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美空編

貴方で俺の罪を禊ぐ

力を段々強めている。
その様をミカエルは静かに見つめている。
俺はただひたすら締め続ける。
手の中で喉がキュッと締まっていく。
貴方の目は見開かれて、段々目が血走っていく。
酸素を求めてもがき始める。
だから馬乗りになって、抵抗出来ないようにする。
何故だろう。
首を締めているだけなのに。
背筋がゾクゾクして、まるで快感を感じているような、そんな気持ちになった。
歪んでいく貴方の顔を俺しか知らないと思うと、征服欲が満たされて。
あぁ、今俺は笑っているかもしれない。
泣いているかもしれない。
けどやめられない。
貴方の手のひらが俺の頬に触れる。
貴方はそっと俺に微笑んだ。
「ねぇ、凪先輩」
首を締める手を緩める。
頭の角に手を掛ける。
片方を力を入れて折ってみせる。
折れた先を貴方の口に入れる。
「大好きです、愛してます。言葉では言い尽くせないくらい。ずっとずっと一緒ですよねぇ。俺の一部を貴方に食べさせたからきっと来世も一緒ですね」
力強く抱き締める。
貴方も俺を抱き締め返す。
貴方だけが死ぬなんて有り得ないよ。
だから俺も一緒に逝ってあげる。
歌を歌う。
植物を操る。
地面に咲いた百合の花。
まるで貴方みたいと思いながら、薔薇を操って俺ら二人を刺し殺す。
茎を心臓に突き刺し、棘を生やす。
痛いような、熱いような、複雑な感覚を感じたまま、意識が薄れていく。
「ありがとう、美空」