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∽Ⅰ∽
初めましての方々
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「アリアナ、よく来てくれたわね。クリスはちゃんとエスコート出来たかしら?」
王妃でありクリストファーの母であるプレシアが気さくに声をかける。
「王妃殿下、本日はお招きいただきありがとうございます。クリストファー殿下が出迎えて下さったことで本当にお城に来たんだと実感して緊張もしたのですが、こうしてお傍にいてくださることがとても心強く感じております」
アリアナがそう答えると王妃を始め、その場に居る者達が満足そうな笑みを浮かべた。そしてそれはクリストファーの赤みの差した顔を見たことで二人が悪くない関係なのだと思ったからなのだが、アリアナの残念なところはクリストファーが自分に向ける良い感情を感じ取ることができていないことだった。
*-=-*-=-*-=-*-=-*
公爵家、侯爵家のご婦人方の中には母、イルマが主催するお茶会で何度か顔を合わせ、挨拶をさせて貰った相手もいたのでその方達のフォローも有りアリアナは少しずつ、少しずつ、いつもの母のお茶会の補佐をする時程度までに緊張が解れてきた。そうして解れたはずの緊張は王弟殿下と第二王子との挨拶で一気にアリアナの元に駆け戻ってきた。
「初めまして、プライム嬢。ジェラルド・マイセン、そこで突っ立ってる君の婚約者、クリストファーの叔父にあたるんだ。甥共々よろしくね」
「ぉ、お初にお目もじ致します、マイセン公爵閣下。アリアナ・プライムでございます。若輩者ですがこれからクリストファー殿下の隣に立つに相応しくなれるよう努力させて頂きたいと思っております」
アリアナは『王太子がいるのはともかく、王妃様主催のお茶会は女性だけじゃなかったの?』『第二王子はともかく王弟殿下とも顔を合わせることになるとは…』などと頭の中でぐるぐると考え始めそうになっていた。
「初めましてアリアナ義姉上!優しそうな人でよかった~♡」
そんなアリアナの思考を戻させたのはまだ幼さの抜け切れていない明るい少年の声。第二王子のミシェルだった。
「初めまして、ミシェル殿下。そのように褒めて頂けるなんて光栄ですわ」
「ウチは母上も乳母も普段は優しいけど怒るとすっごく怖いからこういう所だときんちょうしちゃうんだよね~。何か失敗して怒られたらど~しよ~?って……」
少し口を尖らせてこっそりと話してくれる様はアリアナをほっこりさせた。弟がいたらこんな感じなのかな?それとも感覚的には妹かしら?…そんな風に想像してしまい思わず口元が緩んでしまった。
それを見たミシェルは、それでもやはり少し緊張していたのか、力が抜けたのを感じて一層の笑顔になった。
「義姉上!今日から僕が義姉上の護衛としてお側にいますね!」
そう笑顔でミシェルが言うと思わずといった感じでクリストファーが声をかける。
「お前…俺以上に剣術とか苦手じゃないか」
そんな二人をアリアナは微笑ましく感じ、クリストファーへの好感度も上がったことに気が付いた。
『こちらからも歩み寄ればきっとこれからは良い関係が築けていけるはず…。ミシェル殿下とお話されているときは本当にいいお兄ちゃんって感じだもの』
そんな考えに至ったことで、アリアナは思わずクリストファーに微笑みかけてしまった。
「!!?」
それを見たクリストファーは今までミシェルとは普通に話せていたのに急に緊張しているかのような辿々しい話し方になってしまい、ミシェルに内心笑われていたということをこの時のアリアナは知らなかった。
「さぁ!クリストファーもミシェルも、このような場に居て男同士だけで話すなんて無粋ですわよ。クリスはアリアナちゃんともっとお話ししてお互いを知るところから始めなきゃね。ミシェルは他のご婦人方ともお話をなさい。もちろんアリアナちゃんには今日、私と一緒にホストとして手伝って貰うこともあるけど、主な目的はここに居る方達への顔合わせだから、クリス!アリアナちゃんが困るようなことがあったらちゃんとフォローしてあげるのよ!」
王妃様が二人の王子とアリアナにそう言うと自然とご婦人方は会話を始め、気が付くとそれぞれが席に着き自己紹介が始まった。見事だ…。お茶会のマナーの順番は教本にあるかのように完璧なのに、それ自体は紋切り型ではなく本当に自然な会話が続いているようで、それでいてちゃんと順番通りの流れになっている。
王妃の手腕も見事なら同じように受け答えと自己紹介をしていくご婦人方も見事としか言い様がない。
今回は王妃から、この場ではアリアナを補佐として傍に置くこととクリストファーにもそのフォローを兼ねてアリアナとの交流を持たせることを明示してあるため、アリアナ自身の自己紹介は簡素なもので終わった。というか緊張も相まって簡素な挨拶しかできなかったという方が正しい。
王妃でありクリストファーの母であるプレシアが気さくに声をかける。
「王妃殿下、本日はお招きいただきありがとうございます。クリストファー殿下が出迎えて下さったことで本当にお城に来たんだと実感して緊張もしたのですが、こうしてお傍にいてくださることがとても心強く感じております」
アリアナがそう答えると王妃を始め、その場に居る者達が満足そうな笑みを浮かべた。そしてそれはクリストファーの赤みの差した顔を見たことで二人が悪くない関係なのだと思ったからなのだが、アリアナの残念なところはクリストファーが自分に向ける良い感情を感じ取ることができていないことだった。
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公爵家、侯爵家のご婦人方の中には母、イルマが主催するお茶会で何度か顔を合わせ、挨拶をさせて貰った相手もいたのでその方達のフォローも有りアリアナは少しずつ、少しずつ、いつもの母のお茶会の補佐をする時程度までに緊張が解れてきた。そうして解れたはずの緊張は王弟殿下と第二王子との挨拶で一気にアリアナの元に駆け戻ってきた。
「初めまして、プライム嬢。ジェラルド・マイセン、そこで突っ立ってる君の婚約者、クリストファーの叔父にあたるんだ。甥共々よろしくね」
「ぉ、お初にお目もじ致します、マイセン公爵閣下。アリアナ・プライムでございます。若輩者ですがこれからクリストファー殿下の隣に立つに相応しくなれるよう努力させて頂きたいと思っております」
アリアナは『王太子がいるのはともかく、王妃様主催のお茶会は女性だけじゃなかったの?』『第二王子はともかく王弟殿下とも顔を合わせることになるとは…』などと頭の中でぐるぐると考え始めそうになっていた。
「初めましてアリアナ義姉上!優しそうな人でよかった~♡」
そんなアリアナの思考を戻させたのはまだ幼さの抜け切れていない明るい少年の声。第二王子のミシェルだった。
「初めまして、ミシェル殿下。そのように褒めて頂けるなんて光栄ですわ」
「ウチは母上も乳母も普段は優しいけど怒るとすっごく怖いからこういう所だときんちょうしちゃうんだよね~。何か失敗して怒られたらど~しよ~?って……」
少し口を尖らせてこっそりと話してくれる様はアリアナをほっこりさせた。弟がいたらこんな感じなのかな?それとも感覚的には妹かしら?…そんな風に想像してしまい思わず口元が緩んでしまった。
それを見たミシェルは、それでもやはり少し緊張していたのか、力が抜けたのを感じて一層の笑顔になった。
「義姉上!今日から僕が義姉上の護衛としてお側にいますね!」
そう笑顔でミシェルが言うと思わずといった感じでクリストファーが声をかける。
「お前…俺以上に剣術とか苦手じゃないか」
そんな二人をアリアナは微笑ましく感じ、クリストファーへの好感度も上がったことに気が付いた。
『こちらからも歩み寄ればきっとこれからは良い関係が築けていけるはず…。ミシェル殿下とお話されているときは本当にいいお兄ちゃんって感じだもの』
そんな考えに至ったことで、アリアナは思わずクリストファーに微笑みかけてしまった。
「!!?」
それを見たクリストファーは今までミシェルとは普通に話せていたのに急に緊張しているかのような辿々しい話し方になってしまい、ミシェルに内心笑われていたということをこの時のアリアナは知らなかった。
「さぁ!クリストファーもミシェルも、このような場に居て男同士だけで話すなんて無粋ですわよ。クリスはアリアナちゃんともっとお話ししてお互いを知るところから始めなきゃね。ミシェルは他のご婦人方ともお話をなさい。もちろんアリアナちゃんには今日、私と一緒にホストとして手伝って貰うこともあるけど、主な目的はここに居る方達への顔合わせだから、クリス!アリアナちゃんが困るようなことがあったらちゃんとフォローしてあげるのよ!」
王妃様が二人の王子とアリアナにそう言うと自然とご婦人方は会話を始め、気が付くとそれぞれが席に着き自己紹介が始まった。見事だ…。お茶会のマナーの順番は教本にあるかのように完璧なのに、それ自体は紋切り型ではなく本当に自然な会話が続いているようで、それでいてちゃんと順番通りの流れになっている。
王妃の手腕も見事なら同じように受け答えと自己紹介をしていくご婦人方も見事としか言い様がない。
今回は王妃から、この場ではアリアナを補佐として傍に置くこととクリストファーにもそのフォローを兼ねてアリアナとの交流を持たせることを明示してあるため、アリアナ自身の自己紹介は簡素なもので終わった。というか緊張も相まって簡素な挨拶しかできなかったという方が正しい。
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