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― 参 ― ふたりのこども
基本はのびのびと
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アルが先程から『アカンタレ小僧』が誰なのか、答え合わせをコンラード先生に、『アカンタレ小僧』のアカンタレな話をアンナにせがんでいます。正直、私も聞きたくてうずうずしておりますの。
「ではアル坊っちゃま、今から爺とここにいる皆様とで少しお話し合いをしなければいけないのですが、その間、大人しく座っておくことができたらお話をしましょう」
コンラード先生の提案でお父様に言い訳を考える時間が出来ましたわね。
でもお父様は気付いていらっしゃるのかしら?言い訳を考えている時点で『アカンタレ小僧』ですわよ。
アルのお勉強は明日から始まるのですが、未だ3歳と幼く、何より本当なら5歳までに簡単なマナーと何より『じっとしておく』という事に慣れさせ、7歳までに勉強をする習慣をつけたいと思っていただけなのです。家庭教師の先生を迎えるのはそれからのつもりだったのです。それを気が逸ったお父様がコンラード先生を連れてきてしまったのです。ですので先生には殆ど子守をさせることになるんじゃないかと少し心配です。
先生との話し合いでは、今のように先ずは『〇〇の間、大人しくしておく』や絵本などを少しずつ『自分で読ませる』こと、この2つだけを『必ず毎日課すもの』と定め、大人しくさせることは先生や私達保護者だけでなく、侍女が何か…たとえばアルの部屋の掃除やアルの身支度を整えている時など、短い時間でも『できますか?』と促しす事で、自発的に『大人同士が話をしている時は大人しくしておく』『お仕事をしている人の邪魔をしない』といったことが出来るようにするのと同時に今後『勉強時間』として机に向かって一定の時間を過ごすということにも慣れていってもらおうということになりました。
「…とは言っても昨日と今日、少しの時間ですが一緒に過ごさせて頂いた中では、アル坊ちゃまは聞き分けも良く『自分で気付く』ということも出来る賢い方ですからそう難しい事ではないでしょう。なので『これなら出来そうだ』と思うことは年齢を気にすることなく教えてみたいと思うのですがよろしいですかな? もちろん、無理が出ないようには気を付けるつもりですよ」
どうやらアルは優秀みたいですわね。非の打ち所がないデュークとしっかり者の私の血を引いていますものね。ぁ…いけませんわ、顔がにやけてしまいそうです。
「遊びの中から学ぶことも大事ですからね。例えばお仕事をしている人を見て、また使っている道具を見て、それを何かと聞かれた時には直ぐに答えるのではなくヒントを出しながら当ててもらうなどすると『考える』力も尽きます。またそれを『調べよう』と思えるようになれば、その積み重ねがどんどんと勉強への意欲へと繋がると、私は考えているのです。もちろん聞かれたことを毎回問題にするのではなく、これなら思い出せばわかるだろうとか何となくでも答えられるかもと思うものだけや、少し慣れてくれば、逆に『これは絶対当たらないだろう』というものを問題にしてみるのもいいかと思いますねぇ」
なるほど、確かにアルは好奇心旺盛でよく「これは何?」「あれは何してるの?」と聞いてきます。
今迄は直ぐに答えを言って解っていないと思うと嚙み砕いた説明をしたりしていましたが、問題形式で自分で答えを見つけるというのは楽しくていいですね。
「そうですなぁ、例えば先程からアル坊ちゃまがお尋ねになっている『アカンタレ小僧』の話を例に取りましょうか」
先生…なんだか楽しそうですわね。もちろん私も楽しくなってきましたしアルも先生をじっと見つめています。逆にお父様は口を挟もうかどうしようか迷っているみたいですわね。でも挟ませませんよ。
「アル坊ちゃまが『アカンタレ小僧』の名称を聞いたのは、アンナさんのご推察通り、アロイスさんが『アカンタレ小僧と違って教え甲斐がある』と仰ったのです。それで『アカンタレ小僧』が誰か、アル坊ちゃまは疑問を持たれたんですねぇ」
なるほど、アルはアロ爺にお父様より優秀だと褒められたんですね。
「さてここで皆さんに問題です。『アカンタレ小僧』って誰?と聞かれたら皆さんはどう答えますか?」
ぇ?どう考えてみてもお父様のことよねぇ? …でもそれを知っていてもアルに答えてしまっていいのか、確かに迷いますわね。
「この質問にはいくつか答えがあることに気付いていますか? 先ず最終的な答えとして『アカンタレ小僧は誰か』、その答え以前の問題として『アカンタレ』と呼ばれる人はどんな人か、あと人によっては『小僧』という言葉も聞いたことが無いかもしれません。しかしアル坊ちゃまは『小僧』というのはご自分とそう歳の変わらない男の子の事だと推測したようです。だから『何』ではなく『誰』と聞いてきたのでしょう。それを踏まえて私は『アカンタレ』という言葉を知っているかと尋ねました。そして先ずは『アカンタレ』と言うのは嫌なことから逃げ出してしまうような弱い心だと…まぁ正確な答えではないでしょうが、この場合はそのように答えました。そしてその後アンナさんを紹介しようとしてくださった時に、私とアンナさんが顔見知りではあることを明かしました。その時にアンナさんが『カイン坊ちゃまが勉強が嫌でアロイスさんの所に逃げていた』という話をなさったことで、アル坊ちゃまはアロイスさんが仰った『勉強から逃げるアカンタレ小僧』がカイン坊ちゃまではないかという答えを導きだしたのです」
アルは本当に賢いわね。コンラード先生の開設のおかげで答えまでの道筋が判ったことでアルの賢さが際立ちましたわね。
ここでコンラード先生はアルの方へと身体ごと向いて話を続けます。
「さて、大人同士のお話はこれで終わりです。ではアル坊ちゃま、先程お聞きになられた『アカンタレ小僧』の話をいたしましょうか。そして大人の皆様にもアル坊ちゃまの答え合わせにもうしばらくお付き合いいただきますね」
「ではアル坊っちゃま、今から爺とここにいる皆様とで少しお話し合いをしなければいけないのですが、その間、大人しく座っておくことができたらお話をしましょう」
コンラード先生の提案でお父様に言い訳を考える時間が出来ましたわね。
でもお父様は気付いていらっしゃるのかしら?言い訳を考えている時点で『アカンタレ小僧』ですわよ。
アルのお勉強は明日から始まるのですが、未だ3歳と幼く、何より本当なら5歳までに簡単なマナーと何より『じっとしておく』という事に慣れさせ、7歳までに勉強をする習慣をつけたいと思っていただけなのです。家庭教師の先生を迎えるのはそれからのつもりだったのです。それを気が逸ったお父様がコンラード先生を連れてきてしまったのです。ですので先生には殆ど子守をさせることになるんじゃないかと少し心配です。
先生との話し合いでは、今のように先ずは『〇〇の間、大人しくしておく』や絵本などを少しずつ『自分で読ませる』こと、この2つだけを『必ず毎日課すもの』と定め、大人しくさせることは先生や私達保護者だけでなく、侍女が何か…たとえばアルの部屋の掃除やアルの身支度を整えている時など、短い時間でも『できますか?』と促しす事で、自発的に『大人同士が話をしている時は大人しくしておく』『お仕事をしている人の邪魔をしない』といったことが出来るようにするのと同時に今後『勉強時間』として机に向かって一定の時間を過ごすということにも慣れていってもらおうということになりました。
「…とは言っても昨日と今日、少しの時間ですが一緒に過ごさせて頂いた中では、アル坊ちゃまは聞き分けも良く『自分で気付く』ということも出来る賢い方ですからそう難しい事ではないでしょう。なので『これなら出来そうだ』と思うことは年齢を気にすることなく教えてみたいと思うのですがよろしいですかな? もちろん、無理が出ないようには気を付けるつもりですよ」
どうやらアルは優秀みたいですわね。非の打ち所がないデュークとしっかり者の私の血を引いていますものね。ぁ…いけませんわ、顔がにやけてしまいそうです。
「遊びの中から学ぶことも大事ですからね。例えばお仕事をしている人を見て、また使っている道具を見て、それを何かと聞かれた時には直ぐに答えるのではなくヒントを出しながら当ててもらうなどすると『考える』力も尽きます。またそれを『調べよう』と思えるようになれば、その積み重ねがどんどんと勉強への意欲へと繋がると、私は考えているのです。もちろん聞かれたことを毎回問題にするのではなく、これなら思い出せばわかるだろうとか何となくでも答えられるかもと思うものだけや、少し慣れてくれば、逆に『これは絶対当たらないだろう』というものを問題にしてみるのもいいかと思いますねぇ」
なるほど、確かにアルは好奇心旺盛でよく「これは何?」「あれは何してるの?」と聞いてきます。
今迄は直ぐに答えを言って解っていないと思うと嚙み砕いた説明をしたりしていましたが、問題形式で自分で答えを見つけるというのは楽しくていいですね。
「そうですなぁ、例えば先程からアル坊ちゃまがお尋ねになっている『アカンタレ小僧』の話を例に取りましょうか」
先生…なんだか楽しそうですわね。もちろん私も楽しくなってきましたしアルも先生をじっと見つめています。逆にお父様は口を挟もうかどうしようか迷っているみたいですわね。でも挟ませませんよ。
「アル坊ちゃまが『アカンタレ小僧』の名称を聞いたのは、アンナさんのご推察通り、アロイスさんが『アカンタレ小僧と違って教え甲斐がある』と仰ったのです。それで『アカンタレ小僧』が誰か、アル坊ちゃまは疑問を持たれたんですねぇ」
なるほど、アルはアロ爺にお父様より優秀だと褒められたんですね。
「さてここで皆さんに問題です。『アカンタレ小僧』って誰?と聞かれたら皆さんはどう答えますか?」
ぇ?どう考えてみてもお父様のことよねぇ? …でもそれを知っていてもアルに答えてしまっていいのか、確かに迷いますわね。
「この質問にはいくつか答えがあることに気付いていますか? 先ず最終的な答えとして『アカンタレ小僧は誰か』、その答え以前の問題として『アカンタレ』と呼ばれる人はどんな人か、あと人によっては『小僧』という言葉も聞いたことが無いかもしれません。しかしアル坊ちゃまは『小僧』というのはご自分とそう歳の変わらない男の子の事だと推測したようです。だから『何』ではなく『誰』と聞いてきたのでしょう。それを踏まえて私は『アカンタレ』という言葉を知っているかと尋ねました。そして先ずは『アカンタレ』と言うのは嫌なことから逃げ出してしまうような弱い心だと…まぁ正確な答えではないでしょうが、この場合はそのように答えました。そしてその後アンナさんを紹介しようとしてくださった時に、私とアンナさんが顔見知りではあることを明かしました。その時にアンナさんが『カイン坊ちゃまが勉強が嫌でアロイスさんの所に逃げていた』という話をなさったことで、アル坊ちゃまはアロイスさんが仰った『勉強から逃げるアカンタレ小僧』がカイン坊ちゃまではないかという答えを導きだしたのです」
アルは本当に賢いわね。コンラード先生の開設のおかげで答えまでの道筋が判ったことでアルの賢さが際立ちましたわね。
ここでコンラード先生はアルの方へと身体ごと向いて話を続けます。
「さて、大人同士のお話はこれで終わりです。ではアル坊ちゃま、先程お聞きになられた『アカンタレ小僧』の話をいたしましょうか。そして大人の皆様にもアル坊ちゃまの答え合わせにもうしばらくお付き合いいただきますね」
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