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1章
2話
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私がきくこの腕を抱えて踞ってたところにあの人は来たんだ。
戦場には似合わないくらいの綺麗な顔立ち。...まあ、顔はつくよみの方が綺麗だったけど...。でもなんかちがかった。
彼はキラキラしてたんだ
サラサラの金色の髪。
初めて会って彼から言われた言葉が
「大丈夫?泣かないで」だった。
それは戦場にはあまりにも似合わない言葉で。
でもとても優しい言葉で。
目から零れ落ちる水滴を私は拭うことが出来なかった。
そして気づいてしまった。
彼の胸には敵国のエンブレムがついていた。
あぁ、彼は仲間の仇なんだ。一緒にいちゃいけない人間なんだってわかった
それでも、今この瞬間。家族がいなくなった私を彼は慰めるかのように隣に座って一緒に居てくれたんだ。
この時くらいは目の前にいるこの人に甘えてもいいかなと思ったんだ。
「もう...起きよう。朝食のいい匂いがする。これは...ベーコンかな。」
そう言って扉をガチャりと開けた。
食堂までの道を一人歩いていると幼馴染みのリリスが話しかけてきた
「よっ!どーしたの?なんか元気ないじゃん。朝ごはんの時はすごい浮かれてるあんたがさー。...どうかしたの?」
「ううん。何でもないよ。...ただ、あの時の夢を見ただけ。」
そう言うと リリスは眉を下げて
「あぁ...あの人達のことか。...もう五年も経ったのにまだあんたはあの時のことに縛られてんの?もう...忘れなよ」
そんなことを言うリリスに私は言った
「何年経っても忘れることなんてできないよ!だってふたりは私の...お父さんとお母さんみたいな存在だったもん」
「年が五つしか離れてないのにお父さんとお母さんねぇ...。そもそもあの二人お父さんとお母さんって感じじゃなくないか?」
リリスは頭の上にはてなマークを浮かばるようにして私に言った
「あの二人結構仲悪かったじゃん。戦闘の時には息合ってたけどアジトにいた時はまるでダメダメだったじゃん。手合わせではどっちかが死にかけるまで戦うし飯の時はおかず争奪戦繰り広げてたし
何も無い時にまで二人で喧嘩してたしな。」
た、確かにそうかもしれない。よくよく考えると二人喧嘩してばかりだったかも...。
でも、憎みあってたわけじゃないんだよね。多分。
「ま、んな事いいからさ。早く飯食いにいこー。おなかすいたー」
「くす、そうだね。お腹すいたね。」
この時私はまだ気づいていなかったんだ。これからリリスとも誰とも会えなくなるなんて。
戦場には似合わないくらいの綺麗な顔立ち。...まあ、顔はつくよみの方が綺麗だったけど...。でもなんかちがかった。
彼はキラキラしてたんだ
サラサラの金色の髪。
初めて会って彼から言われた言葉が
「大丈夫?泣かないで」だった。
それは戦場にはあまりにも似合わない言葉で。
でもとても優しい言葉で。
目から零れ落ちる水滴を私は拭うことが出来なかった。
そして気づいてしまった。
彼の胸には敵国のエンブレムがついていた。
あぁ、彼は仲間の仇なんだ。一緒にいちゃいけない人間なんだってわかった
それでも、今この瞬間。家族がいなくなった私を彼は慰めるかのように隣に座って一緒に居てくれたんだ。
この時くらいは目の前にいるこの人に甘えてもいいかなと思ったんだ。
「もう...起きよう。朝食のいい匂いがする。これは...ベーコンかな。」
そう言って扉をガチャりと開けた。
食堂までの道を一人歩いていると幼馴染みのリリスが話しかけてきた
「よっ!どーしたの?なんか元気ないじゃん。朝ごはんの時はすごい浮かれてるあんたがさー。...どうかしたの?」
「ううん。何でもないよ。...ただ、あの時の夢を見ただけ。」
そう言うと リリスは眉を下げて
「あぁ...あの人達のことか。...もう五年も経ったのにまだあんたはあの時のことに縛られてんの?もう...忘れなよ」
そんなことを言うリリスに私は言った
「何年経っても忘れることなんてできないよ!だってふたりは私の...お父さんとお母さんみたいな存在だったもん」
「年が五つしか離れてないのにお父さんとお母さんねぇ...。そもそもあの二人お父さんとお母さんって感じじゃなくないか?」
リリスは頭の上にはてなマークを浮かばるようにして私に言った
「あの二人結構仲悪かったじゃん。戦闘の時には息合ってたけどアジトにいた時はまるでダメダメだったじゃん。手合わせではどっちかが死にかけるまで戦うし飯の時はおかず争奪戦繰り広げてたし
何も無い時にまで二人で喧嘩してたしな。」
た、確かにそうかもしれない。よくよく考えると二人喧嘩してばかりだったかも...。
でも、憎みあってたわけじゃないんだよね。多分。
「ま、んな事いいからさ。早く飯食いにいこー。おなかすいたー」
「くす、そうだね。お腹すいたね。」
この時私はまだ気づいていなかったんだ。これからリリスとも誰とも会えなくなるなんて。
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