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一章 それから充実した環境を手に入れるまで
九食目 引っ越しと新たな環境
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さて。今わたしは、馬車に乗ってルネイモンド連合王国の王都で、中央部に位置するルネイラへと向かっている。
ルネイラは、大昔に様々な種族が争っていたこの大陸を会議でまとめて争いのない平和な世界にした女性の名前らしい。ついでに、その人の子孫は今でもいて名目上の王らしい。権力は持っていないみたいだけれど。
しかし、何故今わたしは王都に向かっているのか。
それは少し前に遡る。
レシピをマッシモに売ったわたしは、まあそれはそれは莫大な量のお金を手にした。
けれど、未だにジュスタはわたしにあーだこーだと言ってくるのでもうめんどくさくなった。
街でも風当たりが強くなってきたので、わたしは引っ越すことにした。逃げるのは好きではなかったけれど。
マリネリーエからは人間領デュソールの王都のほうが近いのだけれど、追手が来たときのことも考えて逆に遠い王都ルネイラへと移ることにしたのだ。
けれど、ルネイモンドはまあ本当に広い。マリネリーエからルネイラまでは二日かかるらしい。
「ミライさん、もうすぐ着きますよ。」
「ありがとう、ヴァルデマールさん。」
馬車の人にお礼を言い、銅貨三十枚を渡す。大してわたしは荷物を持っていないので、すぐに降りる。
王都は、やはり広かった。わたしは門の前にいるが、この門でさえどれほど高い所までつながっているのか分からないくらいの高さだ。
馬車を降りると、検問があった。荷物を、、、といってもほぼ無いけれど、チェックされる。
チェックが終わると妙な木札を渡された。
「これは王都に入ることへの許可証だ。」
無愛想な兵士に渡された木札は、なにか特殊な材料でできているのだろうか。うっすら光って見えた。
王都は、南側の方から北の方まで一本の大きな道が通っていて中学校の修学旅行で行った京都に少し似ていた。
大きなこの道の脇の方にはいくつもの露店があって、何か叫んでいる。
、、、この世界って、人を呼び込むためには叫ぶのが大事ってことになってるのかな?
取り敢えず、ジアにはまず「暮らすなら市民権が必要やから、まずは貴族の街の方に近い大きな白の建物に向かうからな」と言われたのでまっすぐ歩いていくことにする。
ここでは、市民権がないと家も探せないし店も出せないそうだ。出す気はないけれど。
歩くこと三十分、わたしは貴族門の前にある白の建物についた。
ただ白いだけではない。この建物の特徴は、卵型であるというところだろう。
「おっきい卵みたい」
「せやな」
ジアは、何故かわたしの周りをずっとキョロキョロしている。ジアも、初めて来る場所だろうから気になるのだろう。自然な反応だ。
マリネリーエにいる時にジアに教えられたルネイモンド文字も、そろそろだいぶ読めるようになってきた。
三つ看板があって、それぞれ「市民権」「戸籍」「その他」となっている。
わたしは、「市民権」と書いてある看板のある方へ向かう。
「すいません、市民権がほしいのですが、申請書などはございませんか?」
「はい。銀貨三枚です。」
銀貨三枚というのは、ここではだいぶ高いのだろう。
銀貨を渡すとその男性がわたしてくれた紙の指定された場所に名前を書いた。
すると、紙はいきなり青色の炎が上がってあっという間に燃え尽きた。
、、、わお、今更だけどファンタジー!
「これで市民権登録が終わりました。貴女はルネイラの市民として認められたことになります。」
そして、街に入ってきた時にもらったあの木札を回収された。
「ありがとうございました」
それから、わたしは街の中心部にある家を買った。広場にも近いので市にも行きやすそうだ。
働かなくてもいいほどの大金×安住の地、、、これら二つが合わさったのだ。わたしはもう働かない。
ジアと一緒に暫くここにいて、ゆっくりと料理三昧ライフを送りたい。
願うなら、永遠に。
キリトリキリトリ✁ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、これで一章が完結です。
二章では、ジアの故郷や自分のルーツ(らしい)ところを訪れたりします。
新しい仲間も出てくるかも⁉
次章もよろしくです。
2022/03/24 リーゼロッタ
ルネイラは、大昔に様々な種族が争っていたこの大陸を会議でまとめて争いのない平和な世界にした女性の名前らしい。ついでに、その人の子孫は今でもいて名目上の王らしい。権力は持っていないみたいだけれど。
しかし、何故今わたしは王都に向かっているのか。
それは少し前に遡る。
レシピをマッシモに売ったわたしは、まあそれはそれは莫大な量のお金を手にした。
けれど、未だにジュスタはわたしにあーだこーだと言ってくるのでもうめんどくさくなった。
街でも風当たりが強くなってきたので、わたしは引っ越すことにした。逃げるのは好きではなかったけれど。
マリネリーエからは人間領デュソールの王都のほうが近いのだけれど、追手が来たときのことも考えて逆に遠い王都ルネイラへと移ることにしたのだ。
けれど、ルネイモンドはまあ本当に広い。マリネリーエからルネイラまでは二日かかるらしい。
「ミライさん、もうすぐ着きますよ。」
「ありがとう、ヴァルデマールさん。」
馬車の人にお礼を言い、銅貨三十枚を渡す。大してわたしは荷物を持っていないので、すぐに降りる。
王都は、やはり広かった。わたしは門の前にいるが、この門でさえどれほど高い所までつながっているのか分からないくらいの高さだ。
馬車を降りると、検問があった。荷物を、、、といってもほぼ無いけれど、チェックされる。
チェックが終わると妙な木札を渡された。
「これは王都に入ることへの許可証だ。」
無愛想な兵士に渡された木札は、なにか特殊な材料でできているのだろうか。うっすら光って見えた。
王都は、南側の方から北の方まで一本の大きな道が通っていて中学校の修学旅行で行った京都に少し似ていた。
大きなこの道の脇の方にはいくつもの露店があって、何か叫んでいる。
、、、この世界って、人を呼び込むためには叫ぶのが大事ってことになってるのかな?
取り敢えず、ジアにはまず「暮らすなら市民権が必要やから、まずは貴族の街の方に近い大きな白の建物に向かうからな」と言われたのでまっすぐ歩いていくことにする。
ここでは、市民権がないと家も探せないし店も出せないそうだ。出す気はないけれど。
歩くこと三十分、わたしは貴族門の前にある白の建物についた。
ただ白いだけではない。この建物の特徴は、卵型であるというところだろう。
「おっきい卵みたい」
「せやな」
ジアは、何故かわたしの周りをずっとキョロキョロしている。ジアも、初めて来る場所だろうから気になるのだろう。自然な反応だ。
マリネリーエにいる時にジアに教えられたルネイモンド文字も、そろそろだいぶ読めるようになってきた。
三つ看板があって、それぞれ「市民権」「戸籍」「その他」となっている。
わたしは、「市民権」と書いてある看板のある方へ向かう。
「すいません、市民権がほしいのですが、申請書などはございませんか?」
「はい。銀貨三枚です。」
銀貨三枚というのは、ここではだいぶ高いのだろう。
銀貨を渡すとその男性がわたしてくれた紙の指定された場所に名前を書いた。
すると、紙はいきなり青色の炎が上がってあっという間に燃え尽きた。
、、、わお、今更だけどファンタジー!
「これで市民権登録が終わりました。貴女はルネイラの市民として認められたことになります。」
そして、街に入ってきた時にもらったあの木札を回収された。
「ありがとうございました」
それから、わたしは街の中心部にある家を買った。広場にも近いので市にも行きやすそうだ。
働かなくてもいいほどの大金×安住の地、、、これら二つが合わさったのだ。わたしはもう働かない。
ジアと一緒に暫くここにいて、ゆっくりと料理三昧ライフを送りたい。
願うなら、永遠に。
キリトリキリトリ✁ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、これで一章が完結です。
二章では、ジアの故郷や自分のルーツ(らしい)ところを訪れたりします。
新しい仲間も出てくるかも⁉
次章もよろしくです。
2022/03/24 リーゼロッタ
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