どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

アクセサリー

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とにかく食べて。
この場に闇奈への想いが無いようにした。
二人の純粋さを取り込んで自分のものにしたいような気持ちで。
食べた所でどうなるという話でもないのに。
それでもただひたすらに咀嚼を繰り返したのだ。
全部美味しくて。
食べている最中は幸せなのに。
なのにどうして。
どうして胸はいつまでも苦しいのだろう。
俺の言葉に凪は何にも返してくれなかった。
ごちそう様と言った。
残ったのは空になったケーキの皿とティーセットだった。
凪の顔なんて見ずに、
「今度、俺もお茶会聞くから、その時ぶよ。今日はありがとう」
そう言い残して、家に帰ろうとした。
凪の顔なんてまともに見れなかった。
見ようともしなかった。
だって見たくなかったから。
軽蔑、憐れみ。
そんな表情が浮かんでいたらと思うと怖くて見れなくて。
小心者の俺には受け止めきれないものだった。
なのに。
「待ってよ、咲」
そう凪が言う。
何、なんて反射的に振り返ってしまった。
凪と目が合って、お互い無言のままに時がすぎる。
そのまま、凪は俺と目をしっかり合わせながら言葉を紡ぐ。
凪の顔には軽蔑だとか憐れみとか。
そういう俺の恐れていた顔ではなくて、至って真剣な顔をしていた。
「今日の咲は別人みたいだね。髪型も変えたし、いつも言わないような事言うし」
そうだ。
咲のままだったら言わないような事ばかり。
雪としての自我を出したから。
雪としてみてほしい。
俺を見て欲しいなんて欲求が生まれてしまったから。
だから別人みたいに見えるのかもしれない。
「でもさ、僕はその咲の方が好きだ。今日は咲の本音が聞けたみたいで嬉しい。その髪型も似合ってるし」
凪は頬を掻きながら一生懸命言葉を紡ぐ。
俺だけのために。
なんだかとても嬉しくて。
なのにうん、しか言えなくて。
もっと他の事も言えたらいいのに。
それくらいしか紡げない自分が悔しい。
なんて言えば良いのか分からないから。
でも、そんな俺に一生懸命に、
「僕は、どんな咲でも受け入れるよ」
そう言って、何かを差し出した。
それはイヤリングだった。
キラキラと光っている。
赤い宝石が美しくカットされている。
ダイヤカットだ。
「これ、咲に渡そうと思って買ったんだ。…、あ、理久には内緒にしてね。結構高かったから理久の分も買うってなるとお金的に大変で…」
凪は時々キメラに襲われるからそのキメラを倒して解体して素材を売っているらしい。
理久がいない時はそれで生活したりしてる、なんて前話していた。
それで俺のアクセサリーを。
「あ、ありがとう。嬉しいよ。毎日着ける。ほんと」
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