ケダモノのように愛して

星野しずく

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ケダモノのように愛して.28

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 桔平の生活態度がいくらだらしなかろうが、小さい頃から咲那の相手をしてくれている桔平にまりあは頭が上がらないと感じているのだ。

 しかし、そんな桔平と咲那が身体の関係を持っていると知ったらどうなるだろう。



 考えるだけでも恐ろしい…。

 だけどもう一線は越えてしまったのだ。

 その事実を消し去ることはできない。

 そしてその味を知ってしまった咲那の欲望を止めることなど不可能だった。



 先のことなど分からない…。

 ただ一度でも多く桔平と体を重ねたい。

 咲那の頭の中はそんな淫らな欲望でいっぱいだった。



「そうそう、お父さんね、来週の月曜日に帰ってくるって。もう、忙しくて頭がパンクしそうだわ」

 まりあはまるで台風の様にやって来ては去っていく洋平を受け入れる準備に大わらわだ。

 今日は火曜日だから、約一週間でまりあは仕事の調整をしなくてはならない。

 今まで以上に家にいなくなることが多くなる。



「はぁ~」

 咲那は無意識に深いため息をついていた。

「なんで咲那がため息ついてるの?お父さんが帰ってくるの嫌?」

「ううん…、そんなんじゃないけど」

 咲那はあわててかぶりを振った。



 桔平には会えないし、まりあは仕事で忙しい…。

 高校生にもなって寂しいなんて、自分は甘えん坊なのだろうかと少し落ち込む。



「お母さん、今週仕事忙しくなるでしょ?私、なるべく家事手伝うから言ってね」

「ありがとう。助かる」



 本当は寂しくて、それを紛らわしたくて言っただけなのに…。

 お母さんごめんね。



 咲那は部屋に戻ると自分にもやることがあるのを思い出した。

 写真を選んでプレゼンテーションの準備をしなければいけないのだ。

 しかし、桔平のことと写真を天秤にかければ圧倒的に桔平に軍配が上がってしまう。



 ただ幸いなことに写真には期限がある。

 確か今週中って菊池先生は言ってたような。

 咲那はさっきダイニングテーブルで選んだ二枚を取り出した。



「制作意図とねらいか~。何も考えないで撮っちゃったな。みんな一々そんなこと考えるのかな~」

 咲那は頭を抱えた。

 やり始めると結構な難題であることに気付かされ、咲那は夜遅くまで写真と奮闘することになった。
 


「咲那~、写真決まった?」

 放課後部室に行くと、ひなたが真っ先に話しかけてきた。

「まあ、一応…」

「え~っ、よくそんなに早く決められるね。私なんて迷いまくりで、暗中模索だよ」

「そ、そうなんだ…、大変だね」



 ひなたは咲那と違って今回の大会に望む気持ちは真剣そのものだ。

 そんなひなたと桔平のことで頭がいっぱいの咲那を比べるのがそもそも間違っているのだけど。



「猪俣、聞いたぞ!親父さん来週の月曜には帰ってくるらしいじゃないか」

 今度は滝口が鼻息荒く咲那に話しかけてきた。



「えっ、何で知ってるの!」

「さっき菊池先生から聞いちゃった。他の皆には内緒でって言われたけど」

「もお~、菊池先生ってば口が軽いんだから」
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