ケダモノのように愛して

星野しずく

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ケダモノのように愛して.35

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「桔平、変だよ。スーパーに行くだけだよ。仕事の邪魔になるなら私何しにきてるか分かんないじゃん。そんなのやだよ」

「いや、まあそうなんだけど…」

「スーパーなんて自転車でニ、三分だよ。それに今までそんなこと言った事ないのに。何か今日の桔平おかしいよ」

「い、いや、でも…」

 明らかにおかしい態度をとりながらも、桔平はその理由を言おうとはしない。



「もう、ほっといて」

 咲那はスーパーに向かって全速力で自転車を漕いだ。



「クソッ、あんのバカ娘!」

 桔平はモデルの女性に断りを入れるとバイクにまたがった。



 なんなのよ、桔平、頭おかしくなったんじゃない?
 
 なんでスーパーになんてついてくるのよ。

 咲那はブツブツ言いながらスーパーの駐輪場に自転車を停めた。

 次の瞬間、咲那の目の前に軽自動車が突っ込んできた。



 危なっ!!

 咲那は寸でのところで接触を免れた。

 一言文句を言おうとその車に近づこうとした瞬間、ドアが開き中から男の人が出てきた。



「あ、危ないじゃないですか」

 咲那は相手がどんな人か分からないため、様子を伺いながら最低限の文句をぶつけた。



「来るんだ」

 男は手首をつかみ、咲那を車の後部座席へ連れ込もうと力いっぱい引っ張った。



「い、嫌だ!やめて、誰か助けて~!!」

「うるさい、騒ぐな!」

 その手にはスタンガンの様なものが握られている。



 これは本格的にヤバいやつだ…。

 どうしよう…。



 その男は帽子を目深にかぶっていて、その顔を伺い知ることは出来ない。

 しかし、何となくどこかで会ったことがあるような気がする。

 咲那の体が後部座席に全て入ってしまいそうになった瞬間、バイクの爆音とともに桔平が目の前に現れた。



「おい、水谷!やめるんだ」

「え、水谷って…?」

「くそっ、邪魔しやがって」



 その男は咲那を車から放り出すと車を急発進させた。

 咲那は尻もちをついたまま呆然とその光景を見つめていた。



「咲那、大丈夫か?ケガはないか」

 桔平の表情は真剣そのものだった。

 確かに、スタンガンみたいなの持ってて危なかったけど。

 桔平が助けてくれたのが、何だかドラマみたいでかっこよくて…。



「う、うん…。でも何で…水谷さんが…?それより、桔平何で水谷さんだって分かったの?」

 咲那は次から次へと疑問が浮かんできて、桔平を質問攻めにする。



「わかったから、とりあえず家に帰ろう」

「え~、でもまだ買い物してない」

「今日はいいから。飯は定食屋にでも行けばいい」

「う、うん…」

「まったく、あんな目に遭っておきながらまだ買い物しようと思うかね普通」

 桔平はホッとしたのか笑顔が戻っている。
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