○○日記

月夜

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拗れた思い

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先に見つけたのは俺なのに。
確かに愛を神は颯太から奪っただろう。
だけど、俺が一番欲しかったものは颯太に与えていった。
この命だっていらないのに。
俺は、ただ......
初めて笑いかけてくれた。
俺の話を一生懸命聞いてくれた。
毎日、楽しかった。
過ごしている日々が初めて幸せだと思えた。
そう、寿

とりあえず、かわせそうなのをかわしながら、木が密集している空間に逃げ込んだ。
ここなら、姿が見えないはず。
それにしても......
外見を観察する。
黒く染まり切った髪。
綺麗な青色だったであろう瞳は、今は濁っている。
全体的に黒く、セーラー服のような上着に、短パンを組み合わせている。
腕に何か巻きついているようだ。
そして何よりも....
(何なのよ!!あの使
そう、何故か天使の輪っかが浮いているのだ。
周りは五線譜で覆われ、少しずつ音符が浮かび上がっている。
髪が長いし、女の子だとは思うけど......
あれってどういう状況なのだろうか。
「天よ、我の使える神よ、その恩恵を我に授けたまえ。」
何かを呟いた、と思えば、周囲に光が飛び散る。
木々に影響が無いところを見ると、何を目的としているんだろう。
なんて、思っていれば。
首がグリンとこちらを見る。
その口は狂気的なまでに笑っていて、瞳孔が開き、
「みぃつけた」
アハハハッハハッハ
なぜ?
ハッタリかもしれない。
だって気に遮られてこちらの姿は見えないはずだ.....
なのに、確実にこっちに来ている。
はったりだと信じて、ひたすら息を止める。
気づかれていない、気づかれていないはずだ。
あの笑顔、声のトーン。
確実に私を殺す気だ。
やばい、と本能が告げている。
思わず目をつぶってしまう。
早く帰れ、早く帰れ......
足音がする。
ガサガサ、ガサガサ。
「あれ?いないなぁ......」
帰っていくように、足音が遠ざかる。
その足音に、私は気を緩ませた。
つぶっていた目を開いた瞬間....
「な~んちゃって、誤魔化せたと思ってんの?」
目の前に顔があった。
近くにあのナイフが落ちていた。
「おりゃあああああああああ!!」
思いっきり突撃する。
ただやられるなんて嫌だ!!
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