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森の中の拾いモノ2
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ロゼッタに迷っている時間は与えられていない。このまま放置するだけで、彼は死んでしまう。けれども、彼女には彼を助ける力がある。
「そうだわ! とりあえず助けてから、お役人に突き出そう。それが一番よね?」
元気な状態であれば、きっと彼女はこの青年に敵わないだろう。けれども彼は瀕死の重傷、そしてロゼッタは見習いとはいえ魔法が使える。町まで人を呼びに往復すれば、その間に彼は死ぬかもしれない。だったら、応急処置をしてから人を呼びにいこう。その方が後悔せずに済むはずだとロゼッタは結論づけた。
悪いと思いながら、ロゼッタは彼の服を全て脱がせる。ぬれて、血に染まっているが、彼の着ていた服はかなり質のいい物で、明らかに庶民ではないということがわかる。
青年の右腕には澄んだ空色の石がはめ込まれた腕輪がある。
「お兄さん。あなたも魔法使いなんだ……?」
魔法使いはいつでも魔法が使えるように、あらかじめ自らの魔力を水晶に閉じ込めておく。すぐに自身の体から取り出せる魔力には限界があるからだ。
もちろんロゼッタの腕にも水晶がはめ込まれた同じような腕輪はあるが、彼の物は石の数が多い。それだけで彼が力の強い魔法使いで、日常的に魔法を使う職業だということがわかる。
ロゼッタの服もかなり湿っていて不快だったが、着る物のない青年の上に、川に入る前に脱いでおいた外套を被せる。女物の外套では、彼の膝から下を隠すことはできず、その部分にはとりあえず落ち葉をかけておく。
次は怪我の手当だ。腹にある傷は明らかに刀傷で、たいした道具を持ち合わせていないロゼッタに、通常の応急処置はできない。傷を癒す魔法はあるが、かなり高度な魔法で本来なら選ばれた一族の人間しか使えない。実はロゼッタは使えるのだが、彼女の師でもある母からは、癒しの魔法だけは人前で使ってはいけないと、きつく言われていた。
「仕方ない……。緊急事態だものね」
彼女は右腕を少しまくり、反対の手で腕輪の石に触れる。彼女の石は母のお守り同様、深い青だ。こっちはお守りとは違い、彼女自身が魔力を込めたものだった。
『癒せ』
傷口をしっかりと目で捉え、それが治るイメージを膨らませながら、ロゼッタは頭の中でそう唱える。魔法を使うときに大切なのは『視る』こと。本来、言葉は必要ないのだが頭の中で唱えるのは彼女の癖だ。
たちまち腕輪が輝きだし、彼女は光に包まれている右手を傷口にかざす。淡く少し熱を持った光が青年の腹部を包む。光が消え去るとそこはもう、ほとんど傷はなかった。
「や、やりすぎた……かな? ……ふぅっ」
ロゼッタは力を加減することが不得意――――つまりは制御力不足なのだ。これは魔法使いとして致命的だ。
ロゼッタの石は先程よりも明らかに色が薄くなり、魔力がなくなっていることがわかる。おそらく後一回、魔法を使えば魔力が尽きるだろう。
そしてロゼッタ自身も疲労を感じていた。水晶に込めてある魔力だけで力を使うことはできない。大半の部分は水晶の魔力がまかなってくれるが、魔法の核になる重要な部分は溜めていた魔力では作れないのだ。
「これ、絶対っ母様に怒られるじゃない……」
彼女の母は非常に厳しい師だ。安全とはいえない森の中で魔力を使い果たしそうになっていることを知られたら、間違いなくお説教だろう。
傷口がふさがっても、血を失い体温が奪われた金髪の青年の意識はまだ戻らない。十七歳の非力な少女の力では彼を町まで運ぶことは無理だ。一度、町まで行って人を呼びに行くしかないのだが、今から戻れば日が暮れる。
「暖めないと、駄目だよね……?」
こんなところで焚き火をすれば、まだ近くにいるかもしれない騎士たちに、居場所を知らせてしまうだろう。魔法で周囲の空気を暖めることはできるが、それをしてしまうと、今のロゼッタはもう魔法が使えなくなる。無防備な状態で森を抜けて町まで戻ることは、彼女にとって恐ろしいことだ。
それでもロゼッタは腕輪を外し、それをじっと『視る』。もし、これが彼女の母ならば青年の体を直接温めただろう。その方が効率がよく、魔力の消費が少ないのだ。けれども一歩間違えれば彼に止めを刺してしまう、そんな危険な魔法を使うことは見習いの彼女にはできない。仕方なく周囲の空気を暖めることにした。
『布団の中っ!!』
頭の中で、いたって真面目にそう念じる。その瞬間、腕輪の水晶を中心に周囲の空気が暖かくなり、二人を包む。
結果に満足したロゼッタは、金髪の青年の胸のあたりに腕輪を置いて、呼吸を妨げないように気をつけながら枯れ葉で青年を隠す。
「うっ……? ……き、み、……は?」
眠っていた青年がうっすらと目を開けて、彼女に問う。
「…………お兄さん、大丈夫ですか? 赤の他人に名前を教えたりするほど間抜けではないですが、通りすがりの魔法使いです! ……あなたは悪い人? お名前は? ここで死なれると困るんです!」
「…………っ……わ、たしは……」
そこまで言ったところで、また瞼を閉じてしまった青年のことをロゼッタは睨みつける。せめて、犯罪者かそうでないかは確認したかったのだ。
「まったく! 世話の焼ける人ですねっ! いいですか? 人を呼んでくるので絶対に動かないでください。あなたを狙っている人たちが戻ってくるかもしれませんし」
「……くっ……」
うなずこうとしたのか、青年は少しだけ頭を動かした。ロゼッタはそれを同意と捉えて、彼のそばから離れる。
動物避けのお守りは一つしかなく、さすがに渡せなかった。ほとんど動けない青年が、戻ったときには熊に食べられていました、という最悪のシナリオにならないことを祈りながら、ロゼッタは急いで町へ帰る。
森を抜けて、町と西部を繋ぐ街道に出たところで、偶然にも彼女の父と会うことができた。
「父様! 大変なのっ!」
焦げ茶色の髪と瞳、森で遭遇すれば熊に間違われるかもしれない大柄な体格の彼女の父、ラウルは無口だが心優しい人物だ。普段は主夫業をしながら町の自警団の手伝いをしている。いつもより帰りの遅い娘を心配したラウルは森の見回りがてら娘を迎えに来たのだった。
「……そうか」
「いや! そうか、じゃなくて大変なの!!」
「…………そうか」
常にぼーっとしている父に怒りながら一方的に事情を説明すると、ロゼッタはそれだけで疲れ果てた。事情がわかったラウルは無言で森の奥へと入っていき、ロゼッタが青年のいるであろう場所へ父を案内した。
幸いにも青年はその場所で穏やかに寝息を立てていた。熊に食べられていなくてよかったとロゼッタは胸をなで下ろす。
「……運ぶ」
金髪の青年はラウルほどではないが、それなりに長身でなにか武術の心得でもありそうな引き締まった体をしている。ラウルはそれをひょいっと肩に担いで歩き出す。
ロゼッタあたくましく頼もしい父に感心――――することはなかった。
「ちょ、ちょっと父様! 父様の上着を着せてあげて。丸見え! 丸見えだからっ!!」
「……そうか」
「だから! そうか、じゃないでしょう? なんでそんなに無頓着なの!?」
「…………」
彼女が生まれる前から、ラウルはこういう人間なのだ。いちいち怒っても無駄だとわかっているのに、ロゼッタは今日も腹を立てる。文句を言いながら青年の服をかき集め、父と一緒に町を目指した。
「そうだわ! とりあえず助けてから、お役人に突き出そう。それが一番よね?」
元気な状態であれば、きっと彼女はこの青年に敵わないだろう。けれども彼は瀕死の重傷、そしてロゼッタは見習いとはいえ魔法が使える。町まで人を呼びに往復すれば、その間に彼は死ぬかもしれない。だったら、応急処置をしてから人を呼びにいこう。その方が後悔せずに済むはずだとロゼッタは結論づけた。
悪いと思いながら、ロゼッタは彼の服を全て脱がせる。ぬれて、血に染まっているが、彼の着ていた服はかなり質のいい物で、明らかに庶民ではないということがわかる。
青年の右腕には澄んだ空色の石がはめ込まれた腕輪がある。
「お兄さん。あなたも魔法使いなんだ……?」
魔法使いはいつでも魔法が使えるように、あらかじめ自らの魔力を水晶に閉じ込めておく。すぐに自身の体から取り出せる魔力には限界があるからだ。
もちろんロゼッタの腕にも水晶がはめ込まれた同じような腕輪はあるが、彼の物は石の数が多い。それだけで彼が力の強い魔法使いで、日常的に魔法を使う職業だということがわかる。
ロゼッタの服もかなり湿っていて不快だったが、着る物のない青年の上に、川に入る前に脱いでおいた外套を被せる。女物の外套では、彼の膝から下を隠すことはできず、その部分にはとりあえず落ち葉をかけておく。
次は怪我の手当だ。腹にある傷は明らかに刀傷で、たいした道具を持ち合わせていないロゼッタに、通常の応急処置はできない。傷を癒す魔法はあるが、かなり高度な魔法で本来なら選ばれた一族の人間しか使えない。実はロゼッタは使えるのだが、彼女の師でもある母からは、癒しの魔法だけは人前で使ってはいけないと、きつく言われていた。
「仕方ない……。緊急事態だものね」
彼女は右腕を少しまくり、反対の手で腕輪の石に触れる。彼女の石は母のお守り同様、深い青だ。こっちはお守りとは違い、彼女自身が魔力を込めたものだった。
『癒せ』
傷口をしっかりと目で捉え、それが治るイメージを膨らませながら、ロゼッタは頭の中でそう唱える。魔法を使うときに大切なのは『視る』こと。本来、言葉は必要ないのだが頭の中で唱えるのは彼女の癖だ。
たちまち腕輪が輝きだし、彼女は光に包まれている右手を傷口にかざす。淡く少し熱を持った光が青年の腹部を包む。光が消え去るとそこはもう、ほとんど傷はなかった。
「や、やりすぎた……かな? ……ふぅっ」
ロゼッタは力を加減することが不得意――――つまりは制御力不足なのだ。これは魔法使いとして致命的だ。
ロゼッタの石は先程よりも明らかに色が薄くなり、魔力がなくなっていることがわかる。おそらく後一回、魔法を使えば魔力が尽きるだろう。
そしてロゼッタ自身も疲労を感じていた。水晶に込めてある魔力だけで力を使うことはできない。大半の部分は水晶の魔力がまかなってくれるが、魔法の核になる重要な部分は溜めていた魔力では作れないのだ。
「これ、絶対っ母様に怒られるじゃない……」
彼女の母は非常に厳しい師だ。安全とはいえない森の中で魔力を使い果たしそうになっていることを知られたら、間違いなくお説教だろう。
傷口がふさがっても、血を失い体温が奪われた金髪の青年の意識はまだ戻らない。十七歳の非力な少女の力では彼を町まで運ぶことは無理だ。一度、町まで行って人を呼びに行くしかないのだが、今から戻れば日が暮れる。
「暖めないと、駄目だよね……?」
こんなところで焚き火をすれば、まだ近くにいるかもしれない騎士たちに、居場所を知らせてしまうだろう。魔法で周囲の空気を暖めることはできるが、それをしてしまうと、今のロゼッタはもう魔法が使えなくなる。無防備な状態で森を抜けて町まで戻ることは、彼女にとって恐ろしいことだ。
それでもロゼッタは腕輪を外し、それをじっと『視る』。もし、これが彼女の母ならば青年の体を直接温めただろう。その方が効率がよく、魔力の消費が少ないのだ。けれども一歩間違えれば彼に止めを刺してしまう、そんな危険な魔法を使うことは見習いの彼女にはできない。仕方なく周囲の空気を暖めることにした。
『布団の中っ!!』
頭の中で、いたって真面目にそう念じる。その瞬間、腕輪の水晶を中心に周囲の空気が暖かくなり、二人を包む。
結果に満足したロゼッタは、金髪の青年の胸のあたりに腕輪を置いて、呼吸を妨げないように気をつけながら枯れ葉で青年を隠す。
「うっ……? ……き、み、……は?」
眠っていた青年がうっすらと目を開けて、彼女に問う。
「…………お兄さん、大丈夫ですか? 赤の他人に名前を教えたりするほど間抜けではないですが、通りすがりの魔法使いです! ……あなたは悪い人? お名前は? ここで死なれると困るんです!」
「…………っ……わ、たしは……」
そこまで言ったところで、また瞼を閉じてしまった青年のことをロゼッタは睨みつける。せめて、犯罪者かそうでないかは確認したかったのだ。
「まったく! 世話の焼ける人ですねっ! いいですか? 人を呼んでくるので絶対に動かないでください。あなたを狙っている人たちが戻ってくるかもしれませんし」
「……くっ……」
うなずこうとしたのか、青年は少しだけ頭を動かした。ロゼッタはそれを同意と捉えて、彼のそばから離れる。
動物避けのお守りは一つしかなく、さすがに渡せなかった。ほとんど動けない青年が、戻ったときには熊に食べられていました、という最悪のシナリオにならないことを祈りながら、ロゼッタは急いで町へ帰る。
森を抜けて、町と西部を繋ぐ街道に出たところで、偶然にも彼女の父と会うことができた。
「父様! 大変なのっ!」
焦げ茶色の髪と瞳、森で遭遇すれば熊に間違われるかもしれない大柄な体格の彼女の父、ラウルは無口だが心優しい人物だ。普段は主夫業をしながら町の自警団の手伝いをしている。いつもより帰りの遅い娘を心配したラウルは森の見回りがてら娘を迎えに来たのだった。
「……そうか」
「いや! そうか、じゃなくて大変なの!!」
「…………そうか」
常にぼーっとしている父に怒りながら一方的に事情を説明すると、ロゼッタはそれだけで疲れ果てた。事情がわかったラウルは無言で森の奥へと入っていき、ロゼッタが青年のいるであろう場所へ父を案内した。
幸いにも青年はその場所で穏やかに寝息を立てていた。熊に食べられていなくてよかったとロゼッタは胸をなで下ろす。
「……運ぶ」
金髪の青年はラウルほどではないが、それなりに長身でなにか武術の心得でもありそうな引き締まった体をしている。ラウルはそれをひょいっと肩に担いで歩き出す。
ロゼッタあたくましく頼もしい父に感心――――することはなかった。
「ちょ、ちょっと父様! 父様の上着を着せてあげて。丸見え! 丸見えだからっ!!」
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