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君に溺れてしまうのは僕だから.15
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おじさまは終始穏やかな表情をしていらっしゃったが、その瞳の奥は決して笑っていなかった。
日曜日は絶対うまくやらないと。
伊織は坂口を選んでしまったことが正解だっただろうかと今更だけど考えてしまう。
だが、他に適当な人物はいなかったのだ。
もう今はそんなことを考えている場合ではない。
坂口君に口裏をあわせてもらうよう、台本でも作ったらうまくいくだろうか。
伊織はまさか一つの嘘がこんな大事になってしまうとは思いもしなかった。
その日の夜も、武彦は伊織のことを抱いた。
武彦はいつもより激しく伊織の体を求めた。
武彦に激しく求められるのは嬉しいことのはずなのに、なぜか伊織の心は切なさで押しつぶされそうになった。
あの日から二人の間にあった均衡がくずれてしまったことは確かだ。
崩したのは自分だ。
前みたいにキスマークをつけて、体中をおじさまでいっぱいにして欲しい。
おじさま…、大好き。
伊織は愛されているのに、満たされない自分が忌まわしかった。
自分は狂っているのかもしれない。
でも、もうこの気持ちは止まらない。
こんな自分の想いはどこへ行きつくのかは分からない。
だけどこの強い想いはもう消すことなどできないのだ。
行くところまで行くしかない。
たとえそれが地獄の様な場所であっても。
おじさまがいる場所ならどこへでもついて行く。
伊織は狂おしい程の気持ちを内に秘めたまま、それを武彦に伝えることは一生ないのかもしれない。
ただ、武彦のそばにいて、今までどおり愛してもらえればそれで十分だった。
次の日は部活は休みだった。
休みの日にわざわざ坂口に連絡を取り、会う約束を取り付けるのは何となくあいつを思い上がらせる気がして止めた。
だが、やはり考えるのは日曜のことばかりだ。
家にいても特に趣味のない伊織は、やることがなくて落ち着かない。
小さい頃からたしなみとして、お茶とお花を習ってはいたが、それは趣味とは呼べない。
おじさまとの関係がおかしくなる前なら、家のリビングでくつろぐことも出来たけれど、今はそんな雰囲気じゃない。
伊織は仕方なく一人で映画を見に行くことにした。
帰りにショッピングモールで時間を潰せば、一日は終わるだろう。
映画を観終えた伊織は一人ショッピングモールをぶらぶらしていた。
お腹すいたな。
伊織はちょうど通りかかったファーストフード店に入った。
レジで精算をすませ、空いているテーブルを探していると、突然聞き覚えのある声が伊織の名前を呼んだ。
振り返った伊織は、またしても運命のいたずらを感じずにはいられなかった。
そこにいたのは、渦中の人物坂口だったのだから。
日曜日は絶対うまくやらないと。
伊織は坂口を選んでしまったことが正解だっただろうかと今更だけど考えてしまう。
だが、他に適当な人物はいなかったのだ。
もう今はそんなことを考えている場合ではない。
坂口君に口裏をあわせてもらうよう、台本でも作ったらうまくいくだろうか。
伊織はまさか一つの嘘がこんな大事になってしまうとは思いもしなかった。
その日の夜も、武彦は伊織のことを抱いた。
武彦はいつもより激しく伊織の体を求めた。
武彦に激しく求められるのは嬉しいことのはずなのに、なぜか伊織の心は切なさで押しつぶされそうになった。
あの日から二人の間にあった均衡がくずれてしまったことは確かだ。
崩したのは自分だ。
前みたいにキスマークをつけて、体中をおじさまでいっぱいにして欲しい。
おじさま…、大好き。
伊織は愛されているのに、満たされない自分が忌まわしかった。
自分は狂っているのかもしれない。
でも、もうこの気持ちは止まらない。
こんな自分の想いはどこへ行きつくのかは分からない。
だけどこの強い想いはもう消すことなどできないのだ。
行くところまで行くしかない。
たとえそれが地獄の様な場所であっても。
おじさまがいる場所ならどこへでもついて行く。
伊織は狂おしい程の気持ちを内に秘めたまま、それを武彦に伝えることは一生ないのかもしれない。
ただ、武彦のそばにいて、今までどおり愛してもらえればそれで十分だった。
次の日は部活は休みだった。
休みの日にわざわざ坂口に連絡を取り、会う約束を取り付けるのは何となくあいつを思い上がらせる気がして止めた。
だが、やはり考えるのは日曜のことばかりだ。
家にいても特に趣味のない伊織は、やることがなくて落ち着かない。
小さい頃からたしなみとして、お茶とお花を習ってはいたが、それは趣味とは呼べない。
おじさまとの関係がおかしくなる前なら、家のリビングでくつろぐことも出来たけれど、今はそんな雰囲気じゃない。
伊織は仕方なく一人で映画を見に行くことにした。
帰りにショッピングモールで時間を潰せば、一日は終わるだろう。
映画を観終えた伊織は一人ショッピングモールをぶらぶらしていた。
お腹すいたな。
伊織はちょうど通りかかったファーストフード店に入った。
レジで精算をすませ、空いているテーブルを探していると、突然聞き覚えのある声が伊織の名前を呼んだ。
振り返った伊織は、またしても運命のいたずらを感じずにはいられなかった。
そこにいたのは、渦中の人物坂口だったのだから。
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