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それでも俺が好きだと言ってみろ.87
しおりを挟む「将来のことって・・・、それはやっぱり伊沢さんと結婚したいってことですか?」
「なんでそうなるんだよ!俺にとって伊沢さんはずっと憧れの研究者なんだ。そりゃあ、伊沢さんに対する気持ちが憧れなのか恋なのか分からずに混乱してた時期はあった。だけど、今はもう恋なんかじゃなかったって分かってる。それに、俺はあんな優秀な人にはふさわしくない事も分かってる」
「えっ・・・、だって伊沢さんが結婚して、妊娠したときはそのショックで体調を崩して・・・、それでセックス依存症になったって・・・。それは嘘だったんですか?」
「誰だよそんなこと言った奴は!俺は伊沢さんが研究者としての仕事を諦めならなくなることがショックだったんだよ。子どもが何人も生まれたら、彼女の人生の大半は子育ての時間に奪われる。女だからっていう理由だけで、そんな理不尽な状況に追い込まれるのが我慢ならなかった。それだけだ・・・」
「それだけ・・・」
和香はそれまで緊張していた体が急激に弛緩してその場に座り込んだ。
「伊沢さんとはそういうことがしたかったわけじゃない。自分が目標としてた人が目の前から消えて、その虚無感から精神的におかしくなっただけだ。たぶん酒でもギャンブルでもなんでもよかったんだろう。俺の場合は一時的にセックスに溺れただけで」
「伊沢さんのことは・・・、本当に好きっていう気持ちはないってことなんですね?」
「しつこい奴だな!畏れ多くてそんな気になれねえよ」
「・・・分かりました」
「それにしても、俺のことばっかり根掘り葉掘り聞きやがって、お前はどうなんだよ」
「わ、私ですか・・・」
「お前の元カレは俺なんかよりよっぽどイカレてるぞ。どうしてくれるんだ?」
「そ、それは・・・、本当にすみません」
「で、お前は俺の色んな事を聞いてどうしたいんだよ」
「どうしたいんでしょう・・・?」
「なんだそれ?自分の気持ちも分からないくせに、偉そうに人に色々聞いてんじゃねえよ」
「・・・すみません」
「お前・・・、この間、俺が来いって言った時、どうして断った?」
「・・・もう先が見えないことは辞めようと思ったからです」
「先が見えない?どういう意味だ・・・」
「それは・・・、桜庭さんは伊沢さんのことが好きで、自分なんかもう必要ないっていう意味です」
「だから、それは違うって言ってるだろう!」
「そんなこと知りませんでしたから!私は、もうずっと、桜庭さんのことで頭がいっぱいで、だから、桜庭さんが伊沢さんを諦めないのなら、もう自分はこれ以上桜庭さんとそういう関係を続けるのは耐えられないって思ったんです・・・」
「俺のことで頭がいっぱいって・・・」
「知りません・・・、桜庭さんにはセフレがいて、植松さんがいて、そのうえ伊沢さんのことが好きで・・・、それを考えるたびに、私は醜いくらい嫉妬して、でも桜庭さんには嫌われたくなくて・・・、でももうそんなことにもホトホト疲れてしまったんです・・・」
「何勝手に決めつけて・・・。えっ、嫉妬って・・・」
「そうですよ・・・、バカみたいですけど、桜庭さんにしてみたら性欲のはけ口でしかないのに、私は他の女性たち全てに嫉妬するようになったんです。もう、自分はおかしくなったと思いました。でも、本当なんですから仕方ないんです。だから、こんなおかしな自分はもう会社を辞めてもいいから、桜庭さんとの関係を終わりにしなければと思いました」
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