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第四章 西風を裂く剣
第二十七集 匈奴の大地
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趙英ら一行は冀城を出立すると、漢陽郡の北部へと馬首を向けた。
西の隴西郡では、馬超軍と韓遂軍が各所で小競り合いを繰り返しており、下手をすれば余計な戦いに巻き込まれて日数を浪費してしまう可能性が強かったからだ。
一旦北へと抜けて、まずは武威郡南端の祖厲城に向かい、そこから黄河北岸へと渡って武威郡南部を横断。次いで祁連山脈の南麓を通って韓遂の勢力圏である金城郡を抜け、目的の西平へと向かう。
それが緑風子の立てた予定である。
しかし当初の予定では一日で到着すると思われていた祖厲城であるのだが、一向に到着しないまま三日目の朝を迎えていた。
周囲は痩せた土地に疎らに生えた草や低木が散見される荒野。そして低い山や丘が四方を取り囲んで視界を遮っている。
似たような風景に囲まれている場合、方角を確認する為には太陽の位置で把握するしかない。
群青色の空を次第に明るく染めながら、丘の向こうから朝日が顔を覗かせる。野営の焚火が燻ぶる中、未だ寝息を立てる呼狐澹と、寝起きの欠伸を漏らす趙英。既に起床していた緑風子は、いつもの微笑みを絶やさず、それとなく朝日の昇る方角を確認していた。
呆れ顔の趙英が声をかける。
「迷ったんだろ?」
その一言に少しの間を置いて、趙英に背を向けたまま芝居がかった高笑いをする緑風子。
「はっはっはっは! いや多分、ちょっとだけ東に逸れたんだ。もうちょっとこう……、北西に向かえば……、最悪その内に黄河には行き当たるさ!」
緑風子の高笑いで目が覚めた呼狐澹が身を起こす横で、趙英が溜息を吐きながら呟く。
「そりゃその内にぶつかるだろうけどな……、祖厲で買い込む予定だったから、食糧はそんなにないぞ。この辺は野生動物も少ないし、マズくねぇか」
「探せばいるよ、こういう所でも……」
寝起きで話が良く読めない呼狐澹が、欠伸をしながら見当違いな意見を述べた事で、趙英は再び溜息を吐いて頭を抱えるのだった。
その後、陽が高くなるのを待って馬を走らせる三人。
周囲に目印となる物が無い中で低山が続く地形では、山を越えるまでその先の景色が見えない。山を一つ越える度に、それまでと同じような景色が繰り返される。それが道行く者の判断を迷わせるのである。
「東に逸れたままだとしたら、武威じゃなくて安定に入っちまってるんじゃねぇか?」
趙英の問いに、黙ったまま微笑んでいる緑風子。
「待った!」
そう叫んだのは呼狐澹であった。その声に馬を止める二人。その真剣な表情に緊張が走る。
「どうした、澹兒」
そう訊いた趙英も、遠目が効く呼狐澹が何かを見つけたのだと予想は出来た。
呼狐澹が見たのは、馬を駆る複数の人影がこの先の山の稜線に消えたという事だった。漢人では無く騎馬民族らしいが、どの部族なのかは分からず、場合によってはこちらを襲撃する可能性もある。
警戒しながらゆっくりと馬を進め、進行方向の山へと次第に近づいていく。
「あ、来る」
呼狐澹がそう呟いた瞬間、彼らから死角になっていた岩陰、谷間、丘の向こうから、数十騎もの胡人(異民族)が馬を駆って現れ、彼らを取り囲んだ。
「何者だ!?」
片言の漢語で話しかけたのは、胡人の方であった。
その問いに答えたのは呼狐澹であったのだが、それは漢語では無かった。
彼らの装いから同族である南匈奴だと判断した呼狐澹が匈奴語で話しかけたのである。匈奴語の分からない趙英や緑風子は、その会話の雰囲気から察する事しかできない。
しかし向こうに、恐らくは匈奴語で返された事への一瞬の動揺が見受けられた後、明るい口調の呼狐澹に対し、指揮を取っていると思われる中年男性も穏やかな口調で会話を始めた事から、趙英も戦いになる事はないと判断できた。
余談だが、南匈奴は固有の文字を持つ前に漢人と同化し、言語その物が廃れてしまった事から、後世に匈奴語がどのような言語であったか分かっていない。
彼ら南匈奴以外の匈奴は広くユーラシア大陸中央部に散って暮らしており、漢人と交わりの無かった西アジアの匈奴も多かった事からトルコ語の古語であるテュルク諸語であるとするのが最も有力であるが、モンゴル系統、ウラル系統など諸説入り乱れており、未だに定説が定まっていないのだ。
さて、しばらくの会話の後、呼狐澹が二人に振り返って会話の内容を伝える。
「向こうも警戒してただけで、別に襲うつもりは無かったみたいだよ。こっちが道に迷ったって言ったら泊めてくれるってさ。これで夕食の心配は無さそう!」
それを聞いた趙英と緑風子が、指揮官と思われる中年男性に包拳礼をすると、相手も笑顔で頷いた。
もともと漢人との共存を望んで長城の内側に住んでいる南匈奴である。多少なり漢語を話せる者たちも多く、指揮官の男性も同様であった。
そんな彼は、多羅克と名乗った。
「そなたら、どの族長に仕えているのだ? 曹操という奴か?」
馬を並走させながらの多羅克の問いに対し、趙英も緑風子も少し悩んだ。そもそも仕官しているわけではないので、明確に配下というわけではない。しかし現状の敵味方を考えれば、そう答えるのが妥当であろう。
緑風子が、曹操と馬超の戦いがあった事から、現在の涼州の現状を噛み砕いて説明した。
その説明に呵々大笑する多羅克。
「漢族も複雑よな! 今度は馬超が曹操と戦っておるのか!」
彼の語る所によると、南匈奴が部族を上げて漢人の援軍に出たのは過去に幾度もあったという。
霊帝の時代に起こった黄巾の乱に際しては官軍に付き、その後に幽州牧・劉虞への援軍として烏桓や鮮卑と戦った。呼狐澹の父が戦ったのもこの時期であるという。
次いで汝南袁氏の袁術に請われて反董卓連合軍として参加し、その後の中原の争いでは袁術の下、陳留で曹操と戦った。
董卓を暗殺した王允と呂布を討伐する為、李傕を支援して長安でも戦った。
そして袁術と同族である汝南袁氏の袁紹の軍に説得されて、河東で曹操の軍と再び戦ったのである。
最後の曹操と袁紹の戦いでは、関中軍閥である馬騰は曹操軍に付いていた。その先鋒が馬超であり、散々に打ち負かされた南匈奴からすれば「曹操軍先鋒の馬超」として記憶されていたのである。
南匈奴は、あくまでも漢人と共存したい、その為に漢人の味方をしたいと願い、部族を上げて傭兵稼業をしているようなものである。
それがいつの間にやら賊軍の汚名を着てしまった。だが過去の戦いで援軍を請われた時は全て同じ「これは漢の皇帝陛下の為の戦いだ」という言葉が共通していたという。
「それらの戦いに、どのような違いがあったのか。我らには分からぬ。全く、漢族は分からぬ……」
多羅克の悲し気な目に、趙英も緑風子も押し黙るしかできなかった。呼狐澹と言う友を得ている事で偏見もほとんどない彼らであるが、それでも匈奴が多くの漢人から一括りに野蛮人として忌避されているのも事実である。
馬超の軍に付いて趙英らと敵対している羌族や氐族もまた同様なのであろう。
そんな中でも、南匈奴は最大限の努力をしていると言えた。
こうした民族対立は、どこの土地でも、いつの時代でも起こっていて、簡単に解決できるものではない。何十年、何百年と時間をかけて融和していくしか手が無いのだ。
だが彼らが生きている内に融和が見れる事はきっと無いだろう。その事実が重い空気を産んでいた。
沈黙が続く中、気を取り直したように明るい口調で多羅克が言う。
「さぁ、この先が逗留地だ。我らの単于(大王)もそこにいる」
西の隴西郡では、馬超軍と韓遂軍が各所で小競り合いを繰り返しており、下手をすれば余計な戦いに巻き込まれて日数を浪費してしまう可能性が強かったからだ。
一旦北へと抜けて、まずは武威郡南端の祖厲城に向かい、そこから黄河北岸へと渡って武威郡南部を横断。次いで祁連山脈の南麓を通って韓遂の勢力圏である金城郡を抜け、目的の西平へと向かう。
それが緑風子の立てた予定である。
しかし当初の予定では一日で到着すると思われていた祖厲城であるのだが、一向に到着しないまま三日目の朝を迎えていた。
周囲は痩せた土地に疎らに生えた草や低木が散見される荒野。そして低い山や丘が四方を取り囲んで視界を遮っている。
似たような風景に囲まれている場合、方角を確認する為には太陽の位置で把握するしかない。
群青色の空を次第に明るく染めながら、丘の向こうから朝日が顔を覗かせる。野営の焚火が燻ぶる中、未だ寝息を立てる呼狐澹と、寝起きの欠伸を漏らす趙英。既に起床していた緑風子は、いつもの微笑みを絶やさず、それとなく朝日の昇る方角を確認していた。
呆れ顔の趙英が声をかける。
「迷ったんだろ?」
その一言に少しの間を置いて、趙英に背を向けたまま芝居がかった高笑いをする緑風子。
「はっはっはっは! いや多分、ちょっとだけ東に逸れたんだ。もうちょっとこう……、北西に向かえば……、最悪その内に黄河には行き当たるさ!」
緑風子の高笑いで目が覚めた呼狐澹が身を起こす横で、趙英が溜息を吐きながら呟く。
「そりゃその内にぶつかるだろうけどな……、祖厲で買い込む予定だったから、食糧はそんなにないぞ。この辺は野生動物も少ないし、マズくねぇか」
「探せばいるよ、こういう所でも……」
寝起きで話が良く読めない呼狐澹が、欠伸をしながら見当違いな意見を述べた事で、趙英は再び溜息を吐いて頭を抱えるのだった。
その後、陽が高くなるのを待って馬を走らせる三人。
周囲に目印となる物が無い中で低山が続く地形では、山を越えるまでその先の景色が見えない。山を一つ越える度に、それまでと同じような景色が繰り返される。それが道行く者の判断を迷わせるのである。
「東に逸れたままだとしたら、武威じゃなくて安定に入っちまってるんじゃねぇか?」
趙英の問いに、黙ったまま微笑んでいる緑風子。
「待った!」
そう叫んだのは呼狐澹であった。その声に馬を止める二人。その真剣な表情に緊張が走る。
「どうした、澹兒」
そう訊いた趙英も、遠目が効く呼狐澹が何かを見つけたのだと予想は出来た。
呼狐澹が見たのは、馬を駆る複数の人影がこの先の山の稜線に消えたという事だった。漢人では無く騎馬民族らしいが、どの部族なのかは分からず、場合によってはこちらを襲撃する可能性もある。
警戒しながらゆっくりと馬を進め、進行方向の山へと次第に近づいていく。
「あ、来る」
呼狐澹がそう呟いた瞬間、彼らから死角になっていた岩陰、谷間、丘の向こうから、数十騎もの胡人(異民族)が馬を駆って現れ、彼らを取り囲んだ。
「何者だ!?」
片言の漢語で話しかけたのは、胡人の方であった。
その問いに答えたのは呼狐澹であったのだが、それは漢語では無かった。
彼らの装いから同族である南匈奴だと判断した呼狐澹が匈奴語で話しかけたのである。匈奴語の分からない趙英や緑風子は、その会話の雰囲気から察する事しかできない。
しかし向こうに、恐らくは匈奴語で返された事への一瞬の動揺が見受けられた後、明るい口調の呼狐澹に対し、指揮を取っていると思われる中年男性も穏やかな口調で会話を始めた事から、趙英も戦いになる事はないと判断できた。
余談だが、南匈奴は固有の文字を持つ前に漢人と同化し、言語その物が廃れてしまった事から、後世に匈奴語がどのような言語であったか分かっていない。
彼ら南匈奴以外の匈奴は広くユーラシア大陸中央部に散って暮らしており、漢人と交わりの無かった西アジアの匈奴も多かった事からトルコ語の古語であるテュルク諸語であるとするのが最も有力であるが、モンゴル系統、ウラル系統など諸説入り乱れており、未だに定説が定まっていないのだ。
さて、しばらくの会話の後、呼狐澹が二人に振り返って会話の内容を伝える。
「向こうも警戒してただけで、別に襲うつもりは無かったみたいだよ。こっちが道に迷ったって言ったら泊めてくれるってさ。これで夕食の心配は無さそう!」
それを聞いた趙英と緑風子が、指揮官と思われる中年男性に包拳礼をすると、相手も笑顔で頷いた。
もともと漢人との共存を望んで長城の内側に住んでいる南匈奴である。多少なり漢語を話せる者たちも多く、指揮官の男性も同様であった。
そんな彼は、多羅克と名乗った。
「そなたら、どの族長に仕えているのだ? 曹操という奴か?」
馬を並走させながらの多羅克の問いに対し、趙英も緑風子も少し悩んだ。そもそも仕官しているわけではないので、明確に配下というわけではない。しかし現状の敵味方を考えれば、そう答えるのが妥当であろう。
緑風子が、曹操と馬超の戦いがあった事から、現在の涼州の現状を噛み砕いて説明した。
その説明に呵々大笑する多羅克。
「漢族も複雑よな! 今度は馬超が曹操と戦っておるのか!」
彼の語る所によると、南匈奴が部族を上げて漢人の援軍に出たのは過去に幾度もあったという。
霊帝の時代に起こった黄巾の乱に際しては官軍に付き、その後に幽州牧・劉虞への援軍として烏桓や鮮卑と戦った。呼狐澹の父が戦ったのもこの時期であるという。
次いで汝南袁氏の袁術に請われて反董卓連合軍として参加し、その後の中原の争いでは袁術の下、陳留で曹操と戦った。
董卓を暗殺した王允と呂布を討伐する為、李傕を支援して長安でも戦った。
そして袁術と同族である汝南袁氏の袁紹の軍に説得されて、河東で曹操の軍と再び戦ったのである。
最後の曹操と袁紹の戦いでは、関中軍閥である馬騰は曹操軍に付いていた。その先鋒が馬超であり、散々に打ち負かされた南匈奴からすれば「曹操軍先鋒の馬超」として記憶されていたのである。
南匈奴は、あくまでも漢人と共存したい、その為に漢人の味方をしたいと願い、部族を上げて傭兵稼業をしているようなものである。
それがいつの間にやら賊軍の汚名を着てしまった。だが過去の戦いで援軍を請われた時は全て同じ「これは漢の皇帝陛下の為の戦いだ」という言葉が共通していたという。
「それらの戦いに、どのような違いがあったのか。我らには分からぬ。全く、漢族は分からぬ……」
多羅克の悲し気な目に、趙英も緑風子も押し黙るしかできなかった。呼狐澹と言う友を得ている事で偏見もほとんどない彼らであるが、それでも匈奴が多くの漢人から一括りに野蛮人として忌避されているのも事実である。
馬超の軍に付いて趙英らと敵対している羌族や氐族もまた同様なのであろう。
そんな中でも、南匈奴は最大限の努力をしていると言えた。
こうした民族対立は、どこの土地でも、いつの時代でも起こっていて、簡単に解決できるものではない。何十年、何百年と時間をかけて融和していくしか手が無いのだ。
だが彼らが生きている内に融和が見れる事はきっと無いだろう。その事実が重い空気を産んでいた。
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