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三十三話 麗人の正体
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私をアリオス殿下から助けてくれた男装の麗人。
どうやらロゼマリアという名前らしいその生徒は何故か私を野草茶研究会の部室へと連れてきた。
確かに私は部活へ行こうとしていたけれど、何故初対面の彼女がそれを知っているのだろう。
不思議がっている私をよそに彼女は制服のポケットに手を突っ込みゴソゴソと何かを探し出した。
しかし改めて観察すればする程変わった人物だ。
性別は女性で赤い髪の美人だ。年齢は制服を着ていることから私と大して変わらないだろう。
だがその制服は男子生徒が着用するものと同じだった。身長も女性にしては高く髪も短くすっきりと切り揃えられている。
その格好が似合わないという訳ではなく、寧ろ異性装によって凛々しさと艶やかさがより際立っている。
それは彼女のスタイルの良さとその涼し気な美貌のせいだろう。
フレイお父様も、アリオス殿下もアルだって十分に美男子と呼べる整った顔をしている。
しかしその中に男装のロゼマリアを加えてしまえば彼女が圧勝してしまう。それぐらい凄まじい美貌の持ち主だった。
「あったあった、失くしたかと思っていたよ」
ずっと制服のポケットに入れっぱなしにしておいたから。そう独り言を言いながらロゼマリアが取り出したのは小さな鍵だった。
彼女の顔には見覚えがないが、その鍵のデザインはよく見知っている。部室の鍵と同じものだ。
ロゼマリアは少しぎこちない手つきでそれを研究会の扉の鍵穴へと差し込んだ。
すると当たり前のように扉の鍵は開いた。
「えっ……」
思わず声を上げてしまう。私の声に振り返った彼女は怪訝そうな顔を数秒だけ浮かべた。
「ああ、そっか」
まだ知らないんだ。そう納得したようにロゼマリアは呟き、私に正面から向き直る。
彼女の背後にはすっかり見慣れた部室の家具が見えた。アルの姿を探したがまだ来ていないようだった。
私を室内に招く仕草をしながら赤髪の麗人は悪戯っぽく微笑む。
「ここの部員なんだ、私も。来るのは大分久しぶりだけれどね」
ちなみにアルバートの双子の姉でもある。そう魅力的な声で驚く事実をロゼマリアは私に告げた。
どうやらロゼマリアという名前らしいその生徒は何故か私を野草茶研究会の部室へと連れてきた。
確かに私は部活へ行こうとしていたけれど、何故初対面の彼女がそれを知っているのだろう。
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しかし改めて観察すればする程変わった人物だ。
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ロゼマリアは少しぎこちない手つきでそれを研究会の扉の鍵穴へと差し込んだ。
すると当たり前のように扉の鍵は開いた。
「えっ……」
思わず声を上げてしまう。私の声に振り返った彼女は怪訝そうな顔を数秒だけ浮かべた。
「ああ、そっか」
まだ知らないんだ。そう納得したようにロゼマリアは呟き、私に正面から向き直る。
彼女の背後にはすっかり見慣れた部室の家具が見えた。アルの姿を探したがまだ来ていないようだった。
私を室内に招く仕草をしながら赤髪の麗人は悪戯っぽく微笑む。
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