ヤンデレ悪役令嬢の前世は喪女でした。反省して婚約者へのストーキングを止めたら何故か向こうから近寄ってきます。

砂礫レキ

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【33話】悪霊令嬢、尋ねる

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 よくわからない能力で隠れ権力キャラのアヤナを倒してしまった。

 正直やらかしてしまったという気持ちが強い。

 攻撃魔法ではなく相手を操り自滅させる方法だったのが余計不味い。

 ルシウスに対しこの力を使って洗脳していると思われかねない。

 倒れている紫の魔女から視線を他の教師に向ける。

 怯えたような声を上げ目を逸らしたり、腕で顔をガードしている人間もいた。

 そこまで怖がらなくてもいいと告げたかったが、きっとそれさえも脅しと受け取られるだろう。

 教師たちの威厳の無さに心が冷めていく。敵視され弾劾されるよりはマシだと思うことにした。


「……マフィンに惚れ薬なんて私は入れてないわぁ」

「姉貴……」

「そもそもルシウス様はあの日私の作ったものを口にせず床に叩き落したもの」


 バスケットを持っていた私ごとね。そう皮肉な笑みを浮かべる。


「ルシウス様の変貌の理由を私は本当に知らないの。この女が私を陥れようとしたことはわかるけれど」


 私は気絶している魔女を指差す。

 あの惚れ薬は物凄く不味いだけで、彼女もルシウスも命に別状は無い筈だ。

 しかしそれを話す必要はない。私は教師たちに聞こえるように話す。


「私の仕業と見せかける為マフィンに惚れ薬を入れたつもりのようだけれど……」

「入れる薬を間違えたか、失敗作を入れたって所か。ハッ、間抜けすぎ」


 呆れたようにハイドラが言葉を続ける。

 そうだ、アヤナは間抜けだ。だからこそ助かった。


「魔法使ってでも叩き起こして何入れたか確認した方がいいんじゃないの?ルシウスも倒れてるし」


 惚れ薬と勘違いして毒入れたかもしれないぜ。ハイドラの言葉に教師たちの顔が青くなった。

 正直、指摘される前に気づいて欲しい。私が内心呆れていると闇精霊が意地悪そうな笑みを浮かべた。


「教師が生徒に毒入りマフィン食わせたって、他の生徒や親たちにバレたらどうなるんだろうな」

「えっ、ハイドラ君……?!」

「ルシウスって女人気だけはあるから、かなりでかい騒ぎになるだろうな」

「そんな、それは……どうしよう、困ります」


 私とアヤナのやり取りをおろおろしながら見ているだけだった担任教師が、別の理由で慌て出す。

 ハイドラの言っていることは正しくはない。ルシウスが横から勝手にマフィンを取り上げて食べたのだ。

 しかしこの教師はそんな反論も出来ず困り切った顔をしている。

 もし彼が私の立場だったなら早々に自分が婚約者に呪いをかけたと認めていただろう。

 周囲がそんな人物ばかりだからアヤナは私にも同じように強引な罠を仕掛けたのかもしれない。


「センセーが姉貴を職員室に呼び出したのも、この魔女にゴリ押しされたからでしょ」 


 個別面談ではなく、複数人がいる場所で話題にして冤罪を認めさせる為に。

 指摘するハイドラの瞳は冷え切っていた。


「味方なんていないアウェーな空気の中無理やり自白させるつもりだった?闇精霊よりも性根腐ってるね」

「ハイドラ、止めなさい」


 闇精霊に失礼よ。私は彼の自虐を否定する。


「……クローナ先生は、今でも私が婚約者に呪いをかけたと思いますか?」


 貴男自身の考えで答えてください。

 私は自分よりも年下に見える担任教師に尋ねる。
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