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十六話 魔王様、助けちゃいます
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「うわっ、なんだか人が集まってる? どうしたんだろう? 魔王様、行ってみましょう!」
市場の賑わいの中、少し先にできた人だかりが目に入った。
私は気になって、魔王様の手を引いて近づいていく。
「このガキ、また盗みを働きやがったな!」
「違う! 盗んでない!」
見ると、店主らしき半魚人のような男性に腕を掴まれている小さなの男の子が。
額から小さな角が生えていて、肌も赤いことから鬼の子供みたい。
麻っぽい植物が編み込まれた上衣は、ところどころ穴が開いていてボロボロだ。
「昨日も同じことを言ってたじゃないか! どうせまた嘘をついてるんだろう!」
「だから違うんだってば!」
店主と子供は言い合いを続けている。
これは放っておけない。
「すみませーん!」
私はすぐに駆け寄った。
「えっと、何があったんですか?」
「このガキがまた果物を盗もうとしたんだ!」
盗もうとしたってことは、まだ盗んではないのよね?
でも、前科はある……と。
これは難しい。どうするべきかしら。
「違うってば! ただ見てただけなのに!」
男の子は必死に否定する。
「証拠はあるのか?」
突然、低い声が響いた。
――ヴァルゼス!?
彼が声を発した瞬間、周囲の空気が一気に変わった。
「ま、魔王様……!」
店主は青ざめ、周囲の人々も静まり返る。
「その子が盗んだという証拠はあるのか?」
「い、いや、それは……。でも、数が減っているのは確かなんです。これだけは信じてください!」
「ならば、疑いだけで罰するのは愚かだな」
ヴァルゼスは淡々と言い放つ。
ふむふむ、果物の数が減っているから、店主は子供を疑ったということか。
でも、ちっちゃい鬼の子はカバンも持ってないし、隠せるような場所もない。
冤罪のようにも思えるけど。
「それに……」
魔王様は一瞬視線を鋭くし、周囲を見渡す。
「そこの男、何か言いたいことがあるのではないか?」
「えっ?」
ヴァルゼスの視線の先には、明らかに動揺した青年がいた。艶のある鱗に全身が覆われたトカゲみたいな男だ。
「そ、その……」
青年はもごもごと言いながら、ポケットから果物を取り出す。
「こ、これは……! お前が犯人だったのか! 子供に罪を着せて、恥ずかしいやつめ!」
店主が怒鳴ると、青年は逃げ出そうとした。
――でも!
「逃がさないっ!」
私は素早く足を出し、青年を転ばせた。
昔から、運動神経だけはいいんだよね。
「ぐあっ!」
まぬけな悲鳴を上げて、地べたに転がるトカゲ男。
悪は成敗……ってね。
上から半魚人の店主が覆いかぶさり、一件落着かな。
「やった!」
「……ふふっ、意外とやるな」
ヴァルゼスが微かに笑う。
男の子の疑いも晴れた。
でも、魔王様はどうやって犯人を見つけたんだろう。
聞いても魔王だからとしか言ってくれなさそうで悲しい。
「助けてくれてありがとう、お姉ちゃん!」
男の子は満面の笑みを浮かべた。
「よかったね!」
私は優しく頭を撫でてやる。
ついでに興味本位で角を触ってみたら、結構硬かった。
「……ふん、余計な手間をかけさせる」
マントをひるがえし、この場を去ろうとするヴァルゼスはそう言ったけど、どこか満足げだった。
ねえ、魔王様。
私、やっぱり魔王様の“変化”を見守るのが楽しくなってきたかも!
市場の賑わいの中、少し先にできた人だかりが目に入った。
私は気になって、魔王様の手を引いて近づいていく。
「このガキ、また盗みを働きやがったな!」
「違う! 盗んでない!」
見ると、店主らしき半魚人のような男性に腕を掴まれている小さなの男の子が。
額から小さな角が生えていて、肌も赤いことから鬼の子供みたい。
麻っぽい植物が編み込まれた上衣は、ところどころ穴が開いていてボロボロだ。
「昨日も同じことを言ってたじゃないか! どうせまた嘘をついてるんだろう!」
「だから違うんだってば!」
店主と子供は言い合いを続けている。
これは放っておけない。
「すみませーん!」
私はすぐに駆け寄った。
「えっと、何があったんですか?」
「このガキがまた果物を盗もうとしたんだ!」
盗もうとしたってことは、まだ盗んではないのよね?
でも、前科はある……と。
これは難しい。どうするべきかしら。
「違うってば! ただ見てただけなのに!」
男の子は必死に否定する。
「証拠はあるのか?」
突然、低い声が響いた。
――ヴァルゼス!?
彼が声を発した瞬間、周囲の空気が一気に変わった。
「ま、魔王様……!」
店主は青ざめ、周囲の人々も静まり返る。
「その子が盗んだという証拠はあるのか?」
「い、いや、それは……。でも、数が減っているのは確かなんです。これだけは信じてください!」
「ならば、疑いだけで罰するのは愚かだな」
ヴァルゼスは淡々と言い放つ。
ふむふむ、果物の数が減っているから、店主は子供を疑ったということか。
でも、ちっちゃい鬼の子はカバンも持ってないし、隠せるような場所もない。
冤罪のようにも思えるけど。
「それに……」
魔王様は一瞬視線を鋭くし、周囲を見渡す。
「そこの男、何か言いたいことがあるのではないか?」
「えっ?」
ヴァルゼスの視線の先には、明らかに動揺した青年がいた。艶のある鱗に全身が覆われたトカゲみたいな男だ。
「そ、その……」
青年はもごもごと言いながら、ポケットから果物を取り出す。
「こ、これは……! お前が犯人だったのか! 子供に罪を着せて、恥ずかしいやつめ!」
店主が怒鳴ると、青年は逃げ出そうとした。
――でも!
「逃がさないっ!」
私は素早く足を出し、青年を転ばせた。
昔から、運動神経だけはいいんだよね。
「ぐあっ!」
まぬけな悲鳴を上げて、地べたに転がるトカゲ男。
悪は成敗……ってね。
上から半魚人の店主が覆いかぶさり、一件落着かな。
「やった!」
「……ふふっ、意外とやるな」
ヴァルゼスが微かに笑う。
男の子の疑いも晴れた。
でも、魔王様はどうやって犯人を見つけたんだろう。
聞いても魔王だからとしか言ってくれなさそうで悲しい。
「助けてくれてありがとう、お姉ちゃん!」
男の子は満面の笑みを浮かべた。
「よかったね!」
私は優しく頭を撫でてやる。
ついでに興味本位で角を触ってみたら、結構硬かった。
「……ふん、余計な手間をかけさせる」
マントをひるがえし、この場を去ろうとするヴァルゼスはそう言ったけど、どこか満足げだった。
ねえ、魔王様。
私、やっぱり魔王様の“変化”を見守るのが楽しくなってきたかも!
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