どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

贄に捧げるみたいな気持ちだ

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時間的にも十分なはずだ。
ここから戻る時間と、ワープした後の時間差で。
上手い具合に調整できるはずだから。
そう考えて凪に提案する。
凪は、少しだけ笑う。
「大丈夫だよ、雪。さっきも言ったけどさ、覚悟は出来てるんだ」
そう凪は言う。
けれど、俺が嫌なんだ。
でも、そう感じるのはきっと、凪と理久の絆を感じるのが嫌だから。
それに絶対に勝てないと自覚している自分が嫌だから。
そう認めて凪に言って仕舞えば良いのに。
俺は隠してばかりで一切言おうとしない。
ただ、俺にとって都合の良い部分だけ切り取って伝えている。
「だってさ、仮に凪の姿が見つかったとしてさ。怪しまれない保証なんてないわけじゃねぇか。考えてみろよ。凪の姿が見られたらアウトだぜ?死んだはずなのに生きてるなんて怪物だって言われて絶対傷つくだろ」
そう俺は凪に語りかける。
凪はそうかもね、なんて言う。
「ならさ、雪が魔法かけてよ。髪の毛伸ばす魔法。そしてさ、髪の毛良かったらアレンジしてほしいな」
そう凪は言う。
別にいいけど、なんて言って凪の髪に手を伸ばす。
「でも、なんで俺?」
そう聞くと、
「咲の時お洒落だなって思ってたから。だからさ、雪にアレンジして欲しいって思ってたんだ。あとセンス良さそう」
そう言って、凪はこちらに頭を向ける。
無防備に晒されたうなじに噛んでしまいたい衝動が襲うけれど。
それを耐えて、髪に触れる。
「まぁでも、あの人達さ。僕の小さな頃しか見ていないから絶対バレないような気がするけど…。用心するに越したことはないよね?」
そう凪は首を傾げる。
うん、なんて頷く。
手櫛で軽く凪の髪を解かす。
さらさらとしててとてもいい髪質で。
いいな、なんて思った。
凪の髪を伸ばす。
肩から腰の中間くらいの長さに調節する。
そのまま、凪の髪を結える。
アクセサリーは持っていないから、魔法で作り上げる。
魔力を固めるイメージで。
丁寧に凪の髪を結い上げる飾りを作り上げる。
綺麗な赤い薔薇の飾り。
それを頭につけて。
ハーフツインアップと呼ばれる髪型に結い上げる。
ただ、少し編み込みを加えて。
凪の瞳は目立ちすぎるから、魔法で青い瞳に変えた。
赤い瞳を持つものは魔族の証、なんて言い伝えがあるようなところだ。
青く染めておいた方が安心だろう。
髪の毛も金髪に染めた方が良いのだろうけれども。
凪の綺麗な黒髪を金に染めてしまうのは嫌だなと思ったから。
そのままにしておいた。
少しだけ、頬に紅を入れる。
口紅を塗る。
服も魔力で作り上げた可愛らしいワンピースを用意した。
黒を基調としたワンピースに、赤いレースや薔薇をあしらったもの。
凪はくるりと舞う。
似合う?とでも言いたげに。
可愛いから似合っているよ、と言うと誇らしげに笑う。
そんな凪が好きだった。
大好きだった。
だから俺だけを見て欲しいと思うのは仕方のない事だと思う。
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