ホストと女医は診察室で

星野しずく

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ホストと女医は診察室で.42

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「子どもが出来ればいいんだ。慶子さん、君は医者だろう?だから命を粗末にしたりしないよね。僕はいい父親になると思うよ。兄さんなんかよりずっとね」

 和希の言葉があまりにショックで、慶子は何も言うことができなかった。



 ひどい…、私が医者であることを利用したの?

 中絶はしないだろうって…。

 そんな風にしてできた子供は幸せだと、和希さんは思うの…。

 慶子は悲しくて悲しくてただただ涙が止まらなかった。



「さあ、もう十分だろう」

 和希は慶子の中に全てを放ち、ようやく自身を引きずり出した。

 ポタポタと白濁が床に落ち、今まさに慶子の中にそのほとんどが入ったことを見せつけられた。



 慶子は泣き疲れて声も嗄れ、ついには涙もでてこなくなってしまった。

 ただ、体はまだ重く自由に動けない。

 そんな慶子を和希は抱き上げるとシャワールームに連れて行った。

 慶子はもう暴れる元気など残っていなかった。

 和希にされるがまま、シャワーをかけられ体を洗われた。

 バスタオルでくるまれて再びベッドに戻った。



 体の表面はスッキリとしたはずなのに、和希の這い回った感触が消えない。

 慶子の目からは再び涙が流れた。
 
 聖夜と体を重ねたのもほとんど同じ状況だった。

 自分が酒に酔って聖夜にねだったのだ。

 今回はねだってはいないけれど、そう違いはない。

 それなのにどうしてこんなに悲しいのだろう…。



 聖夜の時だってこんな風に悲しくなってもおかしくなかったはずだ。

 それなのに、聖夜のときは少なからず自分はときめいていた。

 そして、体を重ねている時もそのあともこんなに悲しい気持ちにはならなかった。



「兄さんのこと考えてるの?」

 図星をつかれ慶子はドキリとする。

「でも、もう遅いよ。ああ、どうか子どもが出来てますように」

 和希はもうそのことしか頭にないようだ。



「お水をもらえますか」

 慶子は一刻も早くここを立ち去りたかった。

 お酒を抜くにはお水を沢山飲まなければならない。



「そうだね、さすがに喉が渇いたよね。あんなに声をあげてたんだから」

 和希は嬉しそうに笑った。

 どうかしてる…和希さん。

 それに聖夜さんの存在が大きく関係していることは分かっている。

 でも、それにしてもこんな自暴自棄な行動をとるなんて…。



 何杯も水をお代わりしたけれど、まだお酒は抜けてくれなくて、足下がふらついている。

 慶子はそれでもやっぱりここにはいたくなかった。



「和希さん。もう帰りたいです。タクシーを呼んでもらえませんか」

「もう観念して今夜は泊まっていきなよ。もう一度襲ったりなんてしないから」

 そう言われても気分的に和希と一緒にいるのは耐えられなかった。



「ごめんなさい。やっぱりどうしても帰りたいです」

「そう、冷たいな。僕たちの子供ができたかもしれないって言うのに。まあ、子どもが出来たらどうせ一緒に住むんだから今日のところは帰してあげるよ」
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