社長の奴隷

星野しずく

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社長の奴隷.31

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「う~ん、うちはまだ駆け出しの会社だからね、一人で色々こなしてくれる人物が必要なんだよ。メンズショップはこれからオープンだから、もし信楽君、どうしても無理なら、また求人をかけないといけなくなるな~」



 いきなりクビ?

 まあ、そうだよな・・・。

 バイトにしては高給なのは、そういう訳アリの仕事っていうことだ。

 正直、お金どうこうより、自分は恋をしたくて応募したのだが、自分がやらされていることが恋と結びつくとは思えなくなっているから厄介なのだ。



 ただ、さっき社長とした会話・・・、社長がダメ人間に見えるかという問いに答えるなら、やはり社長は自分よりもはるかに立派な人間に見える。

 こんな仕事をしていてもだ・・・。

 なぜなんだろう・・・。

 それは今の自分には分からない。

 だけど、この会社を離れたらその理由は永遠に分からなくなってしまうかもしれない。

 信楽は意を決して、その手をどけた。




「わあああ~」

 美緒は顔を赤らめながらも、その目はキラキラと輝いている。

 紐とわずかな布地であそこの先端だけを隠した下着は、それ以外の部分はリボンのように紐で縁取られた状態になっている。

 いやらしいことこの上ない。

 こんなグロテスクなものを写していいのだろうか。



「いいねえ、めちゃくちゃセクシーだ。ねえ、藤巻君」

「はい!すごくそそります。特に、袋が紐でキュッてなってるところなんて、たまりませんね」

「それはダジャレなのか」



 社長のツッコミが美緒には分からなったようだが、二人の反応は信楽の想像とは裏腹に、上々だった。

 一枚クリアしてしまえば、信楽もだんだん開き直って二枚目にチャレンジできた。

 そして二枚目をクリアすると、三枚目はより楽にこなすことができた。

 そうこうするうちに、五枚の下着の撮影が終了した。



 自分ではとても見たくない様なポーズを取らされた。

 しかも、そのすべてを美緒はウットリとした表情で眺めていた。

 当然恥ずかしいのに変わりはなかったし、社長に「いいねえ」と言われても、いったい何がいいのかは最後までまったく分からなかった。



「よし、じゃあ、今の全部パソコンに取り込んで、ホームページにアップしてみて」

「分かりました」



 ホームページはもちろんまだ公開してないから、自分たちだけが見ることが出来る。

 商品ページのサイズに合わせて画像を加工しなければならない。

 それも自分の写真を自分で加工するのだ。

 気が重い・・・。



 元画像が画面いっぱいに映し出される。

「ひいっ!」

 信楽は思わず声をあげてしまった。

 あまりに卑猥だ・・・。

 こんなもの本当にホームページに載せていいのだろうか。



「おお、やっぱり大画面で見るとすごい迫力だね」

「ほんとですね社長。たまりませんね。高画質って最高!」

 社長も藤巻さんもとても嘘を言っているようには見えない。
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