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ケダモノのように愛して.69
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「ちょっと、見せなさいよ~」
ひなたが滝口の後ろに回ると、滝口はその手から逃れようと必死でもがいた。
次の瞬間、滝口が手にしていた本が床に落ちた。
「あっ!」
咲那は叫んだ。
「えっ?」
ひなたは咲那の方を見た。
「なんでもない」
咲那はその本を拾い上げると、部屋を飛び出した。
「えっ?滝口君、あの本何だったの」
「・・・・・・」
滝口は顔を真っ赤にしたまま、何も答えない。
「え~、なになに~?どうして私には教えてくれないの~」
「どうしたんだ」
咲那が慌てて部屋を飛び出していったのを見ていた洋平が、滝口のところへやってきた。
「いえ…、なんでもないです」
滝口はそう答えたが、ひなたは黙っていなかった。
「滝口君が本を見ていて叫んだので、咲那と二人で診に来たら、急に隠して見せてくれなくて。私がその本を取ろうとしたら、坂口君が落としたんです。そしたら、今度は咲那が叫んで、それを拾うと部屋を飛び出して行っちゃったんです」
「ははぁ~」
洋平は顎をさすりながらニコニコと笑っている。
「滝口君、それは僕の写真集じゃなかったよね」
「え、えっと…」
滝口はなぜかまだモジモジとハッキリしない。
「何なんですか、一体。さっきから、何を隠してるんですか」
ひなたはもう我慢できないといった様子で、洋平にせっついた。
「俺の弟は画家をしてるんだが、さっきの本はね、弟が描いた裸婦の画集なんだ」
「やだぁ、滝口君、こっそりそんなエッチなの見てたの~」
ひなたは普段はクソ真面目な滝口も普通の男だったかと、冷ややかな視線を向ける。
滝口は変な汗をダラダラとかいていた。
「ただ、それだけじゃないんだな。あの中に咲那の絵があったからびっくりしたんだよな」
「ええーっ!!」
ひなたが大声で叫んだところに、咲那が凄い勢いで舞い戻ってきた。
「お、お父さん、どうして言っちゃうのよ!ひなたは見てないのに。お父さんのバカ!!」
「なんだ、お前は。そんなに大騒ぎして。桔平の画は芸術じゃないと思ってるのか」
「そ、そういう訳じゃないけど…」
「じゃあ、別にいいじゃないか。お前がそんな態度したら、あいつが悲しむぞ」
そんな風に言われたら、何にも言えないじゃん。
「うちの家族はね、何だか知らないけど、普通のサラリーマンみたいな仕事が出来ない変わり者ばかりでね。咲那は、その中ではまあ普通だからな。色々苦労してると思う」
珍しく洋平はそんなことを言った。
「何か…すみません。僕…恥ずかしいです」
「いや、そんなこと全然構わないよ。どんなきっかけでも見てもらうことが大事だからね。そうじゃなきゃ、あいつがせっかく描いた作品もこの世に存在しないのと同じだから」
ひなたも滝口も、そして咲那も、洋平の言葉をただただポカンと口を開けて聞いているしかなかった。
だけど、それは自分たちの写真にも言えることだということだけは理解できた。
ひなたが滝口の後ろに回ると、滝口はその手から逃れようと必死でもがいた。
次の瞬間、滝口が手にしていた本が床に落ちた。
「あっ!」
咲那は叫んだ。
「えっ?」
ひなたは咲那の方を見た。
「なんでもない」
咲那はその本を拾い上げると、部屋を飛び出した。
「えっ?滝口君、あの本何だったの」
「・・・・・・」
滝口は顔を真っ赤にしたまま、何も答えない。
「え~、なになに~?どうして私には教えてくれないの~」
「どうしたんだ」
咲那が慌てて部屋を飛び出していったのを見ていた洋平が、滝口のところへやってきた。
「いえ…、なんでもないです」
滝口はそう答えたが、ひなたは黙っていなかった。
「滝口君が本を見ていて叫んだので、咲那と二人で診に来たら、急に隠して見せてくれなくて。私がその本を取ろうとしたら、坂口君が落としたんです。そしたら、今度は咲那が叫んで、それを拾うと部屋を飛び出して行っちゃったんです」
「ははぁ~」
洋平は顎をさすりながらニコニコと笑っている。
「滝口君、それは僕の写真集じゃなかったよね」
「え、えっと…」
滝口はなぜかまだモジモジとハッキリしない。
「何なんですか、一体。さっきから、何を隠してるんですか」
ひなたはもう我慢できないといった様子で、洋平にせっついた。
「俺の弟は画家をしてるんだが、さっきの本はね、弟が描いた裸婦の画集なんだ」
「やだぁ、滝口君、こっそりそんなエッチなの見てたの~」
ひなたは普段はクソ真面目な滝口も普通の男だったかと、冷ややかな視線を向ける。
滝口は変な汗をダラダラとかいていた。
「ただ、それだけじゃないんだな。あの中に咲那の絵があったからびっくりしたんだよな」
「ええーっ!!」
ひなたが大声で叫んだところに、咲那が凄い勢いで舞い戻ってきた。
「お、お父さん、どうして言っちゃうのよ!ひなたは見てないのに。お父さんのバカ!!」
「なんだ、お前は。そんなに大騒ぎして。桔平の画は芸術じゃないと思ってるのか」
「そ、そういう訳じゃないけど…」
「じゃあ、別にいいじゃないか。お前がそんな態度したら、あいつが悲しむぞ」
そんな風に言われたら、何にも言えないじゃん。
「うちの家族はね、何だか知らないけど、普通のサラリーマンみたいな仕事が出来ない変わり者ばかりでね。咲那は、その中ではまあ普通だからな。色々苦労してると思う」
珍しく洋平はそんなことを言った。
「何か…すみません。僕…恥ずかしいです」
「いや、そんなこと全然構わないよ。どんなきっかけでも見てもらうことが大事だからね。そうじゃなきゃ、あいつがせっかく描いた作品もこの世に存在しないのと同じだから」
ひなたも滝口も、そして咲那も、洋平の言葉をただただポカンと口を開けて聞いているしかなかった。
だけど、それは自分たちの写真にも言えることだということだけは理解できた。
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