなかったけど」
そう雪が続ける。
ブランド。
よく聞く単語だ。
そうはいっても僕には関係ないけれど。
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