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旦那様、私をそんな目で見ないでください!13
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「また、迷惑をかけちゃいましたね」
「だから、もう忘れたの?君がいてくれないと、困るんだから、迷惑なんて一切ないから。分かった?分かったら返事は?」
響介は、凛太朗と話したせいで、おかしくなったテンションのまま静音に話しかけていた。
「はい、分かりました」
「分かればよろしい」
すると、そんなふうに少し壊れた響介のことを見て静音はクスッと笑った。
「私、買い物に行ってきますね」
「あ、ああ、行ってらっしゃい」
その華奢な後姿を眺めながら、あの体がさっきまで自分の腕の中にあったんだと響介は改めて思う。彼女の柔らかい唇の感触がまだ鮮明に残っている。
静音を見送った響介の頭の中は依然混乱したままだった。あれこれと理由をつけてくるが、彼女の行動はやはり理解不能だ。しかも、今日にいたっては凛太朗に目撃されるという最悪の事態になってしまった。
ただでさえ混乱しているというのに、そこに凛太朗が絡んだ日には、とても平穏な日々が送れるとは思えない。今日ほど凛太朗のことを疎ましく思ったことはなかった。
凛太朗はうちで昼食をとったあと、大人しく帰っていった。それが逆に不自然で、響介は気が気ではない。 雛は昼から近所のピアノ教室に出かけて行った。うちには静音と自分の二人だけだ。考えてはいけないと思っても、響介は彼女のことを考えないではいられなかった。書斎にこもって本を読もうとしても、一向にページが進まない。
コンコン。書斎のドアがノックされた。
「お茶入れましょうか」
何となく二人きりの時には顔を合わせない方がいいような気がするのだが、変に断るのも不自然だ。
「あ、ああ、お願いします」
思わずそう答えてしまった。
しばらくして、静音がお茶を持って書斎に入って来た。
「こちらに置きますね」
静音はお茶と和菓子をサイドテーブルに置いた。しかし、なぜか一向に部屋から出ていこうとしない。不思議に思った響介は、本から顔を上げて彼女の方を振り向いた。
「あの、なにか?」
響介の質問に、静音は答えない。そのかわりに、一歩ずつ響介の方に歩み寄ってくる。そして、静音はそのまま響介の膝の上にふわりと腰をおろし、その腕を首に回した。
え、え、えっと、これは?響介はまたしても固まったまま動けない。
「旦那様は、私のことが嫌いですか?」
「い、いや、き、嫌いじゃないけど、こ、こういうことは、その、困るというか…」
「どうして?嫌いじゃなかったら、困らないでしょ?」
静音は再び響介に口づける。
「ん、ん…」
響介はさっきよりも濃厚なキスの応じないよう、必死で抵抗した。しかし、その見かけからは想像できないが、静音のキスはかなり上手い、というかエロチックなものだった。
もともと女性経験は妻とだけしかなかった響介は、そんなキスはしたことがなかった。しかも、妻が亡くなっていらいご無沙汰だったことも手伝って、すでに男性の部分が反応し始めている。
こういうのをギャップ萌えというのだろうか?キスだけでこんなに気分が高まるという経験は響介にとって初めてのことだった。
響介の中で理性と欲望が葛藤しはじめる。頭では駄目に決まっていると分かっている。しかし、身体の中にはすでに小さな火種があることに気付いてしまった。
静音はキスをしながら、そのしなやかな手を響介のからだ中に這わせた。そして、もう形を持って立ち上がっているそれをそっと撫で上げた。
「ん、んんっ!!」
これ以上は絶対マズイ。取り返しがつかないことになってしまう。響介は必死で抵抗しようとした。しかし、いくら頭でダメだと思っても、静音から与えられるであろう快感に対する欲望に逆らうことができない。
静音はジッパーを下ろすと下着からすでにしっかりと硬度を増したそれを取り出すと、巧みにしごきはじめた。
「うっ、あぁっ!」
響介は、流されるまま静音の愛撫を受けつづけた。静音は、抵抗しながらも決して拒まない響介の気持ちを知っているかのように、丁寧に行為を繰り返した。
静音の唇が響介の唇からはなれ、下半身に移動していった。そして、柔らかな指で可愛がられていたそれを、今度はその唇で含んだのだった。
「あ、あっ、ダメだ!」
逃げようと思えば逃げられる。しかし、その先にあるであろう快楽を手放すことがどうしてもできない。
静音の口からはいやらしい水音が聞こえてくる。清楚なその容姿で自身のそれを口に含む姿は、あまりに卑猥で響介の欲情をいやでも煽る。静音は愛撫を続けながら、自身のふくのボタンを外し始めた。
ギョッとする響介のことなどお構いなく、スルリと身につけていた服と下着を取った。そして、細い体のわりに豊かなその胸をギュッともみあげ、先端をいじる。その間も、響介のそれは口に含まれ、舌で舐め回され、吸い上げられる。明るい書斎ではそのすべてがハッキリと目に飛び込んでくる。
も、もうダメ、い、イキそう。しかし、今イッたら口の中に出してしまう。響介は血管が切れそうになりながらも、必死でこらえた。
しかし静音の行為はさらにエスカレートした。ついにスカートと、ショーツも脱ぐと、今度は秘部に指を這わせはじめたのだ。そこはすでにしとどに濡れている。静音は愛撫を続けながら、艶めかしく腰をくねらせている。
ああ、もう、ダメ。響介は静音の口から自身を引き抜くと自分の手の中にすべてを放った。
ハアハアという響介の荒い息使いだけが部屋に響いている。
響介は呆然としながらも、なんとかティッシュで濡れた手をぬぐい、乱れた衣類を整えた。
静音は何も身につけていない状態で、響介の足元に座ったままだ。その瞳は潤み、髪は乱れ、唇は唾液と体液で濡れていた。その姿はひどく妖艶で普段の静音からはまったく想像できないものだった。
「静音さん、ど、どうしてこんな…」
響介は二の句が継げなかった。
「こういうのダメですか?」
ダメですかって?静音は実はとんでもない人物なのだろうか。響介は答えに窮する。
「だ、だめに決まってるじゃないか。若いお嬢さんがこんなこと…」
そういう響介は完全に彼女のペースに流されて、果ててしまったのだが。
「さあ、これで綺麗に拭いて、服を着ましょう」
響介は静音の顔の汚れをタオルで拭った。しかし、服を着せるわけにもいかず、戸惑う。
「お願いです。服を着てください」
「好きなんです」
「えっ?」
「旦那様のことが好きなんです」
突然の告白に、響介は耳を疑った。
「だ、だって、君が家に来てまだ一週間も経ってないんだよ、それなのに僕のことが好きっていったいどういうこと?」
「でも、本当に好きなんです。やっと、やっとこうして触れることができたんです」
そう言って静音はぽろぽろと涙をこぼした。
響介は静音の言葉の意味が全く理解できない。やっと?やっとってどういうことだ?僕と彼女はつい先日会ったばかりのはずだ。
「の、飲み物をもってくるから、とにかく服を着てくれないか。話を聞くよ」
響介は書斎を飛び出すと、キッチンへと下りて行った。
「だから、もう忘れたの?君がいてくれないと、困るんだから、迷惑なんて一切ないから。分かった?分かったら返事は?」
響介は、凛太朗と話したせいで、おかしくなったテンションのまま静音に話しかけていた。
「はい、分かりました」
「分かればよろしい」
すると、そんなふうに少し壊れた響介のことを見て静音はクスッと笑った。
「私、買い物に行ってきますね」
「あ、ああ、行ってらっしゃい」
その華奢な後姿を眺めながら、あの体がさっきまで自分の腕の中にあったんだと響介は改めて思う。彼女の柔らかい唇の感触がまだ鮮明に残っている。
静音を見送った響介の頭の中は依然混乱したままだった。あれこれと理由をつけてくるが、彼女の行動はやはり理解不能だ。しかも、今日にいたっては凛太朗に目撃されるという最悪の事態になってしまった。
ただでさえ混乱しているというのに、そこに凛太朗が絡んだ日には、とても平穏な日々が送れるとは思えない。今日ほど凛太朗のことを疎ましく思ったことはなかった。
凛太朗はうちで昼食をとったあと、大人しく帰っていった。それが逆に不自然で、響介は気が気ではない。 雛は昼から近所のピアノ教室に出かけて行った。うちには静音と自分の二人だけだ。考えてはいけないと思っても、響介は彼女のことを考えないではいられなかった。書斎にこもって本を読もうとしても、一向にページが進まない。
コンコン。書斎のドアがノックされた。
「お茶入れましょうか」
何となく二人きりの時には顔を合わせない方がいいような気がするのだが、変に断るのも不自然だ。
「あ、ああ、お願いします」
思わずそう答えてしまった。
しばらくして、静音がお茶を持って書斎に入って来た。
「こちらに置きますね」
静音はお茶と和菓子をサイドテーブルに置いた。しかし、なぜか一向に部屋から出ていこうとしない。不思議に思った響介は、本から顔を上げて彼女の方を振り向いた。
「あの、なにか?」
響介の質問に、静音は答えない。そのかわりに、一歩ずつ響介の方に歩み寄ってくる。そして、静音はそのまま響介の膝の上にふわりと腰をおろし、その腕を首に回した。
え、え、えっと、これは?響介はまたしても固まったまま動けない。
「旦那様は、私のことが嫌いですか?」
「い、いや、き、嫌いじゃないけど、こ、こういうことは、その、困るというか…」
「どうして?嫌いじゃなかったら、困らないでしょ?」
静音は再び響介に口づける。
「ん、ん…」
響介はさっきよりも濃厚なキスの応じないよう、必死で抵抗した。しかし、その見かけからは想像できないが、静音のキスはかなり上手い、というかエロチックなものだった。
もともと女性経験は妻とだけしかなかった響介は、そんなキスはしたことがなかった。しかも、妻が亡くなっていらいご無沙汰だったことも手伝って、すでに男性の部分が反応し始めている。
こういうのをギャップ萌えというのだろうか?キスだけでこんなに気分が高まるという経験は響介にとって初めてのことだった。
響介の中で理性と欲望が葛藤しはじめる。頭では駄目に決まっていると分かっている。しかし、身体の中にはすでに小さな火種があることに気付いてしまった。
静音はキスをしながら、そのしなやかな手を響介のからだ中に這わせた。そして、もう形を持って立ち上がっているそれをそっと撫で上げた。
「ん、んんっ!!」
これ以上は絶対マズイ。取り返しがつかないことになってしまう。響介は必死で抵抗しようとした。しかし、いくら頭でダメだと思っても、静音から与えられるであろう快感に対する欲望に逆らうことができない。
静音はジッパーを下ろすと下着からすでにしっかりと硬度を増したそれを取り出すと、巧みにしごきはじめた。
「うっ、あぁっ!」
響介は、流されるまま静音の愛撫を受けつづけた。静音は、抵抗しながらも決して拒まない響介の気持ちを知っているかのように、丁寧に行為を繰り返した。
静音の唇が響介の唇からはなれ、下半身に移動していった。そして、柔らかな指で可愛がられていたそれを、今度はその唇で含んだのだった。
「あ、あっ、ダメだ!」
逃げようと思えば逃げられる。しかし、その先にあるであろう快楽を手放すことがどうしてもできない。
静音の口からはいやらしい水音が聞こえてくる。清楚なその容姿で自身のそれを口に含む姿は、あまりに卑猥で響介の欲情をいやでも煽る。静音は愛撫を続けながら、自身のふくのボタンを外し始めた。
ギョッとする響介のことなどお構いなく、スルリと身につけていた服と下着を取った。そして、細い体のわりに豊かなその胸をギュッともみあげ、先端をいじる。その間も、響介のそれは口に含まれ、舌で舐め回され、吸い上げられる。明るい書斎ではそのすべてがハッキリと目に飛び込んでくる。
も、もうダメ、い、イキそう。しかし、今イッたら口の中に出してしまう。響介は血管が切れそうになりながらも、必死でこらえた。
しかし静音の行為はさらにエスカレートした。ついにスカートと、ショーツも脱ぐと、今度は秘部に指を這わせはじめたのだ。そこはすでにしとどに濡れている。静音は愛撫を続けながら、艶めかしく腰をくねらせている。
ああ、もう、ダメ。響介は静音の口から自身を引き抜くと自分の手の中にすべてを放った。
ハアハアという響介の荒い息使いだけが部屋に響いている。
響介は呆然としながらも、なんとかティッシュで濡れた手をぬぐい、乱れた衣類を整えた。
静音は何も身につけていない状態で、響介の足元に座ったままだ。その瞳は潤み、髪は乱れ、唇は唾液と体液で濡れていた。その姿はひどく妖艶で普段の静音からはまったく想像できないものだった。
「静音さん、ど、どうしてこんな…」
響介は二の句が継げなかった。
「こういうのダメですか?」
ダメですかって?静音は実はとんでもない人物なのだろうか。響介は答えに窮する。
「だ、だめに決まってるじゃないか。若いお嬢さんがこんなこと…」
そういう響介は完全に彼女のペースに流されて、果ててしまったのだが。
「さあ、これで綺麗に拭いて、服を着ましょう」
響介は静音の顔の汚れをタオルで拭った。しかし、服を着せるわけにもいかず、戸惑う。
「お願いです。服を着てください」
「好きなんです」
「えっ?」
「旦那様のことが好きなんです」
突然の告白に、響介は耳を疑った。
「だ、だって、君が家に来てまだ一週間も経ってないんだよ、それなのに僕のことが好きっていったいどういうこと?」
「でも、本当に好きなんです。やっと、やっとこうして触れることができたんです」
そう言って静音はぽろぽろと涙をこぼした。
響介は静音の言葉の意味が全く理解できない。やっと?やっとってどういうことだ?僕と彼女はつい先日会ったばかりのはずだ。
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