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ケダモノのように愛して.76
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桔平と咲那はシンと静まり返った部屋に取り残されるた。
「お前…何で」
何で、自分の父親に叔父である俺とセックスした何て言うんだよ…そう言いたいのはやまやまだったが、お互い合意の上のセックスを咲那のせいだけにすることなどできるはずがない。
「だって…、桔平、私とちゃんと話してくれないんだもん」
「だからって、先のことも少しは考えろよ…」
「先の事?そんなの考えたってしょうがないじゃん。どうせ桔平は全部自分で決めて勝手にどっかへ行っちゃうんでしょ」
「そ、それは…」
お前のためだ…と言ったところで咲那が素直に納得するとは思えない。
「どうせ私の片思いなんだから仕方ないって思ってたけど、やっぱりこんなのひどいよ。私のこと、他の人と同じで遊びで抱いたの?」
「遊びって…、お前…そんな言い方…」
「だってそうでしょ?桔平は決まった人を作らないのが自慢なんでしょ。私もそのうちの一人なんでしょ」
「それは…」
「だって、桔平一度も私のこと好きだって言ってくれないじゃん」
「…」
「ねえ、ハッキリ言ってよ、遊びで抱いたんだって。そうじゃないと、いつまでも期待しちゃうんだよ。いつも桔平のことで頭がいっぱいで、他のこと何も考えられないんだよ。苦しいんだよ…」
咲那はまた泣いてしまいそうになる。
「そうだな…、俺みたいな奴のこと考えて人生無駄にする必要はないよ。咲那のことは遊びだった。俺が全部悪い。すまなかった、もう俺のことは忘れてくれ」
桔平は立ち上がると、奥の部屋へ行ってしまった。
しばらくの間咲那は、そこに呆然と立ち尽くしていた。
終わったんだ…。
もう悩まなくても済むんだ…。
ハハッ…。
これで、全部終わりだ…。
咲那はあふれる涙を拭うこともせず、そのまま歩いて家に帰った。
「ただいま…」
「おかえり」
泣きはらした目を見て、洋平は何も言わずに咲那のことを抱きしめた。
洋平の優しい声に、咲那は再び涙が溢れだした。
「気のすむまで泣きなさい」
洋平にそう言われ、咲那は胸にすがりついて大声をあげて泣いた。
洋平はそのあとも二人の間でどんな会話がなされたのか、何も聞かなかった。
「まりあには俺から話しておくから」
洋平はそう言って、その日は咲那のことをそっとしておいてくれた。
泣くだけ泣いて、随分すっきりした。
もちろんまだ、悲しい気持ちは消えていない…。
でも、もういつまでも同じところにいてはいけないんだと思うことができた。
桔平は外国に行く。
自分はこれまで通り日本で生きていくんだ。
そう思ったら、ようやくぐらついていた足下が固まった様な気がした。
「お前…何で」
何で、自分の父親に叔父である俺とセックスした何て言うんだよ…そう言いたいのはやまやまだったが、お互い合意の上のセックスを咲那のせいだけにすることなどできるはずがない。
「だって…、桔平、私とちゃんと話してくれないんだもん」
「だからって、先のことも少しは考えろよ…」
「先の事?そんなの考えたってしょうがないじゃん。どうせ桔平は全部自分で決めて勝手にどっかへ行っちゃうんでしょ」
「そ、それは…」
お前のためだ…と言ったところで咲那が素直に納得するとは思えない。
「どうせ私の片思いなんだから仕方ないって思ってたけど、やっぱりこんなのひどいよ。私のこと、他の人と同じで遊びで抱いたの?」
「遊びって…、お前…そんな言い方…」
「だってそうでしょ?桔平は決まった人を作らないのが自慢なんでしょ。私もそのうちの一人なんでしょ」
「それは…」
「だって、桔平一度も私のこと好きだって言ってくれないじゃん」
「…」
「ねえ、ハッキリ言ってよ、遊びで抱いたんだって。そうじゃないと、いつまでも期待しちゃうんだよ。いつも桔平のことで頭がいっぱいで、他のこと何も考えられないんだよ。苦しいんだよ…」
咲那はまた泣いてしまいそうになる。
「そうだな…、俺みたいな奴のこと考えて人生無駄にする必要はないよ。咲那のことは遊びだった。俺が全部悪い。すまなかった、もう俺のことは忘れてくれ」
桔平は立ち上がると、奥の部屋へ行ってしまった。
しばらくの間咲那は、そこに呆然と立ち尽くしていた。
終わったんだ…。
もう悩まなくても済むんだ…。
ハハッ…。
これで、全部終わりだ…。
咲那はあふれる涙を拭うこともせず、そのまま歩いて家に帰った。
「ただいま…」
「おかえり」
泣きはらした目を見て、洋平は何も言わずに咲那のことを抱きしめた。
洋平の優しい声に、咲那は再び涙が溢れだした。
「気のすむまで泣きなさい」
洋平にそう言われ、咲那は胸にすがりついて大声をあげて泣いた。
洋平はそのあとも二人の間でどんな会話がなされたのか、何も聞かなかった。
「まりあには俺から話しておくから」
洋平はそう言って、その日は咲那のことをそっとしておいてくれた。
泣くだけ泣いて、随分すっきりした。
もちろんまだ、悲しい気持ちは消えていない…。
でも、もういつまでも同じところにいてはいけないんだと思うことができた。
桔平は外国に行く。
自分はこれまで通り日本で生きていくんだ。
そう思ったら、ようやくぐらついていた足下が固まった様な気がした。
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