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七話 王家の男たち
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公爵令嬢エミアと私エミヤの精神が入れ替わってから五日後、婚約破棄に関する話し合いが王城で行われた。
私とアリオス殿下以外は私の父であるシュタイト公爵、そしてアリオス殿下の両親である国王と王妃だけだった。書記官もいない。
異常事態かもしれないし、王たちが息子の醜聞を外部に知らせたくないと考えた結果なのかもしれない。
だとしたら婚約の継続を求めてくる可能性もある、私は少し緊張した。その様子に気が付いたのか書類に目を通していた父がこちらを振り返る。
大丈夫だとでも言うように柔らかく微笑まれた。私も不器用な笑みを返す。
別方向からも視線を感じ、そちらを向くとアリオス殿下がこちらを睨みつけていた。暗い瞳も気になるが肌が荒れてやつれている気がする。
元々プライドの高い男だ。見下していた女に捨てられる事実に強く傷ついているのかもしれない。
彼に反省するような素振りを見せられて大人たちが絆されるようなことがあると嫌なので精々派手に睨んでいて欲しい。
そんなことを呑気に考えていたが父は黙っていなかった。
「殿下は私の愛娘をその眼差しで呪い殺すおつもりでしょうか」
今すぐ睨みつけるのを止めて頂きたい。
アリオス殿下の視線から私を遮るように立ちそのように言い放つ父、フレイに私は内心ハラハラした。
彼が殿下の憎しみの対象にならないといいのだが。
父の背に隠れて見えないがアリオス殿下が舌打ちをする音が聞こえた。
「見苦しい真似は止めよアリオス」
父の物ではない大人の男性の声がそれを咎める。
ハルマン国王だ。
「お前はいつまでも不貞腐れた子供のようなことをするな!」
そのように明け透けだから用意した娘を逃がすのだ。
ハルマン陛下は息子である殿下を厳しく叱責する。けれど王のその台詞からも隠し切れない汚臭がした。
別にいい、清廉さなど期待はしていなかった。昔から王家なんてこんなものだ。
聖女時代だって散々見下されながら酷使されてきた。あの頃の私は貴族でさえなかったから。
「お話を、進めましょう」
私は口を開いた。臆病なエミアを装うなら正しくない選択だ。
だがそれでも王家の男が何人もいるこの部屋に長くは居たくなかった。
私とアリオス殿下以外は私の父であるシュタイト公爵、そしてアリオス殿下の両親である国王と王妃だけだった。書記官もいない。
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大丈夫だとでも言うように柔らかく微笑まれた。私も不器用な笑みを返す。
別方向からも視線を感じ、そちらを向くとアリオス殿下がこちらを睨みつけていた。暗い瞳も気になるが肌が荒れてやつれている気がする。
元々プライドの高い男だ。見下していた女に捨てられる事実に強く傷ついているのかもしれない。
彼に反省するような素振りを見せられて大人たちが絆されるようなことがあると嫌なので精々派手に睨んでいて欲しい。
そんなことを呑気に考えていたが父は黙っていなかった。
「殿下は私の愛娘をその眼差しで呪い殺すおつもりでしょうか」
今すぐ睨みつけるのを止めて頂きたい。
アリオス殿下の視線から私を遮るように立ちそのように言い放つ父、フレイに私は内心ハラハラした。
彼が殿下の憎しみの対象にならないといいのだが。
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