あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!

リーゼロッタ

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20 問題は言語上ではありません。

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馬車に乗ると、青色で金色の刺繍がされたスカーフを被せられた。道行く女性も皆そうなので、女性はスカーフをかぶるという習慣でもあるのだろうか。その習慣に逆らう気もないので特にどうとは思わないけど。ついでに、スカーフはサラサラして気持ちよかった。日焼け防止にもなるし。
馬車の向こうは大きな建物が立ち並んでいて、家の殆どに馬車が何台も止まっていた。豪華な服に身を包んだ御用商人と思わしき人が自分の店であろう場所に入っていく姿も見受けられる。もしかしたら、ここはノヴォメアで言う貴族街のような場所ではないだろうか。そうであれば納得しやすいので、そういうことにしておく。

そんな貴族街を過ぎると、あるのはお城。それは、一プラス一は二になるのと同じようなほどの鉄則だ。
城の城門を過ぎて馬車を降りることになると、やはり暑さは身に応える。凍らした果物が食べたい。

城の中に入ると、馬車に一緒に乗っていた人が案内をしてくれる。何度も階段を登って降りて、何度も左に曲がって右に曲がって、としているとわたしはすぐに迷ってきてしまう。それだけ広大な城であり、ひいては国力が高いことに繋がっているのだからたしかにすごいことだ。けれど、わたしはこの案内人の人もすごいと思う。
、、、だって、地図無しで迷いなく目的地に行けるわけでしょ?わたしだったら、地図があってもこんな城に住んでいたら絶対迷うよ。秒で。

どれくらい進んだのか、案内人さんは歩みを止める。そこは、なにかの会議室ではないかと思われる部屋だった。ここまでの部屋と似たような部屋で、外から見える違いはこの部屋には衛兵が二人いることくらいで、ドアについているプレートの文字くらいだろう。と言ってもわたしにこのプレートの文字は読めないので関係ない。
案内人さんは部屋の中へ入って行こうとするので、呼び止める。
「少し待ってくださいな。案内、ありがとう存じます。おかげで迷わずここへ来れました。」
感謝の心を持つこと。これは、トゥヤルの聖典の中に出てきたアイベルク神とやらの言葉ということになっているものだ。確かにそうだ。それは国が変わっても変わらない。最も、継母や異母姉の場合感謝の心なんてかけらもないんだろうけど。あったらすごいわ。
案内人さんは目を丸くした後、優しい微笑みで返した。
「いえ、こちらこそありがとうございます。」
そして、部屋へ戻っていった。
、、、今気づいたけど、わたしって王女なんだよね。王女だったら、グラナドス公爵家を潰そうと思えば潰せる、ってことだよね。(まだ)潰さないけど。

衛兵がいる。つまりは、この部屋には身分の高い人がいる。それも、皇帝とかその家族とか。
正直な話、わたしは皇帝とか王とか王族とかに対していい感情を持っていない。まあ、ノヴォメアの王族とグランメリアの王族がクズだった、っていうだけなんだけど。ただ、『二度あることは三度ある』通り、ここの王族も全員屑だったりするかもしれない。それだけは絶対イヤなので、神に全身全霊の祈りを捧げたい。ここからで届くかはわからないけど。届かなかったらしょんぼりだ。

さて、少し立つと衛兵が話しかけてきた。
「えーと、ブリセイダ様でよろしいでしょうか?」
面倒事ですか、また。全くあの王子、面倒事しか持ってこない。
「ええ、そうですが、、」
「それは良かった。中で皇帝や皇妃様、王子殿下や王女殿下がいらっしゃいます。準備のためまだ入ることはできませんが、皆様方がとても楽しみにしておられていました。特に、皇帝妃のシーラ様は興味を持たれております。言語状問題はないのでご安心ください。」
うわっ、めんどい。こういうシナリオは必ずと行っていいほど迷惑で面倒な方向に進む。だるい。こんな部屋、入りたくなんてない。そして、問題は言語ではありませんって。その後に付いてくる面倒の方だから。
もちろんそんなことは百億枚の金貨と引き換えにでも絶対に言わないけど。その代わり、愛想笑いでこう答える。
「私も楽しみにしておりました」と。
、、、王族と対峙する時はもっと愛想笑いが増えるんだろうな。わたしの表情筋さん、頑張れ!

しばらくして中から人が出てきた。衛兵と何やら二言三言言葉を交わし、すぐに引っ込んでしまう。そして、衛兵の内の一人がわたしに言った。
「皆様の準備が整われたそうです。中へ入ってください」
仕方なく中へ入る。気分は神話の魔竜と戦う正義の女神、レイヴェコレクトの気分だ。
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