白い結婚のはずなのに、なぜ私を殺そうとしたのですか? など、恋愛小説短編集

ミィタソ

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望むなら、戦いましょう

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 競技会の剣術部門で勝利を重ねるエルザ・バートレイ。その名は平民でありながら貴族学生たちの間で急速に広まっていた。
 エルザ自身は騒ぎを避けたい気持ちでいっぱいだったが、勝利を続けるたびに注目は増し、彼女に向けられる視線には賞賛と嫉妬が入り混じっていた。

 準決勝を翌日に控えた夜、エルザは一人控室で剣の手入れをしていた。
 静寂の中で剣を見つめていると、突然ドアが開き、リカルドが現れる。

「よくここまで来たね、エルザ」

 いつもの軽薄な口調で話しかけてきたリカルドに、エルザは顔をしかめる。

「何の用? 次の試合で私を邪魔しに来たわけ?」

「まさか。邪魔なんてしないよ。むしろ応援してるさ。こんな面白い平民、そうそういないからね。お前は僕のおもちゃなんだ」

 リカルドは部屋の中に入り、彼女の前の椅子に腰掛けた。

「面白がられてるなんて光栄だわ」

 エルザは皮肉を込めて言い放ったが、その声には疲れがにじんでいた。

「疲れてるみたいだな?」

 リカルドは少し表情を変え、彼女をじっと見つめた。

「……平気よ。勝つことが平民の誇りになるのなら、それでいい」

 エルザは言いながら剣を置き、彼の視線を避けるように窓の外を見た。

リカルドは少しの間黙っていたが、やがて口を開く。

「誇りか……。でも、誇りだけで戦い続けるのはしんどいだろう?」
「……何が言いたいの?」
「俺たち貴族は、負けても何も失わない。でも、お前は違う。勝ち続けなければ、何も残らない」

リカルドはその言葉に込められた意味を考えるように話した。

「その重みを抱えたまま戦うのは、どんな気分なんだ?」

 エルザは彼の問いに答えなかった。ただ、黙って窓の外を見つめていた。

 翌日、競技会の準決勝が始まった。
 エルザの相手は、剣術の才能で知られる伯爵家の令嬢マリアベルだった。
 華麗な技と力強い攻撃で観客を魅了する彼女は、エルザにとってこれまでで最も手強い相手だった。

「ここで終わらせてあげるわ!」

 マリアベルは鋭い目つきで宣言すると、剣を構えた。
 エルザはその言葉に動じず、自分の立ち位置を確認しながら剣を握りしめる。

「私は簡単に終わらせられるほど、弱くない!」

 試合が始まると同時に、マリアベルは速攻を仕掛けてきた。
 その動きは一流の剣士そのもので、エルザは防御に回ることしかできなかった。
 観客席からはエルザに対する嘲笑が聞こえてくる。

 だが、彼女はその声を気にせず、相手の動きをじっくり観察していた。

「どうしたの? もう終わり?」

 マリアベルが挑発する。

 その瞬間、エルザはカウンターの一撃を放つ。
 観客席がどよめく中、マリアベルはギリギリで防御したものの、その動きにはわずかな乱れが生じた。

 エルザはその隙を逃さず、攻撃を畳みかける。
 観客たちは驚愕し、ファイブスターたちはその様子を興味深げに見守っていた。
 激戦の末、エルザは勝利を収めた。控室に戻り、一息つこうとしていると、アルベルトが入ってきた。

「相変わらず、見事な戦いぶりだ」
「皮肉?」

 エルザは冷たい目で彼を見た。

「いや、本気でそう思っている。だが、お前は勝つために自分を削りすぎているように見える」

 アルベルトは静かに答えた。

「そんなこと、どうでもいい。私は勝たなきゃ意味がないの」

 エルザはつっぱねた。

 アルベルトは少しの間沈黙していたが、やがて彼女に向かってこう言った。

「本当の強さは、勝利だけで測れるものじゃない。お前自身がそれを見失うな」

 エルザはその言葉に何かを感じたが、素直に受け入れる気にはなれなかった。
 ただ、彼の言葉が胸に残り続けたのは確かだった。

 その日の夜、ファイブスターの部屋ではリカルドたちが集まっていた。
 彼らはエルザについて話し合いながら、それぞれが抱く思いを口にしていた。

「エルザは強いわ。でも、それだけじゃ生き残れない」

 ミレイナがため息混じりに言う。

「だからこそ、面白いんだよ。だから遊びたいんだ」

 リカルドは楽しげに笑う。

「だが、彼女が壊れるようなことになれば、お前の責任だ。そのときは、お前であっても容赦はしない」

 アルベルトは黙って彼の言葉を聞いていたが、やがて静かに言った。

「大丈夫さ。エルザ・バートレイはそんなに簡単に折れる子じゃない」

 リカルドは軽く笑いながら答えた。
 しかし、その瞳はアルベルトの視線とぶつかり合い、火花を散らしていた。
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