64 / 75
第六章 報仇の時
第四十九集 怨恨の鎖
しおりを挟む
馬超が軍を率いて冀城へと辿り着いた時には、冀城の城門は固く閉ざされ、更には周囲に馬超軍と同数以上の軍勢が控えて臨戦態勢を整えていた。
兵力はほぼ拮抗しており、包囲する事は出来ない。そうなれば城門前で野戦をする事になるわけだが、足場を失って孤立無援となっている馬超軍には援軍も補給もない。時間をかければそれだけ自軍が不利となり、もし仮に冀城を取り返したとしても、そのまま包囲されて孤立してしまう。
先年の冀城包囲戦で韋康らを苦しめた馬超であるが、そうなれば今度は自身がその立場になってしまうわけだ。
もはや撤退しか道は残されていなかったが、まるで彼らを逃がすかのように南方への道が空いている。同盟者・張魯がいる漢中へ向かう道である。
敵も抗戦の構えを取っているだけで、攻撃はしてきていなかった。
さすがの馬超も敵の意図が見えて癪に障るが、体勢を立て直し補給線を確保する事の出来る唯一の道である。再起を図るには、もはやそれしか道は残されていない。ここで交戦をするのは滅亡への道であると、馬超当人も将兵たちも皆が理解していた。
そんな馬超が、せめて一言でも再戦の宣言をしてやろうと城門に向き直った時、彼は思わず凍り付いた。
その目に映った物は、まるで見せしめのように城門から吊るされている複数の死体。全身を切り刻まれ真っ赤に染まったその死体からは血が滴り、真下の地面に血だまりを作っていた。一人の女性と、他は幼子である。
それを見た馬超は、初め必死に理解を拒絶した。だがそれ以外はあり得なかった。彼の妻・浥雉と、彼の子供たちである。
絶望の慟哭を漏らして崩れ落ちる馬超の姿を見つめるのは王異。その服は真っ赤に染まり、その顔にすら返り血が飛び散ったまま、それを拭う事もなく城門の上から見下ろしていた。地面に伏して嘆き悲しむ馬超の姿を見て、その口元を歪めている。
そんな王異の視線に馬超も気づく。妻と親交を結んで友人として付き合いを持っていた女。それは涼州の役人である趙昂の妻。全てはこの為だけに近づいたのだと、馬超もようやく理解した。
枹罕で突き殺した姜冏が語った「我ら涼州の者が、本当に貴様に忠誠を誓うとでも思っていたのか」という言葉が馬超の脳内で響き渡る。
父・馬騰や、弟である馬休・馬鉄とは、もともと関係があまり良くなかった。都にいた親類縁者とは顔を合わせた事もなかった。
だから彼らが処刑されたと聞いた時も、それが馬超自身の反逆の罪に連座した物とは言え、そこまで感情が揺れる事は無かった。馬超自身も不思議なほどに。
だが妻子は違った。彼が父からの愛情を受けられなかったと感じて育った事の反動もあって、家族への慈愛は人一倍強かったのである。それゆえに絶望は大きかった。
仲睦まじく暮らした妻と、父を慕う子供たちの笑顔が、目の前にある惨殺死体に重なり、彼の心を乱した。
この一年の間、浥雉と交流してきた王異は、それをよく分かっていた。今この瞬間の馬超の絶望も手に取るようにわかる。だからこそ妻子の死体を切り刻んだのだ。本人だと確認できる範囲内で、可能な限り残酷に。
お前のその姿を、ずっと見たかった――。
悲しみの涙を流して慟哭した馬超を見つめ、返り血に塗れたまま勝ち誇った笑みを浮かべている王異。そんな姿を見せつけられ、次第に悲しみから怒りへと感情が移り変わる馬超。
だがここで交戦しては確実に滅びると、彼の最後の理性が働いていた。
王異と馬超は、その両者ともに何も語らなかった。ただ互いの視線だけで充分であった。必ず戻って来ると、馬超の瞳は語っていた。
そして静かに立ち上がった馬超は、部下に漢中へ向けての退却を命じた。
失意のままに漢中へと向かう馬超軍。その行く先に歴城が見えてくる。秦嶺山脈へと入っていく山道は目と鼻の先にある城市で、漢中へと向かうこの先にほとんど支城は無い。むしろ武都氐の勢力下にあり馬超にとっては安全地帯だ。
そうした事情も加味した上で涼州への足掛かりを残す意味として、確保できるならばこの城だけでも陥落させておいて損は無かった。
そう思い至った馬超は、軍を展開し歴城を攻める体勢を見せた。
この城を根拠としている撫夷将軍・姜敍にとっては、馬超がその判断をする事こそを恐れていたわけである。それを見越して歴城では城門が閉ざされ防備が固められていたわけだが、守備兵力は馬超軍の半数以下であり、守り切れるかどうかは未知数であった。
そんな歴城の城門前に、ひとりの老婆が立っていた。杖を突いている腰の曲がった老婆である。鎧を着ているわけでも武器を持っているでもなく、周囲には護衛もいない。
それは正に撫夷将軍・姜敍と、枹罕で殺害された姜冏の母に当たる人物だ。いつの間にやら城門の外に出ていた将軍の母君の姿に守備兵たちは困惑するが、当の彼女は落ち着いた様子である。
勿論ながら相手の素性を知らぬまま、何事かと思って見つめていた馬超に向かって、その老婆は歩み寄って話しかけてきた。
「馬孟起よ。全くの自業自得よな。天に弓を引いた大罪。暴威と恐怖によって民を押さえつけ、そなたを助けてきた韓遂からの恩も仇で返した。それらの罪によってそなたは家族を失ったのだ。そしてそなたの祖先である漢の忠臣、伏波将軍・馬文淵の血脈をも滅ぼしてしまったのよ!」
馬超の祖父・馬平は、元々は後漢の初代皇帝・劉秀(光武帝)に仕えた馬援の末裔で、かつては皇后すらも輩出した名門の家柄である。都にて処刑された馬超の親類縁者二百人とは、正にその馬援の血を引く者たちであった。
馬平とその息子・馬騰が、続けて羌族の娘を娶った事で、馬超を羌族との混血児として扱う者が多かった中、名門である馬援将軍の子孫として扱われるのは、本来ならば誇らしい事である。
だがそれは馬超にとって、己の行いでその血筋を絶やした罪業に正面から向き合う事でもあった。
「何たる不忠! 何たる不義! 何たる不孝! そなたほどの罪人は天下広しと言えど、そう多くは無かろうよ。
董卓か? 李傕か? 呂布か? それとも袁術か? いずれにしてもそなたは後世に、奴らと並んで語られる悪人にしかなりえまい。草葉の影で、父祖たちは嘆き悲しむであろうなぁ!」
もはや限界であった。冀城で妻子を失った事で千々に乱れた馬超の心は、それ以上の言葉を受け入れる余裕などなかった。
彼は槍を手に取ると、絶叫を上げて老婆に襲い掛かった。周囲の将兵が止める間もなく、ただ怒りに任せて老婆に槍を突き下ろす。何度も何度も、爆発した感情のままに。
そんな姿に、城門の上の兵士たちは戦慄した。もしも門が破られれば、あのような野獣が城内の者を皆殺しにしてしまうだろう。老若男女の区別なく。
だがそれこそが、老婆の狙いでもあった。歴城には彼女の孫もいる。家族を守る為、そして故郷を守る為、ひいては漢朝への忠義の為に、老い先短い自身の命を犠牲とし、背水の陣を敷いたのである。
決死の覚悟が決まった城門の守備兵たちが馬超軍に向けて弓を構える中、既に血まみれの肉塊と化した老婆の遺体の前で、息を荒げている馬超に、後方に待機していた龐徳が歩み寄ると、ここで攻めるのは愚策と進言した。
こうして馬超軍は歴城攻略を諦め、再び漢中へと退却を開始したのである。
攻城を諦めた馬超軍が立ち去った後、歴城の城門が開かれ、ひとりの少年が駆け出した。周囲の兵からの「見ない方がいい」という制止を振り切って、もはや顔も判別できぬほどに潰された老婆の亡骸へと駆け寄った。
それは彼女の孫である姜維だった。枹罕に出兵していた父・姜冏が馬超によって殺されたという報告が届いて間もなく、今度の事が起こったのである。
涙を流しながら膝から崩れ落ちた少年の目は、山の向こうへと立ち去っていく軍を見つめていた。その先頭にいるであろう、父の仇、祖母の仇である馬超へと……。
兵力はほぼ拮抗しており、包囲する事は出来ない。そうなれば城門前で野戦をする事になるわけだが、足場を失って孤立無援となっている馬超軍には援軍も補給もない。時間をかければそれだけ自軍が不利となり、もし仮に冀城を取り返したとしても、そのまま包囲されて孤立してしまう。
先年の冀城包囲戦で韋康らを苦しめた馬超であるが、そうなれば今度は自身がその立場になってしまうわけだ。
もはや撤退しか道は残されていなかったが、まるで彼らを逃がすかのように南方への道が空いている。同盟者・張魯がいる漢中へ向かう道である。
敵も抗戦の構えを取っているだけで、攻撃はしてきていなかった。
さすがの馬超も敵の意図が見えて癪に障るが、体勢を立て直し補給線を確保する事の出来る唯一の道である。再起を図るには、もはやそれしか道は残されていない。ここで交戦をするのは滅亡への道であると、馬超当人も将兵たちも皆が理解していた。
そんな馬超が、せめて一言でも再戦の宣言をしてやろうと城門に向き直った時、彼は思わず凍り付いた。
その目に映った物は、まるで見せしめのように城門から吊るされている複数の死体。全身を切り刻まれ真っ赤に染まったその死体からは血が滴り、真下の地面に血だまりを作っていた。一人の女性と、他は幼子である。
それを見た馬超は、初め必死に理解を拒絶した。だがそれ以外はあり得なかった。彼の妻・浥雉と、彼の子供たちである。
絶望の慟哭を漏らして崩れ落ちる馬超の姿を見つめるのは王異。その服は真っ赤に染まり、その顔にすら返り血が飛び散ったまま、それを拭う事もなく城門の上から見下ろしていた。地面に伏して嘆き悲しむ馬超の姿を見て、その口元を歪めている。
そんな王異の視線に馬超も気づく。妻と親交を結んで友人として付き合いを持っていた女。それは涼州の役人である趙昂の妻。全てはこの為だけに近づいたのだと、馬超もようやく理解した。
枹罕で突き殺した姜冏が語った「我ら涼州の者が、本当に貴様に忠誠を誓うとでも思っていたのか」という言葉が馬超の脳内で響き渡る。
父・馬騰や、弟である馬休・馬鉄とは、もともと関係があまり良くなかった。都にいた親類縁者とは顔を合わせた事もなかった。
だから彼らが処刑されたと聞いた時も、それが馬超自身の反逆の罪に連座した物とは言え、そこまで感情が揺れる事は無かった。馬超自身も不思議なほどに。
だが妻子は違った。彼が父からの愛情を受けられなかったと感じて育った事の反動もあって、家族への慈愛は人一倍強かったのである。それゆえに絶望は大きかった。
仲睦まじく暮らした妻と、父を慕う子供たちの笑顔が、目の前にある惨殺死体に重なり、彼の心を乱した。
この一年の間、浥雉と交流してきた王異は、それをよく分かっていた。今この瞬間の馬超の絶望も手に取るようにわかる。だからこそ妻子の死体を切り刻んだのだ。本人だと確認できる範囲内で、可能な限り残酷に。
お前のその姿を、ずっと見たかった――。
悲しみの涙を流して慟哭した馬超を見つめ、返り血に塗れたまま勝ち誇った笑みを浮かべている王異。そんな姿を見せつけられ、次第に悲しみから怒りへと感情が移り変わる馬超。
だがここで交戦しては確実に滅びると、彼の最後の理性が働いていた。
王異と馬超は、その両者ともに何も語らなかった。ただ互いの視線だけで充分であった。必ず戻って来ると、馬超の瞳は語っていた。
そして静かに立ち上がった馬超は、部下に漢中へ向けての退却を命じた。
失意のままに漢中へと向かう馬超軍。その行く先に歴城が見えてくる。秦嶺山脈へと入っていく山道は目と鼻の先にある城市で、漢中へと向かうこの先にほとんど支城は無い。むしろ武都氐の勢力下にあり馬超にとっては安全地帯だ。
そうした事情も加味した上で涼州への足掛かりを残す意味として、確保できるならばこの城だけでも陥落させておいて損は無かった。
そう思い至った馬超は、軍を展開し歴城を攻める体勢を見せた。
この城を根拠としている撫夷将軍・姜敍にとっては、馬超がその判断をする事こそを恐れていたわけである。それを見越して歴城では城門が閉ざされ防備が固められていたわけだが、守備兵力は馬超軍の半数以下であり、守り切れるかどうかは未知数であった。
そんな歴城の城門前に、ひとりの老婆が立っていた。杖を突いている腰の曲がった老婆である。鎧を着ているわけでも武器を持っているでもなく、周囲には護衛もいない。
それは正に撫夷将軍・姜敍と、枹罕で殺害された姜冏の母に当たる人物だ。いつの間にやら城門の外に出ていた将軍の母君の姿に守備兵たちは困惑するが、当の彼女は落ち着いた様子である。
勿論ながら相手の素性を知らぬまま、何事かと思って見つめていた馬超に向かって、その老婆は歩み寄って話しかけてきた。
「馬孟起よ。全くの自業自得よな。天に弓を引いた大罪。暴威と恐怖によって民を押さえつけ、そなたを助けてきた韓遂からの恩も仇で返した。それらの罪によってそなたは家族を失ったのだ。そしてそなたの祖先である漢の忠臣、伏波将軍・馬文淵の血脈をも滅ぼしてしまったのよ!」
馬超の祖父・馬平は、元々は後漢の初代皇帝・劉秀(光武帝)に仕えた馬援の末裔で、かつては皇后すらも輩出した名門の家柄である。都にて処刑された馬超の親類縁者二百人とは、正にその馬援の血を引く者たちであった。
馬平とその息子・馬騰が、続けて羌族の娘を娶った事で、馬超を羌族との混血児として扱う者が多かった中、名門である馬援将軍の子孫として扱われるのは、本来ならば誇らしい事である。
だがそれは馬超にとって、己の行いでその血筋を絶やした罪業に正面から向き合う事でもあった。
「何たる不忠! 何たる不義! 何たる不孝! そなたほどの罪人は天下広しと言えど、そう多くは無かろうよ。
董卓か? 李傕か? 呂布か? それとも袁術か? いずれにしてもそなたは後世に、奴らと並んで語られる悪人にしかなりえまい。草葉の影で、父祖たちは嘆き悲しむであろうなぁ!」
もはや限界であった。冀城で妻子を失った事で千々に乱れた馬超の心は、それ以上の言葉を受け入れる余裕などなかった。
彼は槍を手に取ると、絶叫を上げて老婆に襲い掛かった。周囲の将兵が止める間もなく、ただ怒りに任せて老婆に槍を突き下ろす。何度も何度も、爆発した感情のままに。
そんな姿に、城門の上の兵士たちは戦慄した。もしも門が破られれば、あのような野獣が城内の者を皆殺しにしてしまうだろう。老若男女の区別なく。
だがそれこそが、老婆の狙いでもあった。歴城には彼女の孫もいる。家族を守る為、そして故郷を守る為、ひいては漢朝への忠義の為に、老い先短い自身の命を犠牲とし、背水の陣を敷いたのである。
決死の覚悟が決まった城門の守備兵たちが馬超軍に向けて弓を構える中、既に血まみれの肉塊と化した老婆の遺体の前で、息を荒げている馬超に、後方に待機していた龐徳が歩み寄ると、ここで攻めるのは愚策と進言した。
こうして馬超軍は歴城攻略を諦め、再び漢中へと退却を開始したのである。
攻城を諦めた馬超軍が立ち去った後、歴城の城門が開かれ、ひとりの少年が駆け出した。周囲の兵からの「見ない方がいい」という制止を振り切って、もはや顔も判別できぬほどに潰された老婆の亡骸へと駆け寄った。
それは彼女の孫である姜維だった。枹罕に出兵していた父・姜冏が馬超によって殺されたという報告が届いて間もなく、今度の事が起こったのである。
涙を流しながら膝から崩れ落ちた少年の目は、山の向こうへと立ち去っていく軍を見つめていた。その先頭にいるであろう、父の仇、祖母の仇である馬超へと……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【時代小説】 黄昏夫婦
蔵屋
歴史・時代
江戸時代、東北地方の秋田藩は貧かった。
そんな中、真面目なひとりの武士がいた。同僚からは馬鹿にされていたが真面目な男であった。俸禄は低く貧しい。娘二人と実母との4人暮らし。
秋田藩での仕事は勘定方である。
仕事が終わると真っ直ぐ帰宅する。
ただひたすら日中は城中では勘定方の仕事をまじめにして、帰宅すれば論語を読んで知識を習得する。
そんな毎日であった。彼の名前は立花清左衛門。年齢は35歳。
娘は二人いて、一人はとめ15歳。もう一人は梅、8歳。
さて|黄昏《たそがれ》は、一日のうち日没直後、雲のない西の空に夕焼けの名残りの「赤さ」が残る時間帯のことを言う。「|黄昏時《たそがれどき)」。 「黄昏れる《たそがれる》」という動詞形もある。
「たそがれ」は、江戸時代になるまでは「たそかれ」といい、「たそかれどき」の略でよく知られていた。夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さになると誰かれとなく、「そこにいるのは誰ですか」「誰そ彼(誰ですかあなたは)」とたずねる頃合いという意味で日常会話でよく使われた。
今回の私の小説のテーマはこの黄昏である。
この風習は広く日本で行われている。
「おはようさんです」「これからですか」「お晩でございます。いまお帰りですか」と尋ねられれば相手も答えざるを得ず、互いに誰であるかチェックすることでヨソ者を排除する意図があったとされている。
「たそかれ」という言葉は『万葉集』に
誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」
— 『万葉集』第10巻2240番
と登場するが、これは文字通り「誰ですかあなたは」という意味である。
「平安時代には『うつほ物語』に「たそかれどき」の用例が現れ、さらに『源氏物語』に
「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 夕顔の花」
— 『源氏物語』「夕顔」光源氏
と、現在のように「たそかれ」で時間帯を表す用例が現れる。
なおこの歌は、帖と登場人物の名「夕顔」の由来になった夕顔の歌への返歌である。
またこの言葉の比喩として、「最盛期は過ぎたが、多少は余力があり、滅亡するにはまだ早い状態」をという語句の用い方をする。
漢語「|黄昏《コウコン》」は日没後のまだ完全に暗くなっていない時刻を指す。「初昏」とも呼んでいた。十二時辰では「戌時」(午後7時から9時)に相当する。
「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
作家 蔵屋日唱
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
九州のイチモツ 立花宗茂
三井 寿
歴史・時代
豊臣秀吉が愛し、徳川家康が怖れた猛将“立花宗茂”。
義父“立花道雪”、父“高橋紹運”の凄まじい合戦と最期を目の当たりにし、男としての仁義を貫いた”立花宗茂“と“誾千代姫”との哀しい別れの物語です。
下剋上の戦国時代、九州では“大友・龍造寺・島津”三つ巴の戦いが続いている。
大友家を支えるのが、足が不自由にもかかわらず、輿に乗って戦い、37戦常勝無敗を誇った“九州一の勇将”立花道雪と高橋紹運である。立花道雪は1人娘の誾千代姫に家督を譲るが、勢力争いで凋落する大友宗麟を支える為に高橋紹運の跡継ぎ統虎(立花宗茂)を婿に迎えた。
女城主として育てられた誾千代姫と統虎は激しく反目しあうが、父立花道雪の死で2人は強く結ばれた。
だが、立花道雪の死を好機と捉えた島津家は、九州制覇を目指して出陣する。大友宗麟は豊臣秀吉に出陣を願ったが、島津軍は5万の大軍で筑前へ向かった。
その島津軍5万に挑んだのが、高橋紹運率いる岩屋城736名である。岩屋城に籠る高橋軍は14日間も島津軍を翻弄し、最期は全員が壮絶な討ち死にを遂げた。命を賭けた時間稼ぎにより、秀吉軍は筑前に到着し、立花宗茂と立花城を救った。
島津軍は撤退したが、立花宗茂は5万の島津軍を追撃し、筑前国領主としての意地を果たした。豊臣秀吉は立花宗茂の武勇を讃え、“九州之一物”と呼び、多くの大名の前で激賞した。その後、豊臣秀吉は九州征伐・天下統一へと突き進んでいく。
その後の朝鮮征伐、関ヶ原の合戦で“立花宗茂”は己の仁義と意地の為に戦うこととなる。
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる