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勢いで!?.02
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放課後さくらが時間通りに今朝約束した場所に行くと、例の男はもう来ていた。
朝のヨレヨレの姿よりは随分マシな服装のせいか、何だか垢抜けた印象だ。
「今朝は、すみませんでした。」
啓太はあいかわらずの腰の低さで一方的に謝る。
「ほんとよ。ケータイ使えないなんてめちゃくちゃ不便なんだから。ほら、そこのケータイショップ行くわよ。」
そう言うと、さくらはスタスタと先に歩いていってしまう。
「あっ、待ってください。今行きます。」
啓太は急いでさくらの後を追った。
ケータイショップで修理を依頼し、代わりのスマホを借りてその日は一旦帰ることになった。
修理には1~2週間かかるそうだ。修理代はその時にならないと分からないので、受け取りの日にまたここで会う事にした。
「とりあえずあんたのライン教えてよ。」
「はっ、はい。」
二人はお互いのラインを交換する。
「水神さくらさんって言うんですね。」
そう言われて、さくらは自分の名前さえ伝えていなかったことに気付く。
「そう言えばさ、名刺に書いてあったんだけど、あんたうちの学園の大学の医学部なんだね。」
「えっ、君は宮岡学園の高等部なの?」
「まあね。学校なんて、友達と騒ぎに行ってるだけだから、どーでもいいんだけど。」
さくらは、吐き捨てるように言う。
「そっ、そうなんですか。僕は、医学部で研究室に篭りっきりで、実は昨日も徹夜明けでボーっとしてて…。ほんとに、すみませんでした。」
自分にも責任があると自覚のあるさくらは、そんな啓太の状況を聞いてしまうと、胸の奥がチクッと痛んだ。
「とにかく、修理が済んだらまた連絡するから。その時はちゃんと来てよね。来なかったら、大学に乗り込んで行くからそのつもりで。」
「絶対来ますから。そっ、そんな乗り込むとか止めてください。」
さくらの勢いにタジタジになりながら、啓太は懇願する。
相手のことを責める事もしないで、一方的に責任を取らされた挙句、逆に脅されるようなかっこうになっているというのに、何でこの男はちっとも怒らないのかと、元来気の強いさくらはだんだん腹が立ってきた。
「あんたね、男だったら、ちょっとは言い返したらどうなの?それでもちゃんとついてんの!」
そう言うと、さくらはいきなり啓太の大事な部分を鷲づかみにする。
「わ~っ!!やっ、やめろ~っ!」
啓太は、さくらの手を払いのけるとその勢いでよろけて地面にひっくり返ってしまった。
しりもちをついた拍子に掛けていた黒縁のメガネが外れる。
「えっ…。」
さくらは啓太を見て絶句する。
肩くらいまで伸ばした黒髪、更に前髪もかなり伸びていてその上黒縁のメガネを掛けていたせいで、正直どんな顔なのかはっきり分からなかった。
しかし、倒れたせいでメガネが外れ、さゆりは初めて啓太の顔をはっきり見ることになる。
メガネに隠されていたその瞳は長い睫毛に覆われ、くっきりとした二重に黒くて大きなまなこが神秘的な光を湛えている。
(うそっ!超イケメン!!)
さくらは思わず心の中で叫んでいた。
(いやいや、関係ない。こいつはとんだ迷惑野郎なんだ。イケメンだって関係ない。)
心の中で葛藤しているさくらの気持ちことなど知る由も無く、啓太は外れたメガネを拾うと再び先ほどまでのいささかむさくるしい男に戻っていた。
「イテテテっ。君みたいなかわいい女の子がそんな事したらだめだよ。変な男だったら逆に襲われちゃうかもしれないんだから。これからは気をつけないとね。それじゃ、修理が終わったら連絡ください。待ってます。」
啓太は全く怒ることなくそう言うと、さっさと帰ってしまった。
「あのっ…。」
そう声をかけたさくらだったが、啓太はその呼びかけに気づくこはなかった。
(私、いったい何を言おうとしたんだろう。あんな男がどうだっていうのよ。)
さくらはなぜだか落ち着かない気持ちを持て余していた。
朝のヨレヨレの姿よりは随分マシな服装のせいか、何だか垢抜けた印象だ。
「今朝は、すみませんでした。」
啓太はあいかわらずの腰の低さで一方的に謝る。
「ほんとよ。ケータイ使えないなんてめちゃくちゃ不便なんだから。ほら、そこのケータイショップ行くわよ。」
そう言うと、さくらはスタスタと先に歩いていってしまう。
「あっ、待ってください。今行きます。」
啓太は急いでさくらの後を追った。
ケータイショップで修理を依頼し、代わりのスマホを借りてその日は一旦帰ることになった。
修理には1~2週間かかるそうだ。修理代はその時にならないと分からないので、受け取りの日にまたここで会う事にした。
「とりあえずあんたのライン教えてよ。」
「はっ、はい。」
二人はお互いのラインを交換する。
「水神さくらさんって言うんですね。」
そう言われて、さくらは自分の名前さえ伝えていなかったことに気付く。
「そう言えばさ、名刺に書いてあったんだけど、あんたうちの学園の大学の医学部なんだね。」
「えっ、君は宮岡学園の高等部なの?」
「まあね。学校なんて、友達と騒ぎに行ってるだけだから、どーでもいいんだけど。」
さくらは、吐き捨てるように言う。
「そっ、そうなんですか。僕は、医学部で研究室に篭りっきりで、実は昨日も徹夜明けでボーっとしてて…。ほんとに、すみませんでした。」
自分にも責任があると自覚のあるさくらは、そんな啓太の状況を聞いてしまうと、胸の奥がチクッと痛んだ。
「とにかく、修理が済んだらまた連絡するから。その時はちゃんと来てよね。来なかったら、大学に乗り込んで行くからそのつもりで。」
「絶対来ますから。そっ、そんな乗り込むとか止めてください。」
さくらの勢いにタジタジになりながら、啓太は懇願する。
相手のことを責める事もしないで、一方的に責任を取らされた挙句、逆に脅されるようなかっこうになっているというのに、何でこの男はちっとも怒らないのかと、元来気の強いさくらはだんだん腹が立ってきた。
「あんたね、男だったら、ちょっとは言い返したらどうなの?それでもちゃんとついてんの!」
そう言うと、さくらはいきなり啓太の大事な部分を鷲づかみにする。
「わ~っ!!やっ、やめろ~っ!」
啓太は、さくらの手を払いのけるとその勢いでよろけて地面にひっくり返ってしまった。
しりもちをついた拍子に掛けていた黒縁のメガネが外れる。
「えっ…。」
さくらは啓太を見て絶句する。
肩くらいまで伸ばした黒髪、更に前髪もかなり伸びていてその上黒縁のメガネを掛けていたせいで、正直どんな顔なのかはっきり分からなかった。
しかし、倒れたせいでメガネが外れ、さゆりは初めて啓太の顔をはっきり見ることになる。
メガネに隠されていたその瞳は長い睫毛に覆われ、くっきりとした二重に黒くて大きなまなこが神秘的な光を湛えている。
(うそっ!超イケメン!!)
さくらは思わず心の中で叫んでいた。
(いやいや、関係ない。こいつはとんだ迷惑野郎なんだ。イケメンだって関係ない。)
心の中で葛藤しているさくらの気持ちことなど知る由も無く、啓太は外れたメガネを拾うと再び先ほどまでのいささかむさくるしい男に戻っていた。
「イテテテっ。君みたいなかわいい女の子がそんな事したらだめだよ。変な男だったら逆に襲われちゃうかもしれないんだから。これからは気をつけないとね。それじゃ、修理が終わったら連絡ください。待ってます。」
啓太は全く怒ることなくそう言うと、さっさと帰ってしまった。
「あのっ…。」
そう声をかけたさくらだったが、啓太はその呼びかけに気づくこはなかった。
(私、いったい何を言おうとしたんだろう。あんな男がどうだっていうのよ。)
さくらはなぜだか落ち着かない気持ちを持て余していた。
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