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すれ違い.02
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そうこうしているうちに、いよいよ実力テストが来週にせまってきていた。
武田君との息はぴったりで、勉強はすこぶるはかどっている。
テストが楽しみに思える日が来るなんて、さくらは信じられなかった。
いよいよ明日から実力テストという土日、いつもにも増して武田君は気合十分にサポートしてくれた。
「さくらちゃん、今日試しにやってみた模擬テストすごくよく出来てたよ。」
「ほんと~。うれし~。」
「それも、これも、さくらちゃんが頑張った結果だよ。」
「そんな~、武田先生のサポートのおかげです。」
さくらはちょっぴりおどけて答えるが、その表情はまんざらでもない。
「あしたからの実力テスト、僕も楽しみだよ。」
「うん、期待してて!」
「何だか、僕、さくらちゃんに勉強教えてほんとに良かったよ。こんなに一緒に喜びが分かち合えるなんて、人間関係が希薄になった現代では貴重な体験だ。」
しみじみと話す武田君に、「おおげさだよ~。」とさくらが返すと、
「いや、さくらちゃんのピュアさは貴重だ。僕はそう思う。」と言って譲らない。
「まあ、いいけど。とにかく、明日から頑張るから、結果楽しみにしてて。」
「うん。楽しみにしてる。」
そう言って、武田君は帰っていった。
「武田君にもああ言ってもらえたし、本気でがんばるぞー!」
さくらは一人気合を入れるため叫んでみた。
そんなことをやっていると、携帯が鳴り始めた。画面を見ると、啓太からだった。
ついにスウェーデン行きの話しかと思うと電話に出るのが怖い。
しかし、いつかは確かめなければならない事だ。さくらは意を決して電話に出る。
「もしもし。」
「もしもし、さくらちゃん。今だいじょうぶ?」
啓太はいつもの調子で尋ねてくる。
「う、うん。だいじょうぶ。今武田君が帰ったとこ。」
「あ、そうなんだ。勉強のほうは順調?」
「うん。おかげ様で。」
「ん?なんだか元気ないけど、大丈夫?」
さくらは気になっていることがあると、嘘がつけない性格だ。そのせいで、声の調子も暗くなる。
「そ、そんなことないよ。」
口でいくらそう言っても、それ以上に伝わるものがあるものだ。
「さくらちゃん、何か隠してる?」
「…。」
(隠してるのはそっちでしょう?)
思わず言いたくなるのを我慢して、答える。
「別に。」
「さくらちゃんが、別にって言うときは、たいてい何か隠してる時だよね。それは学習したよ。」
啓太にそう言われ、もう隠し通せないと観念したさくらは、ついに例の話の真相を尋ねることにした。
「あのね、武田君から聞いたんだけど、スウェーデンへ行くって本当?」
しばらくの沈黙の後、啓太は口を開いた。
「その事で、話があったんだ。実は、教授に誘われてて、僕もチャレンジしてみたいと思ってるんだ。」
さくらは何かで頭を激しく殴られたような衝撃を受けた。
(う、うそ。啓太がそんな遠くに行っちゃうなんて…。)
「さくらちゃん、聞いてる?さくらちゃん!」
さくらからの応答は無かった。
そのまま電話は切れてしまい、ツーツーという音だけが啓太の耳に響く。
「困ったな、僕さくらちゃんの家知らないし…。あ、そうか、武田に聞けばいいのか。」
啓太は急いで武田君に連絡を取ってさくらの住所を聞き出した。
武田君はしきりにその理由を知りたがったが、ちょっと届け物があると言って適当にごまかした。
嘘をつくのは本位ではなかったが、今はすぐにさくらちゃんに会わなければいけないような気がしていた。
何を言ったらいいのかわからないけど、とりあえず自転車にまたがり、さくらの家へと急いだ。
武田君との息はぴったりで、勉強はすこぶるはかどっている。
テストが楽しみに思える日が来るなんて、さくらは信じられなかった。
いよいよ明日から実力テストという土日、いつもにも増して武田君は気合十分にサポートしてくれた。
「さくらちゃん、今日試しにやってみた模擬テストすごくよく出来てたよ。」
「ほんと~。うれし~。」
「それも、これも、さくらちゃんが頑張った結果だよ。」
「そんな~、武田先生のサポートのおかげです。」
さくらはちょっぴりおどけて答えるが、その表情はまんざらでもない。
「あしたからの実力テスト、僕も楽しみだよ。」
「うん、期待してて!」
「何だか、僕、さくらちゃんに勉強教えてほんとに良かったよ。こんなに一緒に喜びが分かち合えるなんて、人間関係が希薄になった現代では貴重な体験だ。」
しみじみと話す武田君に、「おおげさだよ~。」とさくらが返すと、
「いや、さくらちゃんのピュアさは貴重だ。僕はそう思う。」と言って譲らない。
「まあ、いいけど。とにかく、明日から頑張るから、結果楽しみにしてて。」
「うん。楽しみにしてる。」
そう言って、武田君は帰っていった。
「武田君にもああ言ってもらえたし、本気でがんばるぞー!」
さくらは一人気合を入れるため叫んでみた。
そんなことをやっていると、携帯が鳴り始めた。画面を見ると、啓太からだった。
ついにスウェーデン行きの話しかと思うと電話に出るのが怖い。
しかし、いつかは確かめなければならない事だ。さくらは意を決して電話に出る。
「もしもし。」
「もしもし、さくらちゃん。今だいじょうぶ?」
啓太はいつもの調子で尋ねてくる。
「う、うん。だいじょうぶ。今武田君が帰ったとこ。」
「あ、そうなんだ。勉強のほうは順調?」
「うん。おかげ様で。」
「ん?なんだか元気ないけど、大丈夫?」
さくらは気になっていることがあると、嘘がつけない性格だ。そのせいで、声の調子も暗くなる。
「そ、そんなことないよ。」
口でいくらそう言っても、それ以上に伝わるものがあるものだ。
「さくらちゃん、何か隠してる?」
「…。」
(隠してるのはそっちでしょう?)
思わず言いたくなるのを我慢して、答える。
「別に。」
「さくらちゃんが、別にって言うときは、たいてい何か隠してる時だよね。それは学習したよ。」
啓太にそう言われ、もう隠し通せないと観念したさくらは、ついに例の話の真相を尋ねることにした。
「あのね、武田君から聞いたんだけど、スウェーデンへ行くって本当?」
しばらくの沈黙の後、啓太は口を開いた。
「その事で、話があったんだ。実は、教授に誘われてて、僕もチャレンジしてみたいと思ってるんだ。」
さくらは何かで頭を激しく殴られたような衝撃を受けた。
(う、うそ。啓太がそんな遠くに行っちゃうなんて…。)
「さくらちゃん、聞いてる?さくらちゃん!」
さくらからの応答は無かった。
そのまま電話は切れてしまい、ツーツーという音だけが啓太の耳に響く。
「困ったな、僕さくらちゃんの家知らないし…。あ、そうか、武田に聞けばいいのか。」
啓太は急いで武田君に連絡を取ってさくらの住所を聞き出した。
武田君はしきりにその理由を知りたがったが、ちょっと届け物があると言って適当にごまかした。
嘘をつくのは本位ではなかったが、今はすぐにさくらちゃんに会わなければいけないような気がしていた。
何を言ったらいいのかわからないけど、とりあえず自転車にまたがり、さくらの家へと急いだ。
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