はじめての課外授業「女子高生による童貞大学生くんのためのラブレッスン」

星野しずく

文字の大きさ
5 / 54

勢いで!?.05

しおりを挟む
 勢いだけで突っ走る癖のあるさくらは、啓太に会った後のことを詳しく考えていなかった。

 さくらは途方にくれて、困った様子で立ち尽くしている。

 そんなさくらの様子を見かねた啓太が助け舟を出す。、

「近くに行きつけの喫茶店があるから、そこで話しませんか。」

「えっ、ああっ。そこでいいよ。」

 啓太の行きつけの喫茶店は、彼が好みそうな落ち着いた雰囲気の店だった。

 カウンター席が五つとテーブル席が4つ程の小さなお店の一番奥にあるテーブル席を啓太は選んで腰掛ける。

「さあ、どうぞ。」

 そう言われて、さくらもあわてて腰掛ける。

ウエイトレスさんがお水を持ってくると啓太は慣れた様子で注文をする。

「僕はいつもの。水神さんは何がいいですか。」

「私は、アイスティー。」

 さくらはいつも友達と行くようなポップなカフェとは流れている音楽も、客層も違って、何だか自分が場違いな所にいるようで、落ち着かない。

 注文をしてから飲み物が来るまでの間が気まずい。

 しかし、啓太はさくらが話し始めるのを静かに待っているだけで自分から話そうという気配はない。

 さくらは、仕方なく話を切り出す。

「あのさ、この間のことなんだけど。携帯が直ってから冷静に考えたら、私もちょっとは悪かったなって。」

 さくらの口から出た思いがけない侘びの言葉に、啓太は少し驚いた様子で答えた。

「そう。それはどうも。」

(あれだけ悪態をついて、お金も支払わせておいて今更だよね。)

 さくらは何とか取り繕おうと必死に言葉を続けた。

「だから、その、お詫びに何かできないかと思って。」

「別に、気にすることないよ。」

 さらりとかわす啓太に若干キレ気味になったさくらは、声を荒げる。

「私が、そうしないと気がすまないの。」

 そこへウエイトレスが、飲み物を持ってくる。

「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ。」

 啓太は、そんなさくらをなだめるように飲み物をすすめる。

「まあ、そう興奮しないで、アイスティー飲んでみて。ここの店はこだわってるから、どれもおいしいんだよ。」

 よほどお気に入りなのか、啓太はうれしそうにアイスコーヒーを飲む。

(困ったな。無理に押してもだめだ。ここはちょっと作戦変更だな。)

「ほんとだ。おいしい。」

「そうでしょ。」

 啓太は自分のことのようにうれしそうだ。

「私の事怒ってないの?」

 さくらは恐る恐る聞いてみる。

「怒ってませんよ。僕がボーっとしていたのが悪いんですから。」

 あくまで自分の責任だと主張する啓太の気持ちを今更変えるのは難しそうだ。

「本当のホントに怒ってない?」

 ハハッと笑うと、啓太は答える。

「本当に怒ってませんから、安心してください。」

「でも、私やっぱりこのままじゃ気がすまない。小野木さんって、いつも研究室に篭ってるって言ってたよね。私、お菓子作るの得意だから差し入れ持っていっていいかな?」

「えっ、本当。それはうれしいな。すごく助かるよ。研究に夢中になってるとつい食事も摂らないなんてこともよくあるんです。」

「そうなんだ。よかった。私の腕前楽しみにしててよ。」

「はい。楽しみにしてます。」

 そう言うと、啓太は腕時計で時間を確認する。

「そろそろ、出ましょうか。もう外は暗くなって来ましたから。女の子は帰らないと危ないでしょう。」

「あぁ、そうね。じゃぁ、そろそろ帰ろうかな。」

 さくらはまだ話し足りなかったが、促されるまま立ち上がる。

「ここはぼくが払いますから。水神さんには差し入れをいただくんですからね。」

 そう言うとさっと支払いを済まし、お店のドアを開ける。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

処理中です...