形身人形

プロローグ

あぁ、父上。お恨み申し上げます。お恨み申し上げます。

私はまだ幼い彼に似せられただけの人形だというのはわかっています。

彼に近づきたいがために父上に作られただけの人形というのはよくわかっているのです。それが私の役目だというのは重々承知しているつもりでした。でしたが...。

あなたは何度も何度も何度も私の体を作り直しました。何度も何度も斬って斬って斬って斬って...。

そしてようやくできたのが私なのです。

しかし父上。あなたはまだ不満そうですね。まだ彼の者に近づけるような人形にはなっていない。まだ近づけないまだ近づけないと。

何度も呪詛のように夜な夜な私を掘り直しながら言っていましたね。

私の髪は黒い髪。私の目は赤い瞳。私の肌の色はまるで透けるかのように白く。

彼に近づくように少しづつ少しづつ直していきましたね。

自分が死ぬまでずっと作り続けていましたね。

そうして父上、貴方が死んでその魂が私の身体の中に入りました。

私は驚きました。父の感情が私の中に全て入ってきました。

『執着』 『愛憎』 『恋慕』 『憧れ』

なんて醜いものを私の中に入れてくれたのですか。なんて醜いものを。これは幼き子供に向ける感情ではありません...。


あぁ、父上。あぁ、父上！！お恨み申し上げます。お恨み申し上げます...。