キャバ嬢、異世界へ〜死にたくないから魔王様を全力で魅了します!〜

ミィタソ

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十九話 魔王様、嫉妬してない!?

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「うわ~、今日の夕飯も豪華ですね!」

 食堂に入ると、目の前には豪勢な料理がずらりと並んでいた。
 このほとんどが、この食材にはこれを合わせるといいよ……みたいなアドバイスで、全部私がグルドに教えてあげたものなんだけどね。
 色々と自分でアレンジはしてるみたいだけど。最近は、首を傾げなくて済む味にはなっている。
 魔界の食材って、地球の物とは根本的に違うんだよね。スーパーで売ってる野菜と、無農薬でこだわり抜いた野菜をくらべたときよりもっと差がある。
 でも、ちゃんと正しく料理しないと、その良さは発揮されないみたい。

「美咲様、お気に召しましたか?」

 給仕をしていたのは、若い男性の使用人だった。
 月の光を集めたかのようなサラサラの長い金髪。魔力なんて知らないけど、ふんだんに込められててもおかしくない魔性の銀色の瞳。笑うと牙が見えるから、吸血鬼なのかもね。
 魔王様の次にイケメンかもしれない。

「はい! すっごく美味しそうです!」

「それは光栄です。お口に合うといいのですが……」

 彼は鋭い犬歯を覗かせながら、穏やかに微笑む。
 その笑顔に、なんだか少しドキッとしてしまった。

「……」

 その時、ふと横から視線を感じた。
 なんだろう、この圧?
 気配をたどると、無言でこちらを見つめるヴァルゼス。なんかムッとしているような……。

「あの、魔王様? 私の顔に何かついてます?」

「……」

 腕を組み、じっと私と給仕の青年を見ている。
 赤い眼光だけで射殺してしまいそうだ。

「おい、そこのお前」

「は、はいっ!? なんでしょうか魔王様!」

 突然、ヴァルゼスが低い声を発した。
 金髪の吸血鬼は、泣きそうな表情を浮かべ、ビシッと背筋を伸ばす。

「何をそんなににやけている? 食事を運ぶのがそんなに楽しかったか?」

「えっ? あ、あの……そういうわけでは。ただ普通に……仕事をしておりました」

 給仕の青年が戸惑う。
 もう銀色の瞳にはいまにもこぼれそうなほどに涙が溜まっている。

「余の美咲に個人的な関心でもあるのか? ……返答には気をつけろよ?」

 えっと……余のってなに?

「ち、ち、違います! 決してそのようなことは……。魔王様をお慕いしております。何卒ご容赦を……」

 青年が慌てて首を振る。
 そのまま地面に両膝をついて、頭をこれでもかと擦りつけた。

「ならば、余計な笑顔を見せるな」

「も、申し訳ありません!」

 青年はバッと頭を下げ、慌てて食堂の奥へと消えていった。

「……」

 私はヴァルゼスをまじまじと見つめる。

「……魔王様?」

「何だ?」

「もしかして……嫉妬しました?」

「……」

「魔王様ってば、私とあの人が話してるの、気にしてましたよね?」

「何を言う。ふふっ、くだらんな」

「でも、めちゃくちゃ機嫌悪そうでしたよ?」

「……気のせいだ」

 ヴァルゼスは目をそらしながら、ごまかすようにワインを一口飲んだ。
 いやいや、これは絶対嫉妬でしょ……。

「えへへ、魔王様が嫉妬してくれるなんて、なんだか嬉しいです」

「貴様、また余計なことを……」

 ヴァルゼスはムスッとした表情を浮かべる。
 でも、その耳の先がほんのり赤くなっているのを、私はしっかりと見てしまったのだった。
 もしかして私たち、結構いい感じになってません!?
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