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∽Ⅰ∽
クリストファーからの謝罪
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「アリアナさんはとても博識ですのよ」
全員の自己紹介が終わりあまり面識のなかった方々と終わった頃に、アリアナの母と仲の良いご婦人…スザンヌ・メビウス侯爵夫人がそう切り出した。
「わたくしもアリアナさんのお話を少し聞かせて頂いたことがあるけど、確かに博識な上に確りとしたご自分の意見を持っていて、こうして息子の婚約者として迎えられたこと、本当に嬉しいんですのよ」
「まぁ!やっぱりそういうことでしたのね!発表はいつ頃ですの?」
「たしか婚約者の発表となると王族のマナーを身に着けてからでしたわよね?でもアリアナさんならきっと直ぐですわ!妃教育の基礎なんて直ぐに習得してしまうと思いますわよ」
少しアリアナを可愛がり過ぎるところのあるスザンヌだけでなく、王妃様にまで褒められアリアナは照れて少し俯いてしまう。それでも直ぐに褒められた事よりも王妃様が話を聞いたというあの王太子と婚約者候補達との顔合わせの日のクリストファーへの失礼な物言いまで思い出してしまい、改めてクリストファーへの謝罪の気持ちが沸いてきた。それでも『今』は違うと思い口に出すタイミングをいつにしようかと考え始めたところにクリストファーから声を掛けられた。
「アリアナ嬢、あの日は本当にすまなかった」
その言葉にアリアナは隣のクリストファーを見上げる。
「ぃ、いえ、私もかなり失礼なことを言ってしまいましたし…本当に申し訳ありませんでした」
「君が謝る必要はないんだ!」
思いの外、大きくなったクリストファーの声にご婦人方の声が途切れた。
「ぁ、ぃゃ、本当に…あの日、俺が先にかなり失礼なことを君に言ってしまったし、本当ならこの婚約も受けてもらえないかもしれないと思ってた。それでも君は今日、差し出した俺の手を取ってくれただろう?それが俺は嬉しいんだ」
思わず顔を赤らめたアリアナは思った。この顔の熱はクリストファーが少し恥ずかしそうにそんなことを言うからクリストファーの照れが感染っただけなんだと…。
むしろそう思い込まないと余計に顔が赤くなりそうで、アリアナはとにかく冷静にならなければと自分がよく知らないご婦人方の顔と名前を一致させることに集中することにしてみた。
…のに、そのご婦人方の一人が上げた声にまたもや顔に熱が入る。
「まぁ!クリストファー殿下はアリアナ嬢を大切になさっているのねぇ。確か今日でお会いするのは2回目と聞いていましたけれど…ふふふっ、よっぽどアリアナ嬢にお心を奪われてしまったのね♡」
そんなはずはない!殿下の言葉はただ私に対する罪悪感と謝罪の気持ちからのもの…だからそんなはずはないとわかってる!けどそんな風に思われてると思うだけで恥ずかしい!
アリアナは周りが見ても判るくらいに顔が赤くなり強張っている。
「あぁ…確かに俺は彼女に酷いことを言ってしまった。それもただ自分の無知を恥ずかしく思ったことを隠したいという自分勝手で小さな見栄の為だけに……。こんなに、その、見た目も可愛らしくて美しい女性が政治のことまで造詣が深い事に、自分の不甲斐なさを感じてしまったんだ。本当は彼女を見た瞬間に心を奪われていたのに……」
ご婦人方が黄色い声を上げる。アリアナはさぞかし顔を赤く……は、していなかった。
残念発動中……理解が追いつかず只々真っ赤な顔を強張らせたまま思考力まで強張ってしまっていた。
少し熱が落ち着いたところで更なる残念思考発動!……今度は前世の様に首が抜けてしまわないかという不安がアリアナの頭を支配していた。
もちろん周囲にいる人達は未だ顔を赤くして動きを止めているアリアナと、その隣で同じく頬を赤く染めたままアリアナを愛おしむように見つめるクリストファーを生暖かい目で見てうんうんと頷いていた。
全員の自己紹介が終わりあまり面識のなかった方々と終わった頃に、アリアナの母と仲の良いご婦人…スザンヌ・メビウス侯爵夫人がそう切り出した。
「わたくしもアリアナさんのお話を少し聞かせて頂いたことがあるけど、確かに博識な上に確りとしたご自分の意見を持っていて、こうして息子の婚約者として迎えられたこと、本当に嬉しいんですのよ」
「まぁ!やっぱりそういうことでしたのね!発表はいつ頃ですの?」
「たしか婚約者の発表となると王族のマナーを身に着けてからでしたわよね?でもアリアナさんならきっと直ぐですわ!妃教育の基礎なんて直ぐに習得してしまうと思いますわよ」
少しアリアナを可愛がり過ぎるところのあるスザンヌだけでなく、王妃様にまで褒められアリアナは照れて少し俯いてしまう。それでも直ぐに褒められた事よりも王妃様が話を聞いたというあの王太子と婚約者候補達との顔合わせの日のクリストファーへの失礼な物言いまで思い出してしまい、改めてクリストファーへの謝罪の気持ちが沸いてきた。それでも『今』は違うと思い口に出すタイミングをいつにしようかと考え始めたところにクリストファーから声を掛けられた。
「アリアナ嬢、あの日は本当にすまなかった」
その言葉にアリアナは隣のクリストファーを見上げる。
「ぃ、いえ、私もかなり失礼なことを言ってしまいましたし…本当に申し訳ありませんでした」
「君が謝る必要はないんだ!」
思いの外、大きくなったクリストファーの声にご婦人方の声が途切れた。
「ぁ、ぃゃ、本当に…あの日、俺が先にかなり失礼なことを君に言ってしまったし、本当ならこの婚約も受けてもらえないかもしれないと思ってた。それでも君は今日、差し出した俺の手を取ってくれただろう?それが俺は嬉しいんだ」
思わず顔を赤らめたアリアナは思った。この顔の熱はクリストファーが少し恥ずかしそうにそんなことを言うからクリストファーの照れが感染っただけなんだと…。
むしろそう思い込まないと余計に顔が赤くなりそうで、アリアナはとにかく冷静にならなければと自分がよく知らないご婦人方の顔と名前を一致させることに集中することにしてみた。
…のに、そのご婦人方の一人が上げた声にまたもや顔に熱が入る。
「まぁ!クリストファー殿下はアリアナ嬢を大切になさっているのねぇ。確か今日でお会いするのは2回目と聞いていましたけれど…ふふふっ、よっぽどアリアナ嬢にお心を奪われてしまったのね♡」
そんなはずはない!殿下の言葉はただ私に対する罪悪感と謝罪の気持ちからのもの…だからそんなはずはないとわかってる!けどそんな風に思われてると思うだけで恥ずかしい!
アリアナは周りが見ても判るくらいに顔が赤くなり強張っている。
「あぁ…確かに俺は彼女に酷いことを言ってしまった。それもただ自分の無知を恥ずかしく思ったことを隠したいという自分勝手で小さな見栄の為だけに……。こんなに、その、見た目も可愛らしくて美しい女性が政治のことまで造詣が深い事に、自分の不甲斐なさを感じてしまったんだ。本当は彼女を見た瞬間に心を奪われていたのに……」
ご婦人方が黄色い声を上げる。アリアナはさぞかし顔を赤く……は、していなかった。
残念発動中……理解が追いつかず只々真っ赤な顔を強張らせたまま思考力まで強張ってしまっていた。
少し熱が落ち着いたところで更なる残念思考発動!……今度は前世の様に首が抜けてしまわないかという不安がアリアナの頭を支配していた。
もちろん周囲にいる人達は未だ顔を赤くして動きを止めているアリアナと、その隣で同じく頬を赤く染めたままアリアナを愛おしむように見つめるクリストファーを生暖かい目で見てうんうんと頷いていた。
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